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【ABM実践】ターゲット企業だけを一気に集客するイベントのつくり方

こんにちは、FORCAS(ユーザベース)の酒居です。

ぼくたちFORCASは、現在ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)という最新のマーケティング戦略を実践し、ターゲティングした企業をいかに開拓していくかについて、チーム全員で全力で取り組んでいます。

その中で、オフラインマーケティング施策を重視し、イベントを活用し、ターゲットアカウントを集客するリードジェネレーション(見込み顧客を集めること)を行っています。

今回は2018年11月に開催した自社イベント『MCSS(Marketo Champion Super Series)』から気づいたこと、分かったことをシェアしたいと思います。

集客イベントの企画フレームワーク

まず、そもそもぼくは通常イベントの企画づくりは、上記のような手順で行っています。具体的に言うと、下記のような流れになります。

① 目的設定
何を実現するために行うのか。ここが一番重要
② ターゲティング
目的を実現するために、対象とすべきターゲットを特定する
③ 条件洗い出し
特定したターゲットを集客するための企画条件として、どのようなことを考慮すべきかを洗い出す
④ 企画アイデア
洗い出した条件を元に、具体的なイベントアイデアを出す。ここで複数のアイデアを出しながら、ヒアリングや検証を重ね、一つの企画に落とし込む
⑤ 企画具現化
企画案を洗練&肉付けしていく。具体的なセッションコンテンツや登壇者を決めていく。また、チーム編成やスケジューリング、集客戦略等、イベント運営に必要なアクション計画をつくる

今回もこの流れに沿って企画を進めていったので、この記事でもこのプロセスに沿って、企画をどうつくっていったのかをご紹介したいと思います。

①目的設定:目的を深掘りして考えていく

まずは、最初に今回のマーケ施策の目的を決めます。

ぼくたちマーケティング&インサイドセールスチームでは、リードジェネレーション(見込み顧客を集める)から、リードナーチャリング(顧客の価値育成)、リードクオリフィケーション(顧客の選定)、見込み顧客へのインサイドセールスアプローチまで様々な活動を行っていますが、今回はその中で、「リードジェネレーション」、つまり「見込み顧客の集客」がテーマになります。

ここから、目的設定について深堀ってお話していきたいと思います。

ABMによるターゲットリストへのアプローチに特化した体制

まず、目的設定についてお話するにあたり、前提として、ぼくたちが実践しているABMにおけるターゲットリストの考え方についてお話します。

冒頭でお伝えしたように、ぼくたちFORCASでは現在ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)という最新のマーケティング戦略を実践しています。

ABMについてどういうものか簡単にご紹介すると、これまでのマーケティングの考え方を逆転させた発想で考えるマーケティングです。つまり、ABMとは、最初に自分たちが狙うべき成約確度が高い顧客をバイネームで特定(ターゲティング)し、ターゲットアカウントに合わせて、情報や組織を再編成し、ターゲットアカウント(企業)を開拓するための戦略を行うマーケティングになります。
※ABMについては一言で語れないので、別記事で具体的に紹介したいと思ってます。

ABMで最も重要となるのが、最初の「ターゲティング」です。まずは具体的にどの企業にアプローチするかを特定していきます。ここがズレてしまうと、その後どれだけ予算やリソースをかけて、アプローチしたり、エンゲージしても効果的なアプローチはできません。

ぼくたちは、そのターゲティングにおいて、自分たちがアプローチすべき企業を特定した企業リストをつくっていて、「ターゲットリスト」と呼んでいます。さらに、そのターゲットリストは、アプローチの優先順位に合わせて3つの段階「Tier(ティア)」に分類しています。(本章冒頭の図参照)

では、具体的にどのようなセグメント分けをしているかというと、下記のような定義で分類分けを行っています。

・Tier1:MarketoかPardotを導入しているSaaSあるいはHR企業から100社を抜粋したもの
・Tier2:MarketoかPardotを導入しているB2B企業
・Tier3:マーケティングやプロモーションを強化している、あるいはIT投資に積極的な企業(FORCASのおけるシナリオ特定)、特定のSaaSあるいはHR企業

