初心者でも安心!消費者調査データ分析のStep by stepガイド
山崎 礼
企業のマーケティング活動として、アンケートデータ等の消費者調査データを収集して顧客の関心や満足度を調査し、改善に繋げることはよくあります。でも、せっかくデータを集めても、分析まで手が回らず、そのまま放置してしまうのでは宝の持ち腐れですよね。
そこでこの記事では、誰でも簡単に始められる消費者調査のデータ分析をご紹介します。
今回、統計ソフト「JMP」を使って分析する例は2つです。
1. 「1番好きな色は何ですか?」という質問に対する回答を、「年齢」という切り口で分析。
2. ピザの新商品開発にあたり、コンジョイント分析により、ピザの好みを左右する項目と内容(たとえば、生地、チーズ、トッピングの種類等)を分析。
それでは始めましょう!
1. 単一選択型(「1番好きな色はどれですか?」)質問の分析
1) JMPの「カテゴリカル」プラットフォームでは、以下のように、さまざまな種類の質問データを扱えるのが便利です。
•単一選択型
(例:「1番好きな色はどれですか?(ひとつ選んでください)」)
•複数の似た質問への回答の選択肢が同じ場合
(例:「好きな色は青です」「好きな色は赤です」「好きな色は緑です」といった質問への応答として、「同意」「どちらでもない」「不同意」のような同じ選択肢がある場合)
•多重応答型
(例:「好きな色は何ですか(複数回答可)?」)
JMPでは「単純」タブ、「関連」タブ、「多重」タブを切り替えるだけで、単数回答(選択肢の中から1つだけ回答する)、複数回答等さまざまな回答形式の集計を簡単に実施できます。
今回は初めての方向けの内容のため、単一選択型(例:「1番好きな色はどれですか?(ひとつ選んでください)」)だけStep by stepでご紹介します。より詳しい内容についてはこちらでご確認ください。
2) JMPを起動します(無料のトライアル版はこちら)。
3) [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Color Preference Survey.jmp」を開きます。※このデータには、好きな色に関する質問と回答が含まれています。
4) [分析]>[消費者調査]>[カテゴリカル]を選択します。
5) 「一番好きな色はどれですか?(1つ選んでください)」を選択し、[応答]をクリックします。
6) 「年齢を教えてください。」を選択し、[X, グループ化カテゴリ]をクリックします。
7)[OK]をクリックすると以下のような分析が表示されます。
JMPの特長の1つに、データの優れた可視化があります。数字の羅列でしかないデータでもJMPなら自動で色分けして可視化できます。すると、以下のように、20代(20-29歳)と50代(50-59歳)では60%近くの人が青色を好む一方で、全体では黄色やピンク色を好きな人はあまり多くないことが一目で分かります。
年齢というセグメントだけで分析したいときは、これで完了です。簡単ですよね?
このようにJMPでは、ほんの数クリックで、簡単にアンケートデータを可視化し、そこからインサイトを導くことができます。
2. 選択実験のデータ分析
では今度は、ピザの新商品開発を例にとってみましょう。複数のテスター(被験者)に生地(薄いor厚い)、チーズ(モッツアレラorジャック)、トッピング(ペパロニorなし)をさまざまに組み合わせたピザを試食してもらい、好みのピザか否かを判断してもらいます。
それにより、生地、チーズ、トッピングのどれにこだわれば売れる新商品になるのかを調査するというシナリオです。実験を行っているという点で、1.のアンケート調査の場合と異なります。では早速始めましょう。
1) [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Pizza Combined.jmp」を開きます。開かれたデータテーブルの一部が以下になります。
ここでは、被験者1に対して4つのテストを実施しています。たとえば、テスト1では次の2種類のピザを食べてもらい、2.の方がおいしいと回答(「選択」が「1」)していることが分かります。
A. 生地:Thick(厚い)、チーズ:Jack(ジャック)、トッピング:None(なし)
B. 生地:Thin(薄い)、チーズ:Jack(ジャック)、トッピング:Pepperoni(ペパロニ)
そして、テスト2~テスト4は、ピザの種類を変えて同様のことを行っています。
2) 次に、[分析]>[消費者調査]>[選択モデル]を選択します。
3) 起動ウィンドウで次のような設定を行います。
–「選択」を選択し、[応答の指示変数]をクリック。
–「被験者」を選択し、[被験者ID]をクリック。
–「テスト」を選択し、[選択肢集合ID]をクリック。
–「生地」、「チーズ」、「トッピング」を選択し、「プロファイル効果の作成」パネルで[追加]をクリック。
–「性別」を選択し、「被験者効果の作成(オプション)」パネルで[追加]をクリック。
4) そして、[モデルの実行]をクリックします。すると、以下のようなレポートが表示されました。
5) ここで、「効果の要約」として表示されている部分に注目してみましょう。「効果の要約」レポートは、効果を有意性の順に表示しています。今回の調査では、「チーズ」が最も有意な効果だと分かります。
また、被験者効果の交互作用である「性別*生地」や「性別*トッピング」も有意なことから、「生地」と「トッピング」に対する好みが「性別」というマーケットセグメントに依存すると考えられます。
6) つまり、これらから次のようなことが分かります。
A. どのチーズを使うか綿密に調査することが、新商品ピザの成功の1要因になる。
B. トッピングや生地にこだわったピザを開発する際には、男性、女性どちらをターゲットにするか明確にしてキャンペーンを練る必要がある。
いかがだったでしょうか。今回は2つの例で消費者調査のデータ分析のやり方をご紹介しました。統計ソフトを使ってみると、市場調査で得たデータをマーケティングに活用するのも、それほど難しくないと分かるかもしれません。
最後に、JMP事業部では「消費者調査のデータ分析」についての無料セミナーを来月に開催します。より詳しい内容を学んでみたい方は、下のリンクからぜひご参加ください。
JMPによる消費者調査データの分析
~参加者が回答した調査データを分析してみる~(全2回)
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