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展示会から少人数で圧倒的な受注をつくるためのブース運営戦術

こんにちは、FORCAS(ユーザベース)の酒居です。

最近「展示会で効果を上げる方法を知りたい」とご質問いただくことがちょくちょく増えてきました。なので、今回はぼくたちが実践している展示会出展でのやり方についてご紹介したいなと。

特に今回は、展示会戦略の中でも、「どうやって少人数で商談・受注という成果を最大化させるか」という戦術部分に特化して、展示会当日の運営フロー編をご紹介していきます。

展示会ブース運営で重視している3つのポイント

ぼくたちFORCASは、昨年もさまざまな展示会へ出展してきました。展示会出展をし始めてから現在にいたるまで、マーケとインサイドセールスチームを中心に少人数(8名程度)で3日間の展示会を回しています。

毎日PDCAを繰り返し、精度を高めながら、展示会からの受注の最大化をいかに実践するか、そのため戦術をつくってきました。おかげさまで、過去出展した展示会からは多くの成約をいただき、特に昨年前半は展示会が受注の重要なマーケティング施策の一つとなっていました。

その中で、ぼくたちが展示会当日のブース運営において重視しているポイントは大きく分けると下記の3つがあります。

① 量の最大化:リード収集を最大化する
② スピード:事後フォローを最速化する
③ オペレーション:上記2つを実現するための仕組み構築

展示会のリードの質コントロールは、ある程度出展する展示会のテーマ、出展立地によって決まります。(なので展示会選定と立地戦略はとても重要)そこで、当日のブース運営では、最初の入口においては量に振り切り、とにかく獲得リード数(名刺)を増やすことを優先します。そして、そこからのスクリーニングやフィルタリングはオペレーションに落とし込んでやっていきます。

そして、展示会は当日だけでなく、その後のフォロー対応がとても重要です。「展示会出展してもあまり成果につながらない」という企業は、展示会後のフォローのやり方が上手く機能していないことが多いです。ここでのポイントは「スピード」です。これは後ほど具体的に紹介していきます。

そして、リードジェネレーション(見込み集客)から展示会後のフォロー、商談獲得にいたるまで、徹底したオペレーション構築が重要になります。少人数では実際気合いだけでは体力がもちません(笑)そこで、少人数でも圧倒的に高い生産性を上げられるような仕組みをつくっていくことが大切です。

では、その3つのポイントを元に、ぼくらが実際に行っている展示会当日のブース運営フローをご紹介していきます。

1.  リード獲得(呼び込み)はイベントコンパニオンを起用

ぼくたちは展示会でブース出展する際には、イベントコンパニオンさんを起用しています。道行く展示会来場者をキャッチして、ブースへの呼び込みすることに関しては、ほぼ完全にコンパニオンさんたちにお願いしています。

これはもちろんリソースの関係もありますが、それ以上に「餅は餅屋」という考え方で、その道のエキスパートであるイベントコンパニオンさんに一任しています。

コンパニオンさんに依頼していることは3つ。

① 道行く来場者の呼び込み(キャッチ):とにかく量に集中して声掛けをしていただく
② フィルタリング:固定で簡単な質問をしていただいて、その回答によってメンバーへつなぐかどうか判断。ex.「BtoB企業の方ですか?」等
③ バーコードリードの収集:ターゲット対象外、何かの理由で立ち寄る時間がないという来場者については、コンパニオンさんにてバーコードでリード獲得してもらう

始めの頃はぼくたち社内メンバーだけで、呼び込みからデモ説明まで一貫してやっていました。しかし、ブースに立つマーケメンバー3名、インサイドセールスメンバー4名程度で3日間ブースを回すのは、体力的もリソース的にも限界がありました。そして生産性の面でも、呼び込みが上手いメンバーとそうでないメンバーとのギャップが大きく、人によってばらつきが生じてしまうということもありました。

その解決策として、イベントコンパニオンさんにお願いするようになってから獲得リード数が急増。ぼくたち社内メンバーは、コンパニオンさんからつないでもらった来場者のデモ実演やサービス紹介に専念できる環境がつくれました。

実はイベントコンパニオンさんの起用方法については、ここもいろいろとこだわりがあって、結構細かくつくりこみしています。それについて書こうとして書いてたら、それだけで記事つくれそうなボリュームになってしまったので、残念ですがあえてここでは割愛します(笑)

