![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/93003353/rectangle_large_type_2_e19bdf11cb68d8af64647f883bec9fbb.png?width=1200)
Day9「標準化アプリケーションの価格感予想」 @ ガバメントクラウドについて考えるAdvent Calendar 2022
この記事は、ガバメントクラウドについて考える Advent Calendar 2022のDay9「標準化アプリケーションの価格感予想」となります。
※こちらの記事は基本的には公開情報を元にしていますが、個人的な妄想・意見も含まれておりますので、ご承知おきください。
このAdvent Calendarは、日々活動している中で課題として感じることなどをどこかで整理しなくてはいけないと思っていて、ちょうど良いタイミングだったので、全日自分が思うところを書くというスタイルにチャレンジして、どこまで続けられるかやってみたいと思います。
https://adventar.org/calendars/8293
以前、以下のツイートに多くのことをまとめてみたのですが、改めて整理していきます。
後々noteにはまとめるとして、ガバメントクラウドについて少しまとめて語っておこう。個人的妄想と推測が入り混じっているので、その前提でご覧ください。
— Junnosuke Nakajima | VMware (@jnakajima1982) October 11, 2022
標準化アプリケーションの価格予想
さて、今回は標準化アプリケーションの価格がどうなるかについてです。標準化に準拠することが非常に負荷が高いとお聞きすることが多いわけです。つまり、標準化に対してアプリケーションの改修を大きく掛けているということになります。
この内容を整理するにあたり、2025年度までの時点での標準化アプリケーションの費用と、それ以降の費用とで分けて考えてみる必要があるかと思います。
まず前者のケースを考えていきます。まず大前提として、2025年度までというスパンで考えた場合、各アプリケーション事業者は標準化対応に奔走することになり、自分の顧客以外の顧客を取りに行くほど余裕がないように見えます。これは標準化を間に合わせるという側面と、おそらく2024年度と2025年度に集中する自治体側の標準準拠作業に対する移行作業量が、特定のシステム停止可能時期に集中するため、絶対的なリソースが既存顧客ですら足りるかどうか怪しいのではないかと考えるからです。
この標準化の負荷が高く、標準化準拠を諦めるアプリケーション事業者が出ており、その穴を埋められない自治体もいらっしゃるくらいです。そのため、クラウドネイティブ化してまで、安価にして競合に勝つモチベーションが、2025年度までという期間においては起きにくい状況にもあります。
かつ、今までデータセンター事業もおこなっていて、ガバメントクラウドにその部分を奪われる形になる(なった)事業者が、クラウドネイティブ化により安価になったとしても、そのコストを単純に値引きに利用するかどうかも「制御」が難しいところだと思います。国はその分下げなさいと言うと思うのですが、ビジネスとしては死活問題なので「制御」は難しいでしょう。そもそも標準化によって、新たなビジネスができるわけではないので、アプリケーション事業者の負担は単純に増加するだけということになると思われます。
このような経営判断が求められる場面において、クラウドネイティブ化にするためのコストと人材投資が妥当と判断されるかも懐疑的です。2025年度までというタイミングでは、アプリケーションをクラウドネイティブにするための人材・投資ができない可能性が高い。できるとしても移行費用に多くの費用がかかる。それを費やしたところで2025年度までに投資を回収できるほど、他のベンダーの島を荒らすことができない。また、クラウドネイティブにできたとしても、その安くなった分を改修費として回収しなければならないので、実際のシステム運用費用は安くなったとしても、アプリケーションの価格に反映される未来は、それらの費用が回収されるまで得られにくいのではないでしょうか。
また、クラウドネイティブ化はその対象となるクラウドにロックインされる懸念も高くなり、果たしてそれをこの不透明な状況下で判断しきるのにはかなりの決断が必要です。また、クラウドネイティブ化の度合いの観点でも、マネージドサービスを利用する対象は、システムの中でも根幹となるアプリケーションにはなりにくく、運用監視などの比較的可用性や移行難度に影響しにくいパーツに限定されるため、それらがシステム全体の内訳を占める割合が低く、コスト効果が得られにくいのではないでしょうか。
まとめ
今回も、現在の状況から推測されるものとなり、各アプリケーション事業者がどのように判断して取り組むかについては、これから明らかになっていくと思われますが、今回述べたように2025年度までのタイミングで標準化仕様のアプリケーションが、今までより安くなるということが起きにくいのではないかと思っています。2025年度以降に、標準化によってその本来の意図であるベンダー間の移行にハードルが低くなった際に、初めて競争が生まれ、アプリケーション費用の価格を下げるかどうかという議論になるのではと思う次第です。
執筆後記
このようにガバメントクラウドを考えるAdvent Calendar 2022では、以下の流れで進んでいくことになると思いますので、Day9以降もお待ちいただければと思います。
ガバメントクラウドの在り方
ガバメントクラウドの整備における課題感
ガバメントクラウドの利用における課題感
ガバメントクラウドの今後について考えてみる
Twitterなどで情報発信していますので、もしよろしければ覗いてみてください。