九州一人旅① 鉄分補給
今回の旅は珍しく友人たちとの旅行と一人旅のハイブリッド。3日目途中から彼らと別れ、全体で5泊6日の行程にしてみた。
もともと前半の屋久島行きが決まっていたので、後半は九州本土を巡ろうと画策。どうしても行きたいところがあったので、鉄旅をしつつ、色々なものを体験することにした。
このnoteはそんな後半の一人旅の備忘録。
鉄旅と温泉とグルメ
いつも一人旅はローカル線と温泉を第一に考えて旅程を練る。
鉄旅の大きな目当ては久大本線の「ゆふいんの森」。小さい頃から憧れの観光列車だ。それから「青いソニック」「白いソニック」、もちろん九州新幹線。もともとそこまで特急列車には興味がないのだが、幼少期の憧れというと例外だ。
泊まるならいつも温泉のある所がいい。
九州なら阿蘇、別府、由布院、武雄、嬉野と候補を絞っていた。3日ちょっとでめぐるなら阿蘇、武雄を宿にして、別府と由布院を経由しようと決める。
熊本から大分、大分から武雄と、2度九州を横断するなかなかの経路。大分で時間がありそうなので、別府を往復することにした。
4泊目は武雄に泊まり、翌日会う人がいるのでバスで多久市へ(実はこれが旅行の最大の目的)。その日の午後は適当に太宰府や博多にでも行こうと博多のカプセルホテルをとっていた。
スイッチバックを見に
豪雨災害に見舞われた九州。全国各地で災害から復旧の見込みが立たない路線も数多いが、豊肥本線は昨年見事に復活した。
(本当は人吉の肥薩線も乗りたかったのだが、こちらはまだ一部区間が運休だ。その一部区間に見ものがあるのに…)
豊肥本線は西の熊本からベッドタウンの肥後大津を通り、山あいを抜けて阿蘇のカルデラ地帯を走り、東の大分まで横断する。途中にある立野駅が今回の旅の楽しみの一つだった。
日本に3ヶ所しかない三段式スイッチバック(うち1ヶ所は先述の肥薩線で運休中)。
行って戻ってまた進む、2段階の方向転換をする珍しい形。近くの阿蘇温泉で泊まったので、翌日は立野駅の周辺をぶらぶらし、線路を眺めていた。あいにく靄がひどかったので微妙だったが。
カルデラ地帯を抜け、大分へ
九州横断特急はあまり見どころがない。JR四国から買い取った気動車が森の中を走っていく。
昼頃大分駅に着いた。ここからは西に廻ることになっていたので、一筆書きの範囲を越えて新たに切符を買う。ソニックに乗り換え、別府に行ってみた。特急なら1駅だが、ここでしか乗れないのでソニックを選んだ(実はさっきの九州特急も別府ゆき)。この車両は国際評価も高い。
別府で観光している間、大分駅で大規模な信号トラブルがあったらしい。別府駅から普通列車で大分に戻る間、そんなアナウンスが聞こえてきた。
別府湾を臨む大分駅からは内陸の由布院に向けて久大本線に乗り換える。ここでは数分の乗り換えのはずだったが、駅は大混乱。来るはずの列車は全く来ないし、駅の掲示板は全滅。駅員さんに聞いても特に久大本線は車両の手配ができず見込みが立っていないとのことだった。
由布院で始発の特急「ゆふいんの森」に乗り換えることにしていたのでかなり焦った。その乗り換えは20分以上の間があったが、大分始発の列車がすでに20分は遅れている。鉄旅のメインに乗り遅れるかも、いや、特急の運休だってあるかもしれない、なんなら武雄に今日中に着けないかも、などと絶望していた矢先、ようやく普通・由布院ゆきが入線してきた。
激混みの列車が遅れを取り戻すべく猛スピードで田園風景をかっ飛ばす。1時間弱乗っていたが、10分近く遅れを取り戻したのではないだろうか。
この列車の終点の由布院ではすでに特急が待っていた。ほっと一安心。
待望の「ゆふいんの森」
観光列車として名高い「ゆふいんの森」。鉄道ファンのみならず、観光のポイントとしてもわりに有名だが、ホームで待っている乗客の多くはアジア系の観光客だった。列車に乗ってみると全然日本語が聞こえてこない。まさかここまでとは思ってもいなかった。
ダイヤ乱れの影響で、反対側の列車が到着しない。交換のためにしばらく発車を見送るとアナウンスが入った。数分後やってきたのは豪華列車の「ななつ星」。これにはびっくりだった。
「ゆふいんの森」は車内を探検するのも面白いし、ビュッフェも充実している。記念の乗車証もあったりと飽きることがない。水戸岡鋭治デザインのこの車両は最近の彼の作品ほど目障りではなく品がある。
やはり特急も回復運転で、由布院発の7,8分遅れを鳥栖までに取り戻していた。内心、観光列車ならそのまま遅れていいのに、と思いつつ。
武雄温泉へ
鳥栖で降り、武雄温泉に向けて「リレーかもめ」に乗る。こちらは「白いかもめ」。
青いソニックと同様、ブルーリボン賞やグッドデザイン賞を取っているこの885系。
なかなか見応えがあり、座りやすい椅子が疲れた体にたいへんありがたかった。
というわけで520㎞の鉄旅、武雄温泉に到着。
ここからが本当の一人旅だ!
つづく。