(※上記ターゲットリストは、 2018年8月時点のものです。現在は見直しを進め、リスト内容を随時アップデートしています。)

なぜこういう定義にしているかについて話しだすと、これだけで記事化しちゃいそうなので、別の機会にお話します(笑)

そして、この特定したターゲットアカウントをマーケティングチームからインサイドセールスチーム、フィールドセールスチーム、そしてカスタマーサクセス、開発までが全社で共有し、全社でアライン(一気通貫したリレーション)を形成しています。

ぼくたちマーケティングチームでは、リードジェネレーション(見込み顧客を集める)ことも重要なミッションですが、このリードGにおいても、単にリードを集めるのではなく、この「特定したTier企業のリードをいかに集めるか」がミッションであり、そこに全力を投下しています。

今回はその中でも、まだFORCAS社内やユーザベースグループ全体でもつながりをもっていない、いわゆるホワイトスペース(未接点企業群)をいかに開拓し、見込み顧客を集めるかを考えていきます。

①'目的設定:未接点のターゲット企業(ホワイトスペース)を開拓する

ターゲットリストのホワイトスペース(未接点企業群)の開拓を考えるにあたり、ここで課題となってきたのが、「Tier2層」でした。

リードジェネレーションの為のマーケ施策を進めている中で、Tier1と比較し、Tier2に該当する企業群のコンタクトカバレッジ(ターゲットリストに対する接点有アカウントの比率)が低い状態にありました。

この理由としては、Tier1に該当する企業の場合、SaaS企業なら既に別部門で取引があったり、社内メンバーの誰かの前職であったりと、つながりが多いパターンが多く、HRに関してもこれと同じことが言えました。

特に、SaaS企業の集客については、積極的にイベントやWebコンテンツを企画し、集客を進めていたので、カバレッジはどんどん伸ばしていくことができていました。(SaaS集客については別途記事書こうと思います)

一方、Tier2に該当する「Marketo or Pardotを導入しているB2B企業」は、業界も多種に分布し、社内に接点がある企業があまりなく、またインバウンドでもリードがまだ獲得が出来ていない企業が多い状況でした。

しかし、Tier2を含むターゲットアカウントからの成約率が高いことは過去データが証明しており、Tier2のホワイトスペースをそのまま放置しておくわけにはいきません。

ぼくたちはターゲティングによって細分化したセグメント、いわゆる「小さな市場」を独占し、その独占の連続によって、マーケットを効率的かつ最速で拡大していくことができると考えており、それこそがABMの効果であると考えています。そのためには、リードを保有するアカウント(企業)だけでなく、ホワイトスペースの開拓も戦略的に考えていく必要があります。

そこで、今回のマーケ施策の目的を「見込みとなる未コンタクトのTier2企業を集客する」ことに決めました。

②ターゲティング:このフェーズが肝

ここで重要となるフェーズは、「目的設定」はもちろんのことながら、やはり「ターゲティング」のフェーズです。

自分たちが集客したいターゲットをしっかりと定義することが重要となります。ここで特定したターゲットがズレてしまったり、あいまいなまま進めてしまうと、企画案をどれだけ吟味しても、あまり効果的なものをつくることはできません。

今回の目的は、「未コンタクトのTier2企業を集客すること」です。なので、もちろんターゲットは、Tier2に該当する企業群になります。

しかし、イベントコンテンツを設計するにあたり、このターゲットはまだ抽象的すぎます。Tier2企業の中でも誰をターゲットにすべきかをもう少し深掘ります。

Tier2に相当する企業は、Marketo及びPardotというMA(マーケティングオートメーション)を導入しているB2B企業です。しかし、同じMAという括りでも、MarketoとPardotではコンセプト面や機能面で異なる点が多く、その目的に合わせてユーザーの課題感や要望も異なります。

企画を初めた10月段階では、FORCASはMarketoとのAPI連携をしている関係から、Marketoユーザー様の方が比率として多い状況でした。なので、Marketoユーザー様の課題感や要望は、既存ユーザーさんのヒアリングからも多くいただくことができる環境があります。
そのため、今回はより具体的な課題感や要望を掴みやすく、まだ接点・つながりがないMarketoユーザー様に焦点を絞ることにしました。

