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ちょっと真面目なサウナ施設の工事費の話。

ここ最近サウナ施設が流行っています。
いわゆるサウナーさんが増えていることによるものかもしれませんが、もう一つはコロナ禍での趣味趣向の広がり方にも起因しているように思います。

温浴業界に従事する者としては単純に嬉しいことです。
私自身の経験だけではなく、業界関係者さんからも、色々な話を聞いています。

これからサウナや温浴施設をつくりたいと考えられるオーナー様向けに、いくつか実例を紹介していこうと思います。

一、設備インフラに注意。

特に私の立場からするとアルアルな失敗例です。

温浴施設に限った話ではありませんが、特に温浴施設の建設において、キモになるのがこのインフラです。 以前のブログでも記事にしたことがありますが、水道、電気、ガスは温浴施設にとって、最も基本的な部分になります。

小規模投資として建築物を改造したり、ビルインで温浴施設をつくることが最近は特に多いのですが、一戸建て住宅やそのエリア、オフィスや商業ビルを改装工事するような場合、その以前の建築物には温浴施設で必要なインフラが整備されていないケースがほとんどです。

例えば一戸建てを改造してサウナ施設を作ろうとした場合、どのようなテイストの施設にするのかにもよりますが、水道、電気、ガスのそれぞれが温浴施設になるための条件を満たしていないことがほとんどです。
一家族せいぜい4人から6人で使うために整備されているインフラと、50人、100人とお客様を迎え入れる温浴施設ではその3つのインフラ規模が明らかに異なるのが分かると思います。

駅に近くて人が集まりやすく、立地は最高でも、インフラ整備に莫大な費用が必要になってはコスト増につながりますし、そもそも実現不可能で計画頓挫してしまうケースもあります。

またこのコスト増は単純にイニシャルコストだけではなく、ランニングコストにも繋がってくる重要な部分です。
温浴施設のランニングコストは水光熱費が売上の約3割程度になります。
温浴施設で生計を立てようとした場合、計画前からそれらがある程度計算できるようでないと、かなり厳しいと言わざるを得ません。

また水道代の節減には井戸水の利用が必須となりますが、肝心な井戸水が出なかったり、井戸水の水質が悪かったりと、それを使うことができなければ上下水道代が丸々必要となる(もしくは処理設備が必要となる)のでかなりのリスクとなります。

二、耐荷重の問題

これも前項と似たような話になりますが、特にビルインではこの耐荷重の問題がネックになりやすいです。
お風呂の重さや設備の重さに耐えられないことが多いのです。

例えばショッピングモールでは買い物客と什器、商品の重さに耐えられるような建築物にしなければなりません。
人一人が60~80㎏、什器や商品は数十㎏~数百㎏と積算されて計算されますが、一平方メートル当たりではどれだけ重くても1,000㎏程度ではないでしょうか。
一方温浴施設の場合、水深が60㎝のお風呂だけで600㎏/m2にもなります。
これにコンクリートの躯体やお風呂に入った人を計算していくと~1,500㎏/m2程度は必要になるでしょう。

上記の例はあくまで単純な話ですが、工場の跡地や倉庫という条件では大きな問題にならないかもしれませんが、特にビルインではこの荷重の問題を軽視してしまい、計画がとん挫するというケースを多く耳にします。

三、工事費の問題。

理想やコダワリは捨てられないが、現実的に建築費は重くのしかかる。

·初めて温浴施設を計画します、というお客様とお話をするときに度々感じるのが、施工費の問題です。

温浴施設の施工費にはあらゆるものが必要になります。

建築工事ではお風呂であれば防水や、サウナであれば消防法といった特殊性を求められますし、内装工事では湿気や転倒防止には気を遣わなければなりません。
総じてこのウェットエリアの施工はどうしても出費が嵩み易いと言えます。
住宅のようなFRPでは費用が高額になってしまいますし、浴場に単なるフローリングの床を使う訳にもいきません。

お客様視点でしか温浴施設を経験していないと、パッと見えてこないのが設備です。
お風呂にはろ過装置を設置する必要がありますし、ボイラーやチラーといった熱源設備も必要になりますし、サウナにはサウナヒーターが必要で、それぞれに制御する制御盤も必要になります。

先述したように井戸水を使うような場合では、その井戸水の中に除去すべき水質があると、そのための設備も必要になります。
送水ポンプや水槽も必要になり、考えていたよりもその費用は莫大なものとなります。

これらは専門家の方に試算をしてもらうほかないのですが、もう一つ気を付けなければならないのは経験値の少ない施工会社に依頼をすると、後々大変なことになるという点です。

これこそが難しいバランスになるのですが、例えば改装工事になるのでリフォーム会社に依頼をします。
そうすると圧倒的にウェットエリアの施工経験値がありません。
防水や躯体工事もそうですが、床に水たまりができるような温浴施設を見たことがないでしょうか。
ろ過設備でもレジャープールとお風呂では求められるスキルが異なれば、水風呂の選定などでも四苦八苦してしまいます。

私の関わったプロジェクトでも、3社相見積もりを取った場合、オーナーは元々想定していた価格よりも既に予算オーバーとなることを薄々理解しているため、何とか初期投資を抑えたい、となります。
3社相見積もりで最も安い価格を提示するのは往々にして経験値の少ない施工会社なのです。

これは何もボッタくりをしようとして見積しているわけではありません。
内容が理解できないから、概算で見積をしてしまっているからなのです。

実際にこうしたケース、問題になるのは追加費用もそうですし、施工者同士のトラブルであったり、ひいては、思っていたものと違う仕上がりになってしまうなどという、オーナー様とのトラブルにもなりかねません。
とはいえオーナー様も建築や施工のプロではないため、それぞれの問題点を施工中に指摘することも難しい訳です。

サウナ施設や温浴施設には様々なオーナー様がいらっしゃいます。
このような事業を始められようという方であるからこそ、ほとんどの方には経営的な能力がおありです。
そのため、私はこんな凡ミスはしないと思われている方もほとんどです。

しかし実際にふたを開けてみると、こんなに優秀な経営者で計画性のあるの方なのに、大成功で終わるケースがほとんどありません。

温浴施設は設計、建築、設備ともにあらゆる部分で専門性を高く求められます。
私自身もコンサルなどと名乗るにはまだまだ未熟ではあるのですが、それでもこうしたケースではもっと早く参入できていれば、必ずお役に立てたのになあと思わされるケースもかなり多いのです。

是非、温浴施設の計画、サウナ施設の計画はお早めにコンサルに相談するのも一つの手段ですよと、最後に宣伝だけさせていただきます(笑)

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