犯収法の目的
取引時確認義務は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)」が特定事業者に対して課す義務です。
特定事業者は、対象取引を行う際には、取引時確認をしなければなりません。
取引時確認は、顧客が自然人の場合、①本人特定事項の確認、②取引の目的、③職業について確認します。銀行など金融機関で口座を開くときには、必ずこの取引時確認が行われます。
犯収法の目的のひとつは、犯罪による収益を移転させないことです。「移転」させるとは、警察などの捜査機関による追跡が困難な状態(マネーロンダリングが達成された状態)にすることです。
犯罪による収益が物理的に移転したとしても、捜査機関による発見、追跡がされれば、裁判により没収されたり、民事手続きを経て被害者に返還されたりすることが可能になります。さらなる悪事に使われたりすることを防ぐことができます。
犯罪による収益が当初現金であろうと口座の残高であろうと、それを隠匿したり、使ったりするときには、ほぼ必ず金銭が人から人へと移転します。銀行口座を転々とさせようと、不動産を購入しようと会社を設立しようと同じです。
犯収法は、金銭(利益)の移転先に当たる人(業者)に取引時確認義務を負わせています。
金銭が移転したとしても、各移転先(業者)において取引時確認が適切に行われていれば、後々、捜査機関が収益の源泉である犯罪行為と犯人にたどり着ける可能性が出てきます。