ターゲティングをさらに深掘りする

では、Marketoユーザー様にはどのような層がいて、どこの層を狙うべきか。そこで、Marketoユーザー様を勝手に「MA(マーケティングオートメーション)の活用度」と「SaaS企業かそれ以外か」という2軸で、4象限のマトリクスへ分けてみました。

まず左上の象限は、「MA活用度が高いSaaS企業」という層。つまり、Tier1に該当するケースも多い、ぼくたちが一番狙いたいメインターゲット層になります。

そうすると、この層を一番狙うべきターゲットだ!と思ってしまうんですが、ここで意識すべきなのが、今回の目的です。今回の目的は「未接点のTier2企業を集客すること」です。つまり、カバレッジが低いTier2層のカバー率拡大、そこからの案件創出が目的になります。

そう考えると、左上の象限の層は、一番のターゲット層ながら、すでにコンタクトを保有するケースが多く、今回狙うべきターゲットセグメントではありません。

また、右下の象限は、「MA活用度が少ないSaaS以外の企業」。いわゆるビギナー層もしくはMAをほとんど活用できていない層です。

ここは今回のターゲットになりえます。しかし、ここもメインのターゲット層ではありません。というのも、初心者レベルや運用に困っている層に対しては、別途FORCASセミナーとして、セミナーを企画し日頃から開催しています。このnoteでよく登場するマルケトの湯原さんに登壇いただく人気セミナー「MA活用セミナー(通称湯原さんセミナー)」です。

つまり、右下象限の層に対しての集客及びナーチャリングの仕組みは既に構築していたので、カバレッジとしてもここの層は、徐々に開拓を進めることができていました。なので、ここは集客ができたら来ていただきたいものの、メインターゲットとはならないという結論になりました。

そこで、考えるべきなのが、右上の象限、「MA活用度が高いSaaS以外の企業」です。

SaaS企業ではなく、初心者レベルでもない層の企業に対して、ぼくたちはまだ的確な集客ができているのだろうか。SaaS企業と異なり、異業種とのつながりは社内メンバーも少なく、社内で活用している名刺管理サービスSansanで名刺所有者からつながりを探しても、なかなかコンタクトがない企業が多い。

さらに、初心者向けのMA活用や、ABMに付随するMAの活かし方についてはセミナーやコンテンツをつくっているけれど、Marketoに特化して、よりマニアックな内容で、MA活用度が高い層を満足させるコンテンツはまだ少ない。

そう考えると、まだまだ開拓の余地があるんじゃないかと、データと照らし合わせながら仮説を立てていきました。

つまり、今回のメインターゲットは、「まだつながり(コンタクト)がないMA活用度が高いSaaS以外の企業」と定め、その層に該当する企業のマーケターを集客する企画を立てることを考えていきました。

尚、ぼくたちの場合は、バイネーム(企業名単位)でターゲットリストを作成しているので、実際に集客したい企業名をリストアップしていき、よりターゲットを明確化することを進めました。バイネームで集客ターゲットを考えることで、企画をより鮮明に具体化していくことができます。

(企画に応じて、ターゲット想定企業をターゲットリストから抽出。通常はSalesforce上でレポート抽出してます。色々いじくりたいときは、スプレッドシートにエクスポートして利用してます)

③条件洗い出し:企画アイデアを見つける場所を特定する

集客するターゲットを特定したら、ここからそれを実現するための条件を洗い出していきます。

ターゲティングをしてからいきなり企画アイデアを考えると、企画内容に抜け漏れが生じたり、アイデア自体に集中しすぎて目的と本末転倒となる、手段先行の内容になってしまう可能性があります。その為、まずは大枠を詰め、そこからアイデアを見つけ出していく、という流れを意識しました。

このあたりのアイデア出しの考え方については、USJの元CMOである森岡毅さんの『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 』の戦略的フレームワークを参考にしています。