協力的なコンパニオンさんにお願いすることができれば、自社のサービスをお伝えし、簡単なサービス紹介や概要説明についてはしていただけるようにもなります。そういうコンパニオンさんの場合は、継続して協力いただいた方が良いので、早めに次回の展示会出展の日程で都合を押さえにいきましょう。

2.  メンバーはデモや紹介にフォーカス

コンパニオンさんに協力いただき、ブースへの呼び込みを一任することで、ぼくたち社内メンバーは、コンパニオンさんがつないでくれた来場者さんへのサービス紹介やデモ実演に集中しています。

ではブースに立つメンバーはどの部門のメンバーをアサインしているかというと、基本的にはインサイドセールスのメンバーを中心に、マーケティングチームやセールスチームのメンバーをアサインします。

インサイドセールスメンバーにブースに立って話してもらうことで、その後のフォロー時に「あの時お話した◯◯です」と伝え、内容もお互いに理解した上で商談のご提案が可能になります。来場者は他のブースにもたくさん立ち寄っており、「そもそも何の話だっけ?」となることが多いですし、さらにたくさんの企業からフォローコールが来ます。その中で、差別化し、先方にも不安なくお話しただけるように、直接話して顔を理解しているメンバーができるだけフォローすることが大切になります。

また、社内メンバーがブースで来場者と会話していく中で重要なことは、「必ずヒアリングする項目を共有しておく」ことです。

その方が自社のターゲット層とマッチするのかどうか、お互いの情報の行き違いを防ぐためにも、必ず聞くべき項目をメンバーに伝え、一方的にサービス紹介をするだけでなく、質問に力を入れてもらいます。

ポイントとしては、聞く質問はできるだけ数を絞ることです。必ずヒアリングする質問が5個も10個もあると負担が大きすぎて、現実的ではありませんし、そもそも来場者も尋問を受けてるようになり、印象としてよくありません(笑)

質問は多くても3個までに絞ることをオススメします。そうすることで、ブース対応メンバーも人による情報のばらつきが生じることが少なく、話もスムーズに整備できます。

そして、ここでヒアリングした内容が次の段階で活きてきます。

3. 獲得名刺(リード)はその場でランク判定

ブースで名刺交換し、お話が終わってお見送りしたら、会話の中でヒアリングした情報を元に、すぐに見込みを優先度に応じてABCでランク付けします。

記載方法はメンバーによると思いますが、オペレーションを円滑に回すには、各メンバーが名刺の裏に「ABC」をペンで記載するのが一番スムーズです。(礼儀正しくはありませんが)

ここで大切なポイントは2つ。

・ランクはABC等、その場で判断できるレベルにシンプル化する
・そもそものランク定義を統一しておく

この2つがとても重要です。ランク分けを複雑にしすぎると、その場で判断できません。判定を後回しにしてしまうと、枚数が増えればもはや誰と何の話をしたかわからなくなってしまいます。なので、その場で判断ができるようにシンプル化することが不可欠です。

さらに、ランクの定義が各個人でズレていると、あとでランクごとに収集して対応しようとしても、全く意味がないものになってしまいます。それを防ぐために、そもそもどういうものがA(最優先)、B(優先)、C(劣後)なのかを、全員で統一して共有しておく必要があります。

では、ABCの定義は何が良いかというと、これはPDCAを回しながら、自社に合う定義をつくっていかないといけないと思ってます。

たとえば、ぼくらの失敗例でお話すると、展示会に出展し始めた当初は、すぐに商談アポがとれそうなものを「A」、追ったら商談アポとれそうなものを「B」、すぐにはアポになりそうにないものを「C」としていました。

これでやると、確かに商談アポ獲得数はめちゃくちゃ伸びました。肌感としてアポがとれるとわかっている方にコールするので、特にAはほとんどアポがとれます。しかし、一方で商談獲得は伸びても、実際に営業が訪問してみると、全然見込みにならない商談であることが多く、案件化につながらないケースが続出しました。それに、「アポがとれるほどアツいかどうか」はあくまで主観的なジャッジになるので、人によるばらつきも発生しました。

その反省から色々と試行錯誤を重ね続けており、現在はABM体制を敷いていることから、「ターゲット企業かどうか」「ライン(部門)が合うか」「課題感が合うか」という点でランクを判定するようにしています。

この判定は実際に効果が高く、自社イベントのフォロー時にも別の形で応用しています。(その話は別で書きますね)

