Day19「移行にまつわる課題感(ネットワーク、データなど)」 @ ガバメントクラウドについて考えるAdvent Calendar 2022
この記事は、ガバメントクラウドについて考える Advent Calendar 2022のDay19「移行にまつわる課題感(ネットワーク、データなど)」となります。
※こちらの記事は基本的には公開情報を元にしていますが、個人的な妄想・意見も含まれておりますので、ご承知おきください。
このAdvent Calendarは、日々活動している中で課題として感じることなどをどこかで整理しなくてはいけないと思っていて、ちょうど良いタイミングだったので、全日自分が思うところを書くというスタイルにチャレンジして、どこまで続けられるかやってみたいと思います。
https://adventar.org/calendars/8293
以前、以下のツイートに多くのことをまとめてみたのですが、改めて整理していきます。
移行にまつわる課題感(ネットワーク、データなど)
今までは、アプリケーションの観点でガバメントクラウドへの移行についてまとめてきました。ただし、これはどちらかと言うと事前の準備という意味合いが強かったかもしれません。今回のテーマは、実際の移行作業に直結するネットワークとデータといった観点での課題感を整理していきます。
ネットワーク移行性
まず、ガバメントクラウドに移行する際にネットワーク観点で検討すべき項目を想定してみましょう。まずはオンプレミスの20業務以外と、ガバメントクラウド上の20業務を簡単に図示化した以下をご覧ください。
まず、オンプレミス側のネットワークのIPアドレスをそのままクラウド側に持っていけるかどうかの確認が必要です。AWSを例に取ってみると、VPCは/16のネットワークしか作ることができないため、今までのIPアドレス体系を維持することができないかもしれません。また、共同利用方式か単独利用方式かにも依るのですが、マルチベンダー構成の場合、複数の業者が介在することになりますので、業者間でIPアドレス体系の調整をしてもらう必要があります。
つまり、システム側のIPアドレスが変わる可能性があるということです。そうなると、庁内からガバメントクラウドへのルーティングの設定も変更が必要ですし、アクセス端末からの接続先についてもDNSや端末自身の設定を修正する必要があります。これらは移行タイミングですべての考慮点の対処が必要となります。
データ移行性
続いてデータ移行性です。まずは20業務でどれだけの容量があるかが重要です。それによって、ネットワークでの同期なのか、Snowball等による輸送なのかが変わってきます。前者であればどれだけ時間がかかるかについて、帯域も含めて計算して必要時間を見積もって準備しておく必要があります。輸送の場合では、同時期に移行が集中するでしょうから、Snowballの確保ができるのかが懸念材料となってくるかもしれません。また、Snowballに保存されるのは、そのポイントのデータとなりますから、輸送されたものがガバメントクラウド上でリストアされてからも、更新された本番データの差分を同期する必要があります。
まとめ
ネットワークはオンプレミスとガバメントクラウドで整合性を取り、結果的にシステムIPアドレス体系の変更が起きる可能性が高く、それに伴う庁内側のネットワークや端末の変更も伴います。データに関しても、移行に必要な時間や手法の選択をしなければなりません。
限られた停止時間の時期(正月、お盆等)に、これらすべてを多くの自治体で同時進行でやらなければならないときに、かなり複雑な移行作業をアプリ業者及び地場SIerのリソースで充分に見られるかは不安になりそうです。
執筆後記
このようにガバメントクラウドを考えるAdvent Calendar 2022では、以下の流れで進んでいくことになると思いますので、Day19以降もお待ちいただければと思います。
ガバメントクラウドの在り方
ガバメントクラウドの整備における課題感
ガバメントクラウドの利用における課題感
ガバメントクラウドの今後について考えてみる
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