そして、今回のイベントを考えるにあたり、考えた条件は下記のようなものになります。

・Marketoユーザー様は絶対に聴きたい!と思うコンテンツ
・参加者の熱量を圧倒的に高めることができるもの
・プロダクトベンダーであるマルケトさんにとってもメリットがあり、協力してもらえるような内容であること
・集客をする上で、他のイベントと差別化でき、話題性があるもの
・FORCASのプロダクトをゴリ押しせずとも、自ずとサービスにつなげていけるもの

ここで洗い出した条件を見れば、どういう方向にアイデアがあるかを特定しやすくなります。この条件を元に、アイデアを探していきました。

「人物 or テーマ」 2つのイベントタイプ

イベントの企画アイデアを考えるにあたり、一点前提として考えておくべきことがあると思っています。それはイベントのタイプです。

ひとえにイベントと言っても、イベントのタイプを2つに分けることができます。

一つは「人物メイン」、つまり登壇者(講演者)を中心に打ち出すイベント。例えば、各界の著名人や有名人の講演イベントで、企画自体も「○○氏講演会」など、その登壇者自体にフォーカスを当てたものです。

もう一方は「テーマメイン」で、テーマやコンテンツ自体をメインとして押し出すイベント。講師のネームバリューで打ち出すのではなく、聴講者の課題感や興味に沿ったテーマを用意し、それを軸に集客もかけるイベントです。多くの企業セミナーがこのタイプで開催することが多いですね。
例えば、ぼくたちFORCASで言えば、「【ABM入門】ターゲティングワークショップ」や「【BtoB企業向けセミナー】セールスとマーケティング組織の連携をいかに実現するのか?」などがこれに該当します。

これはどちらが良い悪いというものではありませんが、それぞれのタイプの特徴を理解し、目的や用途に合わせて設計していくことが必要です。

各タイプの特徴はざっくり言えば、こんな感じになります。

人物メインの企画にすると、聴講者はその登壇者に会いたい、話を聴きたいという目的で来場するため、集客力はその登壇者の人気度や知名度に依存します。呼びたいターゲット層に対し人気が高い講演者であれば、その人が登壇するというだけで、強力な集客力があります。

一方で注意しないといけないことは、あくまで聴講者はその人に会いたいから来ているのであって、テーマ自体やサービスに興味があるわけではありません。そのため、そのイベントからの商談化や受注がなかなか生じにくいという問題があります。昨今よく開催されている自社のプライベートカンファレンスですが、商談化がなかなか進まないという話をよく聴きます。これは登壇者メインの企画にしがちなところに一つは原因があるかもしれません。

そこでB2Bの企業イベントとして、自社のサービスにつなげることを目的とするのであれば、集客するターゲット層に対して人気が高いだけでなく、自社のサービスに沿ったテーマを用意し、それと相関性が高い人物をアサインすることが重要となります。

もう一つの「テーマメイン」の企画では、逆にターゲット層のテーマへの関心の強さ、課題感の度合いが大きく影響します。

登壇者等強力なアプローチがない分、コンテンツの力だけで集客するのは難易度は高く、集客に悩むことも多いケースがあります。企業セミナーを開いてもなかなか人が集まらない、という声をいただくこともありますが、多くの場合、このケースが当てはまると思います。

一方で狙いたい層の多くの人に共感してもらえ、かつ自社サービスとの関連性の強いテーマやコンテンツをつくることができれば、イベントからの商談化や受注はかなり進みます。セミナーが強力なナーチャリング手段となる理由はここにあります。

「テーマ×人物」の企画が最強

上記でも述べましたが、人物メイン、テーマメインどちらが良いというものではなく、それぞれのメリットとデメリットを把握し、目的に合わせた企画設計が重要になると考えています。

しかし、そうは言うものの、集客力が高く、かつその後成約につながる案件を創出できる確率も同時に高いイベントをつくりたいと思いますよね。

そこでぼくたちは、2つのタイプをかけ合わせた「テーマ×人物」の企画を意識してつくっています。

これは単にテーマと人物をそれぞれ重視するというわけではなく、テーマ(コンテンツ)性をまずは定義し、まずはテーマ性が強い企画をつくる。そこから知名度が高いだけではなく、そのテーマとの相性が高く、その人がお話してくれることにより、さらにそのコンテンツの濃度が深まるような人物をアサインしています。

