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セミナーノウハウを活用して中途採用を成功させた話 - 企画編 -

こんにちは、FORCAS(ユーザベース)の酒居です。

ぼくは普段オフラインマーケティング施策の一環として、BtoB企業向けのセミナーやイベントを企画していますが、セミナーノウハウは実はマーケティング施策以外にも活用できます。

その一例として、今回は4月に開催したワーキングマザー向けのキャリアイベント『Working Parents Meetup』(略してWPM)について、ご紹介したいと思います。

この採用イベントは初めての試みだったものの、このイベントからユーザベースグループ全体として3人が採用につながり、そのうち1人はぼくたちのチームメンバーとして、現在活躍してくれています。

マーケの観点から採用キャリアイベントをつくり、成果を上げる方法として、手前味噌ではありますが、このイベントが参考になればと光栄です。

書いてたら長くなったので、前編は企画について、後編は運営についてお伝えしようと思います。

きっかけは人材不足。仲間集めが急務

2018年初春、ぼくのチームでは売上目標に合わせ、インサイドセールスのメンバーを採用をしたいという急務な課題がありました。

しかし、理想とするメンバー像に合った方となかなか出会うことができない。その一方で、人的リソース不足は厳しい。事業スタートフェーズでは、なかなか自分たちがほしいと思う人材が集まらないという悩みは、どのスタートアップでもよくあることだと思います。

どうしたら良い仲間を集めることができるだろうか?もちろん人事の方でも、採用サービスやサイトを活用してアプローチしたり、インバウンド促進を進めてくれています。また、スタートアップで特に用いられるリファラル採用(社員紹介)もバンバン進めています。

しかし、それでもなかなか自分たちが良いと思える人を集めるのは難しいのが現状。特に他社も採用を強化しているので、同じことを同じようにやって採用集客しても集まらない。つまり、何か別の角度からアプローチしないといけないという結論に至りました。

そこで思いついたのが、「キャリアイベント」でした。

通常のマーケティングでもそうですが、Webからのインバウンドでターゲット企業やキーマンだけを狙い撃ちで集客するのはなかなか難しいところがあります。特にターゲットを絞り込めばこむほど、そのボリュームは下がります。

しかし、求人の場合のアウトバウンドと言えば、Wantedlyやビズリーチでスカウトメールを送るなど。マーケの我々だとそこはコントロールできない。

それであれば、我々マーケティングチームで日々試行錯誤を繰り返しているイベントのノウハウを活用しない手はないなと。

セミナーイベントと同様の発想でイベントを企画し、集客をすれば、自分たちが呼び込みたい人を一気に集めることができるのではないか、と仮説を立てました。

大切なのは"バイネーム"でのターゲティング

そこでイベントで採用集客するにあたって、最初に考えたことは、「どういう人を採用したいか?」。

いわゆるペルソナ設計ですが、イベントではどういう人をターゲットにするか、ここを徹底的に考えることが重要となります。

今回の場合は、自分たちのマーケティング&インサイドセールスチームの一員となるインサイドセールスメンバーを集めることが目的です。

どういうインサイドセールスメンバーが良いのか、一見悩むところではありますが、実はここは結構すんなりと決まりました。
というのも、どういう人を集めたいか、という明確なターゲット像がすでにありました。

ターゲット像として掲げたのは、チームメンバーである「あきさん」でした。あきさんは、ぼくと一緒にマーケ&インサイドセールスチームを旗揚げし、インサイドセールスチームのトッププレイヤーとして、常に最前線で活躍してくれているメンバーです。

ぼくはあきさんに絶対の信頼を持っていて、あきさんのような人が採用できれば、必ずさらにチームの成果を伸ばすことができると考えていました。

そこで「あきさんのような人をいかに集めるか」という形にターゲットを決めました。

では、あきさんはどういう人なのか。人柄としては「タフで実行力の塊」「自走し数字に徹底的にコミットしている」「感情の変動が少なくプロ意識を持って仕事に取り組む」等、とても素敵な強みをたくさん持っています。
つまり、「仕事に対してプロ意識を持って自走しながら徹底的に数字にコミットして行動できる人」となります。

しかし、このままだとめちゃくちゃ抽象的です。まだまだ定義として広すぎます。そこで、あきさんの経歴やもっと詳細なキャラクターを洗い出していきました。(個人情報なのでさすがに書けませんがw)

ペルソナの転職理由からテーマをつくる

そこで着目すべき点は、「なぜあきさんはユーザベースに転職しようと思ったのか」。あきさんのような人を採用したいのであれば、あきさんが転職しようと決意した理由を理解することはとても重要です。

