見出し画像

キャンバスにプリントした展示作品について

写真展での出展作品の仕掛けを考える

展示作品のサイズと配置ということ

これまでにもグループ展とか企画展に結構出展してきましたが、大体展示幅が決められた壁面をどうやって埋めていくかという視点で、その大きさもプリントする紙の大きさに依拠していた展示をずっとしてやってきてまして。そのような中で、そろそろ紙のサイズに縛られる展示をやめようと思ってましてね。
実際写真のサイズはL版〜2L版〜六切〜四切〜半切〜全紙という系列だったはずなのに、いつの間にかJIS A列へのプリントが主流になっていたり。
そもそも、ハレパネと呼ばれる発泡パネルのサイズがJIS A列であったり、市販されているプリント用紙のサイズがやはりJIS A列であったりしていることからどうしてもその7:5のサイズ感に目が慣れてきたという話もあったのかもしれないのですが、作品のサイズなんてもっと自由であってもいいと思ったわけですよ。

美術館で考えてみた

そもそも人物を写す、ということはどういう意味を持ち、どういうものが美しいとされているのか、ということを考えていくとやはり人物画を見ない訳にはいかないのでして、中世からの宗教画に始まり印象派絵画、キュビズムから現代絵画までいろいろと見ることも実は多いのですが、おおよそ作品展であったりサロンへの出品というのは大作(大きな作品)が多いのですね。
(独り言:そうか、大作も作らないといけないのか。だけどそんなのどうやって作成したらいいのかね?紙のプリントだってA1とか結構大変だぞ…)

布張りキャンバスという展示素材と油彩額

プリント用紙からの脱却

ポートレート撮影と展示を主にやってますけど、JIS A系列の印刷用紙にプリントした作品を額に入れたりパネルに貼って展示を行うことが多いです。
たまに大きな壁面を使う機会もありまして、ある程度大きな作品についてはこれまた額装ということを考えてやらないといけないのですが、実は大判の額でJIS A系列(A0とかA1とか)というのがなかなかなかったりします。
額縁で色々と探していくと、油彩用の額が結構出てきていてサイズも豊富なようです。しかも結構豪華なものも多くてこれはと思いもう少し探ることにしました。
この際だからJIS A系列の7:5から離れる意味でもプリント用紙使わなくてもいいんじゃね?

油彩額のサイズ

油彩画はいわゆるキャンバスに作成していくことが多いと思いますが、この張りキャンバスのサイズがまた結構独特の世界でした。このサイズも実は対象によって変わるらしく、
M:Marine (海景:黄金比、大体8:5)
P :Paysage(風景:白銀比、大体7:5) 
F :Figure (人物:大体6:5)
ということでポートレートで縦構図ならF系列、風景に人物を溶け込ませる作品で横構図ならP系列やM系列がいいということなのですかね。またキャンバスが大きくなると縦横比が変わる規格になっているとか、へ〜へ〜へ〜ってなりました。
(参考:アート数奇

展示に使う場合のサイズだとJIS A列のA1(840x594mm)~A4(297x210mm)を念頭に置くと考えやすく、これをキャンバスのFサイズで置き換えると大体F3(270x220mm)〜F25(810x650mm)になります。
横構図でMサイズを考えるならM3(270x160mm)〜M25(810x540mm)がいいということらしいです。
(独り言:これまで全部FでやってたけどMも考えないといけないのか)

どうでもいい話ではありますが、紙のJIS A列はA0が1㎡の面積になるように、かつ半分に折った時に縦横比が同一になるように、ということで縦横比が1:√2となっていて、それがためにA0は1189mmx841mm(1.189は2の4乗根、0.841はその√2/2倍)となっているので、辺の長さの決め方からして実に工業製品のための規格だと思わざるを得ません。

額の調達

画材店にいけばそれなりに高級そうな額が山ほど売られていますが、そこは費用を抑えるためにネット通販を大いに活用しています。ちょっとくたびれたくらいの感じで、金や銀を使った額の方が作品に風格を与えると勝手に思っているので、そういう風合いのものを選んでます。
展示用のサイズを考えた場合はF4~F15くらいが使いやすそうですが、一応F20までは確保しているのでどこかで使うかもしれません。
(M12とかM15も確保しないといけないらしいが…)