つまり、大切なことは、「テーマを基軸として、テーマと相性が良く、より参加者の熱量が高まる登壇者を選定する」ということだと考えています。

それが実現できれば、集客するターゲット層に対して、人物とテーマ2つの力で集客を行うことができ、強力な集客力を持たせることが可能となります。また、当日のイベントコンテンツについても、参加者の熱量を最大化させ、イベント後の商談化にもつながる流れを促進することができます。

④企画アイデア:条件を満たす企画を考える

「条件洗い出し」フェーズで出した条件に、上記で述べた「テーマ×人物」の企画、ということを加味し、具体的な企画案を考えていきました。

アイデアはマインドマップなどで一気に複数アイデアを出していき、その中でおもしろいんじゃないかと思ったのが、「マルケトチャンピオンを起用したイベント」です。

マルケトさんのユーザーコミュニティでは、毎年Marketoを活用し、自分たちの有効な取り組みをアウトプットして、プロダクトや他のユーザーに良い影響を与えている人を「マルケトチャンピオン」として選出して、表彰されています。これは、マルケトさん独自の取り組みで、以前からとても面白い企画だなーと思っていました。

ユーザーでも見込み顧客でも、他社の活用事例はとても気になるものです。特に、成功している企業がどのように活用し、オペレーションを構築されているのか、そのノウハウについて聴きたいという要望は強くあると以前から感じていました。活用事例セミナーが人気を博しているのもこれが要因で、特に日本では他社事例を知りたいというニーズは非常に強くあります。弊社FORCAS代表の佐久間も日頃から「企業事例は最強のコンテンツだ」と言っています。

ある程度自社でも活用できているリテラシーの高いMarketoユーザー様にアプローチするなら、ありきたりな活用ノウハウはあまり興味をそそられるものではないでしょう。もっとマニアックかつ高度な話を聴きたいと思っているし、そういう話ならば日頃積極的に情報収集しない方でも、聴いてみたいと思ってもらえるに違いない。

それであれば、マニアックかつ高度なノウハウを紹介してもらえるのは、やはり「チャンピオン」です。チャンピオンに選ばれた方々は、実際に自分でプロダクトを活用し、ノウハウを蓄積されている方です。単なる肩書きの知名度だけでなく、本当に活用できる具体的なノウハウを聞けます。

であれば、マルケトチャンピオンに登壇してもらい、具体的な自社事例を紹介してくれるイベントをつくればいいんじゃないかと。しかし、これだけだとまだおもしろくない。であれば、歴代のチャンピオンに登壇いただき、Marketoの取り組み、プロダクトへの愛について、徹底的に語り合っていただければ、さらにおもしろい話をしてもらえるんじゃないか。というか、ぼく自身がめちゃめちゃ聴きたい!(笑)

日頃FORCASのユーザーさんとは、よく一緒に飲みに行かせてもらうことも多いんですが、飲み会の最中でもMarketoユーザー様は酒の肴代わりに「Marketo」について熱く語り合っていることが日常茶飯事で、そのユーザーの情熱を感じるたびに、おもしろいプロダクトだと感じながら、その話の内容に惹かれていました。(マニアックすぎてついていけないときも多々ありますが笑)

そのような居酒屋でのプロダクトトークを、イベントの壇上で、チャンピオン同士で再現してもらうことができれば、絶対におもしろい話がつくれる。その話はプロダクトへの興味が高いユーザーなら聴きたいと思ってもらえるだろう。

さらに、このnoteでも繰り返し述べていますが、イベントの熱量を高めるための重要なエッセンスは、「インタラクティブ性(双方向性)」です。なので、単にそのトークを聴くだけでなく、参加者もチャンピオンに質問したり、意見を言い合えるQ&Aもつくれば、さらにおもしろいコンテンツがつくれるだろう。

このようにして、今回は「歴代のマルケトチャンピオンに登壇していただき、Marketoについて自身の活用事例を紹介しながら、熱く語り合っていただくイベント」という企画をつくることに決めました。

⑤企画具現化:歴代のマルケトチャンピオンに依頼

企画アイデアがある程度固まった段階で、いよいよ企画の具現化フェーズになります。ここではアイデアをより洗練させながら、協力者を集め、セッションコンテンツのカタチをつくっていきます。

