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【うんなんコミュニティ財団】開設3年目のコミュニティ財団が市民の生活課題を知るために実施する取り組みとは?

こんにちはジモティーの地方創生研究所、研究員の宮本です。

地方創生研究所の第二回では島根県雲南市で活動している「うんなんコミュニティ財団」にお伺いしてきました。

コミュニティ財団とは
住民の寄付によって成り立ち、寄付によって運営される地域の資金・資源を循環させるための組織。一部の住民しか気づけていない・可視化できていない領域の課題に対しても、賛同する地域住民が多ければ寄付金を集めることで解決の支援をすることを目的にしている。

全国コミュニティ財団協会によるとこれまで日本では33のコミュニティ財団が開設されているとのこと。その中でも、今回お話を伺ったうんなんコミュニティ財団は最小の人口規模で成立しているコミュニティ財団です。人口4万人弱の町でどのように地域を巻き込んで課題を集め、解決の支援をしているのかをお聞きします。

お伺いしたのはうんなんコミュニティ財団の飯間さん。

うんなんコミュニティー財団の飯間さん


まずは、飯間さんからうんなんコミュニティ財団が開設された経緯をお聞きします。

うんなんコミュニティ財団は、2020年4月に設立されました。発案したのは、雲南市木次町新市地区の自主組織*「新市いきいき会」の事務局長だった郷原剛志さん。自主組織の代表として地域の声を聞くなかで、地域の中には相談することができず解決されていない「願い」や「困りごと」がたくさんあり、今活動している地域の担い手だけでは解決が難しいことを感じていました。
行政や社会福祉協議会などが助成する「大きな地域の課題」だけでなく、生活の中で支援が必要な「小さな課題」を助成する場として、忙しい方でも協力しやすい形態の活動を模索し、コミュニティ財団の開設という目的にたどり着いたと言います。

コミュニティ財団の設立の際には、地域の人と関わりを持つための工夫として、寄付できる金額の上限を1万円までと定めることで多額の寄付をしてくれる人を探すのではなく、より多くの人から寄付を集めることを目指しました。結果として642名!から合計300万円が寄付されて無事開設されることになったそうです。

自主組織について
雲南市独自の地域コミュニティ。概ね小学校区ごとの各地域で住民発意による地域自主組織が順次発足し、雲南市内全域で30組織が活動。自治会や消防団、PTAなど地域のあらゆる団体が集結し住民自治のプラットフォームを形成し、地域の総合力で課題解決に住民自らが取り組む。地縁でつながる様々な人、組織、団体が連携し、相乗効果を発揮し地域課題を解決してきた。


スライドをみながら説明いただきます。

地域の中での役割

うんなんコミュニティ財団の主な役割は実現したい夢や解決したい課題を持っている人と地域の資源を結びつけること。みんなでカンパ(クラウドファンディング事業)、まちづくり基金、休眠預金活用事業などを通して、助成金をプロジェクトに対して提供します。

クラウドファンディング事業では、地域の中で個人が実現したい夢や解決したい困りごとを開示してうんなんコミュニティ財団を経由する形で支援金を募集することができます。これまで教育関係のプロジェクトから雲南市在住のスポーツ選手の遠征費用まで幅広いプロジェクトが成立しています。まちづくり基金では、里山整備のための基金や水害支援の基金が設置され、スピーディーに必要な費用を寄付で集めることに成功しています。さらに休眠預金活用事業においても地域のプロジェクトの助成を後押ししており、2020年は4団体に年間合計約1000万円の助成金を分配しました。
うんなんコミュニティ財団の開設によりこれまで支援の手が及ばなかった地域の活動も動き始めています。

地域で様々な取り組みが行われている町

行政など既存の組織ではできない助成を行っているうんなんコミュニティ財団。地域課題を住民から抽出することが活動の肝になってきそうですが、うんなんコミュニティ財団では雲南市内で活動する様々な団体と協力しあうことで市民とコミュニケーションを取り地域課題を可視化しています。