そのようにして、各メンバーがランク分けした獲得名刺は、ある程度集まったら、裏手の控室に設置してある自分の名前が書いてる袋に入れていきます。

4. Sansanでタグ情報とともに最速でデータ化

展示会でブース運営を行いながら、同時並行で展示会後のフォローのための準備を進めていきます。その中でも大切なのが、「獲得した名刺のデータ化」です。

ぼくたちは、展示ブースに名刺管理サービスのSansanのスキャナー一式を持ち込み、Sansanのデータ化担当者をアサインして、そのメンバーに定期的に名刺交換者ごとに回収した名刺(↑で個別に袋に入れてもらってるもの)をタグ付け(展示会名、ABCランク)した上でスキャンしていってもらっています。ここの流れはデータ化を担当してくれるメンバーがオーナーを持ってつくってくれています。

ちなみに、「タグ」とは名刺に紐付けて付与できる情報のことで、どこで会った方なのかを管理したり、名刺をカテゴリ分けしたりしてデータ管理できる有効な機能です。Sansan上でタグ検索で名刺リストを出したり、そのタグ情報をSFDCのキャンペーン名にそのまま引き継いで、リード管理したりできます。(タグはSFDCのキャンペーンで活用することを前提に設計するのがオススメ)

ここでのポイントは2つ。

・獲得名刺はその名刺交換者のアカウントごとに別々にスキャンしていく
・展示会名やABCランクのタグを予め用意しておき、そのタグを名刺に紐づけする

名刺所有者を明確にせずに、「展示会獲得名刺」という形で一アカウントにまとめてスキャンしてデータ化することはオススメしません。たしかに一斉送信などには使えるかもしれませんが、名刺に大切な「接点情報」(だれとだれがつながっているか)ということがわからなくなってしまいます。

先程上記で述べたように、展示会では直接お話したメンバーがフォローすることが一番効果的です。その大切な接点情報がわからなくなってしまうことは、大きな機会損失となります。面倒でも交換したメンバーごとにそれぞれ読み込みをしていくことが大切です。

そのためのできるだけスムーズにデータ化ができるようなオペレーションを組む(個人ごとの名刺入れる袋を用意する、Sansanスキャナー読み込みは一人に担当を固定する等)ことがオススメです。

少人数で展示会をまわすのは、ただでさえ労力がかかるので、オペレーション整備はPDCAをまわしながら、どんどん最適化していくことが求められます。

5. 翌日午前中にフォローコール

なぜ上記4で展示会のブース運営と並行しながら、わざわざデータ化をするのかというと、「展示会フォローはスピードが命」だからです。

展示会が終了後、ある程度落ち着いてきたら、多くの出展企業からさまざまな方法でアプローチが来場者へ繰り広げられることになります。

電話でのアポ打診、メールでの御礼連絡、メルマガ登録など、もはやどの企業から何の件で連絡がきたかもわからなくなる感じになります。このような状況で、先方へお電話をしてしまうと、逆に嫌がられてしまったり、通話率も低下します。メールを送っても、御礼メールの中に埋もれてしまいます。

そこで、そのようなレッドオーシャンを避けるためには、「スピード」で差をつけ、多くの企業がまだフォロー対応を開始する前に、来場者へのアプローチを行うことが重要です。

そのために、Sansanでのデータ化、Salesforceへの情報反映をできるだけ早く行います。そして、データ化された情報を確認しながら、翌日の午前中にはインサイドセールスのメンバーがフォローコールやメール連絡を開始しています。

ここでのフォローコールでは、昨日ブースお立ち寄りの御礼と再度のヒアリングの上、主に商談提案を行いますが、場合によっては後ほど述べるセミナーをご案内することもあります。

翌日対応と書きましたが、やはり人的リソースの問題もある可能性があります。実際ぼくたちもIS(インサイドセールス)の人数が少ないので、展示会中のフォロー担当は一人に絞って、そのメンバーに対応してもらう、ということも行ったりしていました。直接名刺交換した本人がかける方が良いので、なるべく本人が対応できる環境をつくりながらも、リソースとのバランスを考えながら、その状況でできる方法を考えていくことも大切だと思います。