企画案がまとまって、まず相談したのが、マルケトの石野さん。

石野さんは言わずとしれたマルケト世界チャンピオンであり、かつ現在はマルケトさんで大活躍されています。
そもそもぼくの前職であるSansanのときに一緒に働いていた仲間であり、ぼくが入社してインサイドセールスをゴリゴリやっていたときに、石野さんがリードを供給してくれていました(笑)

「石野さん、マルケトチャンピオンの方々にパネル登壇してもらって、マルケトについて語り合ってもらうイベントをつくりたいんですけど、どうですか?」と聴いたところ、「いいですね!やりましょう!」と二つ返事で協力してくださることになりました。

そして、石野さんから「せっかくだからおもしろい企画になるように、タイトルも工夫して、ボクシングをオマージュしたようなものにしましょう!」という提案をいただき、イベントのタイトルはMarketo Champion Super Series、略して『MCSS』に決まりました(笑)

石野さんと話し合い、イベントをさらに具体化していきました。その中で決めた重要点は2つ。

① 参加対象者はMarketoユーザー様に限定する
② エンタメ性を細部に取り入れる

ここでのポイントも、「参加者の熱量を最大化させる」こと。

チャンピオンが語る話は、マニアックかつユーザーに本当に参考になる内容にしたい。そうすれば、ユーザーからは「わかるー!」「なるほどなぁ!」という想いを持ってもらえ、熱量を高めてもらうことができます。

逆に、どのレイヤー層にも理解してもらえるように、抽象的な話や初心者にもわかるようにプロダクトの説明を加えるなどをしてしまうと、その熱量は一気に下がってしまいます。そして、今回のターゲット層はそれでは満足できないでしょう。そのためには、まだプロダクトを触ったことがない、導入しようとしている企業は対象にはできません。

集客を広げたいという葛藤もありますが、「あえて限定する」ことが結果的に目的達成につながると思います。そのため、参加できる対象者を限定することにしました。

また、ユーザーの方にセミナーという感覚で硬い雰囲気で学ぶのではなく、楽しみながら共感してもらえるイベントにしたい、という想いもありました。そこで、話のコンテンツ自体は真面目かつリアルであるものの、登場シーンや時間帯にこだわり、また登壇するチャンピオンにはそれぞれチャンピオンの証であるジャケットを着用していただくことにしました。

肝心の登壇者については、歴代のマルケトチャンピオンということで、HDE(現 HENNGE)の水谷さん、我々FORCAS(元freee)の嶋田に登壇を依頼したところ、快く登壇を了承してくれました。ありがたいです。

集客バナーのクリエイティブについては、いつものセミナー通り、デザインチームの廣田さんが制作してくれました。

カッコイイクリエイティブをつくってくれるデザイナーが社内にいることは、オンライン・オフライン問わず、マーケ施策を回すために、とても重要なことだと思います。ここにもエンタメ性を盛り込みつつ、それぞれのチャンピオンの称号を加えるなどして興味喚起できるようにしています。

そして、サプライズとしてもう一人ゲストを途中で追加。
2018年のMarketing Nationで新チャンピオンに選ばれた、VAIOの日高さんです。

日高さんはFORCASユーザーであり、日頃からぼくたちのセミナーへの登壇やイベント参加、飲みなどなど、大変お世話になっている方です。日高さんも快く登壇を引き受けてくれました。

こうして、歴代のマルケトチャンピオン4名が登壇する、マルケトチャンピオンによるMarketoユーザー様のための濃度の濃いコンテンツが出来上がってきました。

オフラインでの口コミ集客も効果的

MCSSの集客では、オフラインでのアナログ集客も積極的に進めました。

というのも、参加対象がMarketoユーザー様に絞っているので、逆に口コミの力を使わない手はないなと。
口コミは無理やり起こすことはできませんが、それを促進することはできると思っています。そこで、口コミを促進するためのアイテムを用意することにしました。

