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【疾患の特徴と主な治療法解説】03 網膜硝子体疾患~重症例では失明のリスクも伴う

水晶体から入った光は硝子体を通って、網膜で視覚情報として脳に伝達します。密着する硝子体と網膜は相互に影響して、さまざまな疾患を引き起こします。

※『名医のいる病院2023 眼科治療編』(2023年3月発売)から転載

疾患の特徴

硝子体が網膜を引っ張り剥離させる

 外部の光は眼球の一番外側の角膜を通過し、水晶体で屈折、硝子体を通り、網膜上で像を結んで脳へと伝わり、視覚情報として処理されます。網膜の中心で視細胞が集中する場所を黄斑といいます。硝子体は、カメラのレンズに相当する角膜や水晶体と、フィルムの役割の網膜の間にあります。屈折した光を像に結ぶのに必要な距離は、この硝子体で確保されます。

 硝子体は眼球の約7割を占める透明なゼリー状の物質です。眼球内部の大半を占める硝子体は密着する網膜とも関係が深く、さまざまな疾患を起こします。

 硝子体は加齢と共にゼリー状から液状に変化します。この時、硝子体が網膜から離れると同時に、網膜が引っ張られ、網膜剥離を起こすことがあります。視野が欠け、視力が低下します。黄斑が剥がれると、失明することもあります。

 糖尿病の三大合併症のひとつに挙げられる糖尿病網膜症は硝子体に悪影響を与えます。網膜は薄い神経の膜で、無数の細い血管が密集しています。高血糖が続き、血管が詰まるなどした網膜は酸素不足を補おうと、新生血管を作ります。これを…….

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東京女子医科大学 眼科学講座 教授・基幹分野長
飯田 知弘(いいだ・ともひろ)

1985年新潟大学医学部医学科卒業。群馬大学医学部眼科講師、同助教授、米国留学、福島県立医科大学医学部眼科教授などを経て、2012年より現職。日本眼科学会評議員・理事。日本眼循環学会代表理事。日本網膜硝子体学会理事。