飯間さんによるとそもそも、雲南市は市内各地で多様なまちづくりの取組が進められている地域だと言います。2004年に雲南市が誕生して以降、自主組織を結成し住民自治を推し進めるとともに、2011年には市主導で、「幸雲南塾」という次世代育成事業を開始しました。また近年では企業なども交えて、雲南ソーシャルチャレンジバレー構想を進めており、雲南市に関わる様々なステークホルダーとともに持続可能なまちづくりを目指しています。

うんなんコミュニティ財団が入居している五日市ラボはシェアオフィスとして機能しており、様々な団体のメンバーが行きかう、まさに交流地点のような環境です。

シェアオフィスで業務を行うことによって雲南市で活動している他の団体、雲南市の人材育成や地域振興に関するプロジェクトを行うNPO法人おっちラボや地域おせっかい会議を主催するコミュニティナースカンパニー株式会社などとも情報交換をスムーズに行えています。その中でお互いに地域の困りごとの情報も共有しあうのだとか。

シェアオフィスの様子

うんなんコミュニティ財団では、課題共有会議という事業を設け、定期的に市民の中で地域の課題やニーズを共有し、解決方法を話し合う機会を提供しています。また外部から有識者を招いて、環境問題を考える勉強会なども開催しています。その参加者の募集を行う際にも、告知のタイミングで、他の団体などにも協力してもらうことで、関心の高い人への周知を広げていくことができるとのこと。雲南市では様々な団体が活動を行っているため、議題ごとに分けて関連する団体経由で情報を発信し、周知を図っているとのことでした

また、地域活動への参加が希薄な市民に向けても周知を図れるよう、スタッフは、地域の老人会などにも参加して直接困りごとなどを聞くようにしているそうです。併せて、町が運営するローカルのケーブルテレビやラジオ番組への露出を図ることで徐々に浸透を目指しているとのことでした。

また、ニュースレターやアニュアルレポートなどの配布物なども充実させています。
実際に活用されたケースなどを定性的かつ定量的に公表しており、とても分かりやすいです。

レターなども定期的に発行


こちらは、ローカルマニフェスト。雲南市での暮らしを今後豊かにするために、地域活動を行う人たちの声を集めて作成しました。市民同士で支えあうための心得が満載です。

ローカルマニフェスト

最近では、ここに来れば何か助けてもらえるかもという噂を聞いて市民が訪ねてくることもあるそう。開設して日が浅いサービスではあるのですが、市民に欠かせない存在になりつつあることが感じられました。

視察に行ってみて

今回の視察では、うんなんコミュニティ財団ならびに雲南市の様々な取り組みを教えていただきました。お話を聞く中で、特に感じたのは地域コミュニティの活動が複数の団体が協力し合う相乗効果によって飛躍的に価値が発揮しやすくなっていくことでした。
地域コミュニティの活動は狭域のエリアの中での活動になりますので、少ない人数を対象にいかに地域に根付いた活動になっているかが地域貢献のポイントとなると考えています。一方で地域には様々な世代や嗜好性の人がいるため、活動自体にメリットなどがあったとしても地域に根付く活動にするにはある程度の時間が必要になると考えております。
お話を聞いてうんなんコミュニティ財団は、雲南市の他の団体によって何年もかけて地域活動が行われたうえで培われた土台を生かしながら、地域の中で新たな役割を果たしていると感じました。地域のことを考える人の多い地域だからこそ必然的に誕生した取り組みとなっていて、それを支えるための団体同士の共助の在り方はとても先進的だと感じました。
ジモティーも地域の情報伝達という点で活用される機会の多いサービスです。今後このような地域コミュニティの活動が活発なエリアで様々な団体と連携して活用を進めていただくことで、より住民同士の情報共有において価値を出せるサービスになる可能性があると考えました。

地方創生研究所では地域の生活課題を解決するため、ともに活動する自治体様や地域活動を行っている団体様を募集しています。もし、一緒に活動することに対してご興味をお持ちの地域活動を行っている団体様や自治体様などいらっしゃいましたら、まずはお問合せくださいませ。

お問い合わせ先:press@jmty.jp


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