そこで、デザイナーの廣田さんにお願いし、イベントフライヤーを作成してもらいました。FORCASユーザーの皆さんにお願いしたり、社内メンバーに依頼して、Marketoユーザー様へ紹介しもらうことを進めました。

(廣田さんにつくってもらったフライヤー。毎回カッコイイ)

また、実はこれも狙っていたのですが、MCSSを開催する同月の初めに、マルケトさん主催の大規模カンファレンス「Markting Nation」がありました。

(Marketing Nation出展ブース。マーケチームメンバーのみくちゃんと岩井)

多くのMarketoユーザー様が集まるこのイベントは、集客対象が集まるかっこうの場所です。我々もそこでセッション登壇やブース出展をさせていただいたので、このフライヤーを活用しながら、積極的にイベントの周知を進めました。

イベント結果と効果

(MCSS、石野さん講演風景)

そして、さまざまな方々に協力いただきながら、いよいよ『MCSS』は無事開催を迎えました。

定員30名に対し、申込みは70名を越え、急遽定員を増やし、当日は約50名の方にお越しいただきました。
もちろん全員がMarketoユーザー様でTier2企業に属する方々で、参加者に体当するターゲットアカウント比率は100%となりました。

また、コンテンツ内に弊社COOの田口の簡単なFORCAS紹介を盛り込み、登壇者の方々がFORCASについても、データマネジメントの話の中で自然と話題を出してくださることで、自ずとFORCASへの興味を持っていただくことができました。

結果として、これまでタッチできていなかったホワイトスペースの企業層を集客し、案件創出を進める一つの施策となりました。

(水谷さんの講演風景:Championを目指すユーザーの方々への実体験に基づくお話をリアルに語っていただきました)

さらに、嬉しかったことは参加者からも良い声をいただき、「今までのイベントで一番楽しかった」という声をいただいた時は、とても嬉しかったです。
熱量が高いイベントをつくることは、短期的なマーケ効果以上に、長期的にユーザーさんや見込み顧客との関係を構築する上で、とても重要な要素だと改めて実感しました。

さいごに:参加者視点で感動するコンテンツをつくる

いかがでしたでしょうか?
ABMで、狙いたいターゲットを最初に特定し、その企業群を開拓するためにイベントを活用し、効率的かつ効果的に集客を行う方法を経験に基づいてご紹介しました。ご参考になれば幸いです。

ターゲットしたアカウントに集中して集客するためには、いかにその対象となるターゲット層が「絶対に聴きたい!」と思うコンテンツをつくることができるかが、とても重要になります。

これはコンテンツマーケティングの考え方に通ずると思いますが、「絶対に観たい!聴きたい!」と思ってもらえるコンテンツをつくるには、「参加者視点で、自分自身が感動できるコンテンツをつくる」ことがとても重要だと思っています。そのために必要となるアイデアやリソースを準備し、それを実現し、さらに良いものにしていくための、協力者をいかに集めるかがキーになると思います。

今回は、ABM×オフラインマーケティングで成果を上げるための事例の一つとして、ぼくたちのイベント企画をご紹介しました。

さいごに、今回のイベントでもご協力くださった、石野さん・湯原さんをはじめとするマルケトの皆さん、いつも快く登壇を引き受けてくださり、今回も最高に会場を盛り上げてくださったHDEの水谷さん、イベントでも飲み会でも本当にお世話になってるVAIOの日高さん、会場を貸してくださったウイングアークさん、登壇したくれた嶋田さん&田口さん、オペレーションまわりを引き受けてくれたみくちゃん、岩井、廣田さん、つなっきーさんをはじめとするFORCASメンバー、そして、イベントにお越しくださった参加者の皆さん。
今回も良いイベントを一緒につくってくださり、本当にありがとうございました!

本記事もすごい長文になってしまいました。拙い文章にも関わらず、さいごまで読んでくださり、本当にありがとうございます!
少しでも日頃の取り組みへのご参考になれば幸いです。ではっ!

イベントページ↓(申込みは締め切ってますがご参考までに)

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酒居 潤平 (Jumpei Sakai)
読んでくださってありがとうございます。まだまだ試行錯誤の連続ながら、自分たちの日々の取組みから得た気づきをシェアしていきたいと思っています。