あきさんは元々大手メーカーでグローバル営業をされていました。特にインド企業との交渉が多く、現地に行って商談したり、やり取りすることも多かったとのこと。バリバリのキャリアウーマンです。

しかし、結婚され、子供ができてから状況に変化がありました。ワーキングマザーとして働きながらも、これまでと同様の働き方では子育てや家庭との両立が難しく、どうしても仕事の働き方を変えなければいけなかったこと。働き方改革は進められていても、制度面や精神面でまだまだうまくワーキングマザーが働きやすい環境がつくられていないことが実情のようでした。

そこで子育てしながらも、自分のやりたい仕事を全力でできる環境を探し、転職を決意したとのこと。その中で出会ったのがユーザベースでした。

あきさんから聞いた転職の話を思い出しながら、仮説が出来上がってきました。

「あきさんのように、優秀で仕事に熱心で、育児と仕事を両立しながら、バリバリ仕事も本当はやっていきたいけれど、企業のよくわからない制度や体制によって、自由に働けていないワーキングマザーって、世の中に結構多いんじゃないか?」

であれば、そのようなワーキングペアレンツにとって、今後のキャリアを考えるきっかけづくりや参考になるコンテンツをつくれば、きっと皆の役に立つし、聴きたいと思って絶対に参加してくれるだろう。

ここまで固まったところで、「ワーキングマザー向けのキャリアイベントをやろう」という結論に至りました。

コンテンツづくりはヒアリングから

イベントで集めたいターゲットと方向性は決まりました。しかし、そもそもキャリアイベントも採用イベントもやったことがない。なので、どういう話をワーキングペアレンツの方々が聴きたいかがわかりませんでした。

そこで、通常のセミナー等でやっているように、まずやったことは、「ターゲット層へのヒアリング」です。

ぼくは机上でペルソナを議論することはあまり意味がないと思っていて、それならペルソナになりうる人に会いに行って、その人が何を考えているか、何を求めているかを聴くことの方が効果的だと思っています。なので、今回もあきさんや社内のワーキングペアレンツのメンバーにヒアリングをしていきました。

ここで聴き方として注意すべきことは、「キャリアイベントに参加するならどんなこと聴きたいですか?」とダイレクトに質問してもあまり答えてもらえないということ。イメージできない質問をしてしまうと、表面的な回答になってしまいます。

「育児しながらもユーザベースで働いていて良かったなと思うことはどういう時ですか?」
「家庭との両立でどういうときに困難や課題に思うことがありますか?」
「実際に一日の働き方としてどういう生活スケジュールを組まれてますか?」

等、イベント前提ではなく、ワーキングペアレンツとしてのそもそもの課題感や具体的な生活リズム等を伺っていくことで、本当に聴きたいもの、知りたいものは何かが分かってきました。

「会社」ではなく「人」に焦点をあてる

ヒアリングをしていく中で感じたことは、手前味噌ながら、やはりユーザベースのカルチャーは本当に素敵だなということ。

そして、それぞれが自分らしく働き、働き方を自分自身でコントロールしている、「働く環境を自らデザインしている」という点が良いなと改めて実感しました。

この素敵な働き方のカルチャーをぜひ伝えたい。

しかし、ぼくたちは通常のセミナーでも、自社サービスをゴリゴリ押す製品紹介のようなコンテンツはほとんどやりません。
ユーザーさんに登壇いただく際に、そもそもサービスが何かわからないと話が伝わりづらい等、どうしてもサービス紹介が必要な場合のみ、コンテンツに盛り込みます。

なぜなら、参加者の立場に立った場合、自社サービスの説明をひたすら話されても満足度は上がらず、熱量も高まりません。参加者の立場に立って、本当に役に立つ情報を伝えることを大切にしています。

そこで、今回のコンテンツも注意すべきことが、たとえ採用につなげることを目的としていても、コンテンツ自体は参加者が自ら熱量を高めてくれるような、参加者に本当に役立つ内容を伝えるということ。

そのために、ユーザベースの文化や組織等の「会社」について紹介するのではなく、そこで働くワーキングペアレンツのメンバーそれぞれ、つまり「人」に焦点を当て、その人の考え方や実際の働き方を伝えるイベントにする。

そうすれば、こちらから「会社」の良さを伝えなくても、自ずとその話の中からユーザベースのカルチャーを感じてもらえることができるはずだと思いました。

そこで、ユーザベースグループの中から、自ら働き方をデザインし、各所で活躍しているワーキングペアレンツの方々に登壇していただき、パネルセッションをやることにしました。

