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モトツーリズムと関係人口
1.関係人口とは?
近年、「関係人口」という言葉を耳にすることがあるだろう。「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉である(図1)。地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面しているが、変化を生み出す人材が地域に入り始めている例も多くあり、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が、地域づくりの担い手となることが期待されている。
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出所:総務省公式サイト,https://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/about/index.html
2.関係人口とモトツーリズム
近年、日本各地で地域再生の手段として「モトツーリズム(バイクを活用した観光)」が注目を集めている。モトツーリズムは、バイクによる自由で機動力のある移動手段を活用し、観光地や自然、地元文化を巡るスタイルだ。この動きは、関係人口の増加と地域の活性化に寄与する可能性が高い。
モトツーリズムは観光の枠を超え、地域との深い関わりを生む「関係人口」の創出にもつながる。関係人口とは、移住者ではないものの、定期的に特定の地域を訪れたり、地域の活動に参加するなど、地域と持続的な関係を持つ人々を指す。従来の「定住人口」や「交流人口」とは異なり、関係人口は地域の持続的な活力を支える重要な存在として注目されている。
バイクを通じた旅は、リピーターの形成に大きく貢献する。バイク愛好者は、自分のバイクで走るルートや訪れる場所に強いこだわりを持つことが多い。そのため、特定の季節や気候条件で再訪することが一般的であり、その過程で地元の人々との交流が深まるケースも多い。こうした繰り返しの訪問を通じて、地域に愛着を持ち、地元のイベントに参加したり、地域づくりに関わる活動に協力するなど、関係人口としての役割を果たすことが期待される。
実際に、モトツーリズムを積極的に推進する地域では、観光と地域づくりの双方で成功例が見られている。例えば、熊本県阿蘇地方では、美しい自然を楽しめるツーリングコースが整備され、全国からバイク愛好者が集まっている。これにより、観光客の数が増えるだけでなく、リピーターとして定期的に訪れる人々が地域経済を支える関係人口となっている。
モトツーリズムは、単なる観光手段を超え、地域と人々をつなぐ新しい形である。バイクを通じて生まれる自由な旅は、地域社会に新たな活力を与えるとともに、関係人口の増加に寄与する。地域の観光資源とバイクツーリズムの相乗効果を最大限に引き出すことで、地域の持続的な発展が期待できる。
引用参考文献
総務省公式サイト,https://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/about/index.html ,(2024年9月3日閲覧)
※トップ画は筆者撮影。山口県長門市角島大橋。
文責 林恒宏(岡山理科大学経営学部准教授)
(一社)日本モトツーリズム推進機構公式サイト