証券口座 4 入金元銀行口座と出金先銀行口座の同一性
顧客が自己の証券口座に入金するということは、例えば、顧客がA銀行に依頼して、顧客のA銀行口座から証券会社のB銀行口座に資金を移動させるということです。
これに対し、顧客が自己の証券口座の資金を出金するということは、例えば、顧客の指示を受けた証券会社がB銀行に依頼して、証券会社のB銀行口座から顧客のA銀行口座に資金を移動させるということです。
マネーロンダリングのポイントは、資金移動を繰り返して、犯行現場から一歩でも遠く離れたところに資金を移動することです。
そうすると、上の例でいえば、顧客の資金は、顧客のA銀行口座→証券会社のB銀行口座→顧客のA銀行口座と移転(回帰)しています。
マネーロンダリングの観点から見れば、資金は顧客の手もとから移動していないともいえます。
これに対して、顧客が証券会社から資金を出金する先の銀行口座をC銀行に保有する口座に変更した場合、顧客の資金は、顧客のA銀行口座→証券会社のB銀行口座→顧客のC銀行口座と移転しています。
マネーロンダリングの観点から見れば、資金は顧客の手もとから一歩先に移動したということになります。
証券会社は銀行と異なり、資金振替業務を行えません。
ただ、このように証券会社を介した実質的な資金移動が可能であることからすれば、証券口座に入金するための入金元銀行口座と証券口座から出金するための出金先銀行口座は、同一であるべきように思われます。