登壇メンバーは、ユーザベース執行役員のしのぶさん、ニューズピックス チーフプロデューサーの久川さん、JVRセールスマネージャー(現 マチルダ代表)の丸ちゃん、FORCASの我らがあきさん。

みなさんとても素敵な方々ばかりで、是非登壇して話してもらいたいなと思っていたところ、快く引き受けてくれました。

コンテンツのキーは「共感」

そして、ヒアリングの中で感じたことがもう一つあります。

それは、「仕事と育児の両立」はぼくの想像以上にハードなものだろうということ。
そして、それぞれにそんな大変な努力をしながらも、それでも自分のやりたいことを両立していることでした。

その中でキーになってくるのが、「共感」です。

ワーキングマザーとして働くために、どういう働き方ができるのか、どうすればもっと働きやすい環境をつくることができるのか、そういう自分にとって参考になる情報を知りたい、ということは、課題解決ニーズとして他のセミナーと変わらずあるでしょう。

しかし、それだけではなく、自分のおかれた環境の中で日々生じる課題や悩みを一緒に「共感」し合えること、そして「自分のことを話して誰かに聴いてもらえる機会」になることが、今回の場合とても重要だと思ってきました。

大切なのはやはりインタラクティブ性

今回のキーが「共感」であり、「自分を伝えられる場」であることが大切であるならば、単に自分らしく輝きがながら働けているワーキングペアレンツの話を一方的に聴くだけでなく、それを聴いた上でお互いに話し合える空間にすることが不可欠です。

つまり、やはり通常のセミナーと同様に、大切になるのは、セッション後の「Q&A」の場ではないかと。しかし、「Q&A」としてしまうと、あまりにも硬くなりすぎるので、「相談会」という形式にすることにしました。

ざっくばらんに自分たちの悩みを共有し合い、参考となる話を聴くことができる場をつくることができれば、自ずと参加者の熱量は高めるだろうと。

ぼくたちの目的である、イベントから採用へつなげていくためには、イベント内で「心が動く」ことが重要です。特に自分自身の人生の選択になるわけなので、より「共感性」が高く、熱量が高い場にならなければ、ただ単に良い話が聴けた場で終わってしまいかねません。

今回のイベントでも「参加者とのインタラクティブ性」を重視する方針を徹底してコンテンツへ落とし込みをしました。

事前に話題を高める仕掛けをつくる

このイベントではいかに集客力を高めるかを考えていました。特に採用系のイベントはこれまでやったことがなかったので、そもそもどうやって人を集めようかというところからのスタート。

しかし、このイベント自体に予算をとっているわけではないので、予算はほぼかけられない(笑)そのため、Web広告での集客はほぼ見込めないので、いかに人力で集客を伸ばしていくか勝負になります。

そこで、イベント前に話題性を高め、イベント集客の追い風になる武器をつくることにしました。

ちょうどユーザベースのコミュニティチームで広報をしているやまぴーさんとお話していた時、「今度ワーキングマザー向けのイベントやろうと思ってるんですよねー」という話をしたところ、「じゃあ事前にインタビュー記事つくろうよ」と提案してくれました。

登壇してもらう丸ちゃんとあきさんにワーキングマザーとしての働き方について話してもらうインタビュー記事をつくり、それをSNS等で拡散させれば、イベントの追い風になるだけでなく、参加者の期待感も醸成することができる。

そこで、やまぴーさんと二人三脚でインタビュー記事を制作を開始。取材をぼくの方で担当し、記事編集をやまぴーさんがしてくれました。

そして、完成した記事がこちら↓

内容としても、インタビュアーのぼく自身とても勉強になる話となり、この記事コンテンツだけでも結構おもしろいものになりました。

(インタビュー風景:写真に写ると思わず、マスクつけたままだった…)

そしてユーザベースメンバーの助けをかり、記事のSNS拡散を開始。
たくさんのシェアやいいねをいただき、イベントにつなげる良いコンテンツとなりました。

集客や運営は後編へつづく!

ここまでが企画編となります。後編では、集客方法や当日運営での熱量を高める仕組みづくりについてご紹介したいと思います。
ここからは、さらに多くのユーザベースメンバーに助けていただきました。合わせて紹介していきたいと思います。
ではっ!

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酒居 潤平 (Jumpei Sakai)
読んでくださってありがとうございます。まだまだ試行錯誤の連続ながら、自分たちの日々の取組みから得た気づきをシェアしていきたいと思っています。