なお、最近だと、そもそも「フォローコール」というもの自体に疑問を感じ始めたりもしています。どれだけ他社さんよりも早く連絡したとしても、展示会出展企業からのたくさんの連絡のひとつには変わりないので、あまりfor youではないなと。なので、別のアプローチ方法を今考えており、進めようとしています。これは別の記事でまた書こうと思います。

6. 展示会終了の翌営業日に来場者向けセミナーの案内をメール配信

展示会からの受注を最大化するためには、事前準備として「展示会の受け皿となるセミナーをつくっておく」ことが大切です。

展示会時のブースだけではどうしても伝えきれないことがあります。そこで、お話して商談になるケースもありますが、全員が全員商談につなげられるわけではありませんし、お話を伝えきれるわけでもありません。

そこで、展示会でブースに立ち寄ってくださった方で、すぐに商談にはならないまでも、今後見込みになりうるためにエンゲージを高めてフローをつくっていきます。

ここでも大切なのは「スピード」です。そもそも展示会に時間を割いて参加し、ブースに立ち寄ってくれてお話した、というのは、先方にとって能動的な行動であり、エンゲージメントが高い状態と言えます。その熱量が高い状態でアプローチするのと、展示会からしばらく時間が経って、温度感が冷めてからアプローチするのとでは、結果は大きく異なります。

そこで、熱量が高いうちに、しっかりと「次」につなげることが重要です。ぼくたちの場合は、その受け皿となる「次」が「セミナー」です。

注意点として、受け皿でセミナーをつくるとしても、「自社のサービス説明会」的なセミナーはオススメしません。展示会に参加されている方は、温度感は高いですが、これはあくまで「自社の課題に対して」であったり、「新しい情報に対して」温度感が高いという状態であり、決して「自社サービスに対して」温度感が高い状態ではありません。

ここを履き違えて、自社サービスの紹介などをやるセミナーに呼び込もうとすると、結局人が集まらず、「展示会出展したけど、その後何もつながらなかった」という結果になってしまいます。展示会からの流れをつくるには、展示会参加者のニーズに沿った形でカスタマージャーニーを描くことが大切です。

ぼくたちの場合でいえば、展示会の参加者の属性を考慮しながら、その方々が興味を持ってくれそうな内容のコンテンツを用意するようにしています。

そこでコンテンツとしては大きく2つのコンテンツ(セミナー)を用意しています。

① 全体向けコンテンツ:ターゲット層一般(初心者含む)に興味を持ってもらえるセミナー。ex. ABMワークショップ

② セグメント別コンテンツ:獲得したリードを特定のセグメントで分け、その特定の層のみにアプローチするためのセミナー。 ex. データマネジメント、インサイドセールスセミナー等

また、フォローメールのタイトルや文面を工夫することもポイントです。これはメールマーケティングの内容になるので詳しくは書きませんが、他の御礼メールやセミナー案内との差別化を意識して、展示会参加者が興味をもってくれ、参加したいと思ってくださるような見せ方をしていくことも、展示会からの受注最大化には大切です。

おわりに:獲得した名刺は眠らせずにフル活用する

今回は展示会当日のブース運営フローについて、ぼくたちのやっていたことをご紹介しました。最近はマーケティング戦略上、展示会出展を控えていますが、展示会で学んだノウハウは、自社のオフラインイベントでさらに応用させてフル活用しています。

展示会は3日間立ち続け、はじめましての方々へプロダクトを紹介し、一日しゃべり通すという、体力的にもとても大変な施策ではあります。だからこそ、そこで獲得した名刺は徹底的に活用していくことが大切です。そのためのオペレーションを構築していくことも展示会施策の重要な部分だと思います。

そして、展示会は別の角度から見れば、メンバーみんなで盛り上げていく一種のフェスだとも言えると思います。なので、ゴリゴリマーケ施策としてアプローチやオペレーションをつくることも重要ながら、その期間を「みんなで楽しみ」ながら活動することもとても大切なポイントだと思います。ちなみに、本当に楽しんで活き活きとみんなが活動しているブースには、人が立ち寄ってくれる雰囲気が醸成されます。

今回は展示会ブース運営を中心にご紹介しましたが、そもそも展示会出展時に押さえるポイントや集客戦略についても、ご希望の声があれば今後書こうと思います。

では、今回はこの辺で。ではっ!

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酒居 潤平 (Jumpei Sakai)
読んでくださってありがとうございます。まだまだ試行錯誤の連続ながら、自分たちの日々の取組みから得た気づきをシェアしていきたいと思っています。