たまにアウトレット品が出ればもちろんそれは買いですが、問題は保管に場所をとることでしょうかね。
マルニ額縁画材店
額縁のタカハシ

キャンバスへのプリント

自家プリントでキャンバス地へのプリントはできませんので自ずと外注となります。
実はキャンバスプリントを手がけている業者さんは結構あって、例えば写真関係だとFUJIFILMでも扱っていて、ヨドバシカメラで簡単に発注できます。
FUJI COLOR WALL DECOR
ただこちらはサイズがあまり豊富ではない(F3,F6と180mmまたは273mm四方のSquare)こともあって、いくつか業者を探しまして、現在はアンビエンテさんのCANVAS PRINTを使ってます。
こちらは大判はF15~F30、JIS A1、B1に対応、通常サイズの場合はF0~F12、M6~M12、JIS A2~A5、正方形タイプも180mm〜455mmSqまであるので結構使い勝手は良いです。

実際に作品を展示してみた

F3サイズ(大体A4サイズ相当)

こちらは普通の展示に混ぜて少し目を引かせようと意図してやってみた感じです。注目度は高かったように思えますが、視線が散漫になるので2回試してそれ以降やってません。
1点もので小さな作品展に出してみる、というのはいいかもしれないです。

2022年Joe展での展示作品
上段中央がキャンバス地にプリントした作品

F6サイズ(大体A3サイズ相当)

ちょっと目を引かせようかなって思って、人がやらないような展示をしてみたいという向きにはこのサイズはお手頃かもしれません。

2023年マシュマロ撮影会8周年展での展示作品
額縁で結構雰囲気が変わります

F8サイズ(A3ノビより少し大きいくらい)

この辺のサイズが扱いが楽なようです。壁面展示であれば、額縁の大きさを入れてちょうどいい感じかもしれないです。

2023年The World in Yokohama 2023での展示作品

F15サイズ(大体A2とB2の間くらい)

かなり訴えるものがあります。周りも威圧できますが、家にあるとかなり大きい。
額縁もそれなりに幅と高さがありますのでパーティションだと結構辛いです。天井が高い会場の壁面での展示がおすすめです。

Real Portrait Tokyo 2023での展示作品
左がF15、右2枚がF6

キャンバスプリントでの注意すべき点

色の再現性など

色の再現性などは発注時に確認するオプションもあります。とは言え、費用もかかりますので、マット系の紙で試し刷りをしてイメージを固めてから発注した方がいいとは思います。
キャンバスですから一応無光沢ですし、使用するインクの質にもよりますが、基本的にシャドウは沈むとみておいていいです。
アンビエンテさんは印刷見本を出してくれますので、そこで調整かけることもできます(やったことないので詳細は不明ですけど)。

キャンバスプリント時の色の再現性は比較的良いです。ただ雪景色のような白色面が多い構成の場合は自動発注は避けて業者さんへ直接依頼しないとダメですね。
あと、プリント面の風合いとかを重視したいのであれば、それはご自身で素材を探すなりして自己責任でプリントしないとダメです。乳白色のキャンバスで肌色を表現したいとかは外注だとさすがに無理(謎)。

印刷サイズの問題

カメラにもよりますが、通常デジタルだと4:3とか3:2で記録されることが多いと思います。となると当然トリミングが発生します。
撮影時にはその辺りも考えた画角や構図も考えておかないといけないかなとは思います。縦構図なら上下切れますし、横構図なら左右対称できちっと入れると左右が切れるので、その辺りをどうやって折り合いをつけるかとか。もちろんJIS A列でのプリントもできるようですので、額を用意しないのであれば通常の7:5も可能ではありますが。
あとシャドウが沈みがちになるので少し持ち上げておくとか、工夫がいるかもしれません。

納期とか

アンビエンテさんだと、F12までなら発注して手元に来るまでに1週間程度かかります(5営業日くらい)。F15でも2週間みておけば大丈夫でしたが、展示の準備は早めに行いましょう。

次の展開

F20額とMサイズをどうしようか?

どうしましょうかね?(苦笑)


いいなと思ったら応援しよう!