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JLPT(日本語能力試験)に合格しましょう!

はじめまして。

JLPT合格塾のすいかと申します。

このnoteでは、日本語を教えている日本語教師(日本語講師)と日本語を勉強しているみなさんにとって、有益な情報をお届けしたいと思っております。

1.すいかの簡単な自己紹介

私は日本国内の日本語学校で10年間、日本語教師として働いてきました。非常勤講師(フリー)として4年、専任講師として6年間。主に大学や大学院、専門学校への進学を目指す留学生、一部就職を目指す留学生に日本語を教えてきました。会社員や生活者向けのレッスンを担当したこともあります。

2.JLPT(日本語能力試験)に合格するには?

JLPT(日本語能力試験)とは、ざっくり言えば、言語としての日本語の知識、仕組みが問われる試験です。会話の試験はないので、実際の運用力はともかくとして、正確な知識を持っているかどうかがチェックされます。

しかし、留学生の中には「『みんなの日本語 初級ⅠとⅡ』を一生懸命勉強したけれど、N3合格が遠い」、生活者の方から「二年も日本語を勉強しているのに、N4に合格できない」などといった話を耳にしたことがあります。

私もその理由が、はじめの三年ぐらいはわかりませんでした。日本語教師として、自分の知識が不足しており、力不足だったことは否定できません。

あるとき、「学生がJLPTに合格できないのは、教授法の問題ではない」ということに、気が付きました。

どんなに面白くて素晴らしい先生の授業を受けていたとしても、教師が試験の出題範囲や特徴を把握せずに、漫然と授業をしていれば、そりゃ学生は落ちます。

ぼんやりとしたカリキュラムや授業でも合格する学生はいます。そのような語学センスのある学生しか、合格していないのだったら、やはり、どう考えても、授業の内容に問題があるのです。

3.テスト対策に興味がない日本語教師

正直なところ、私の周囲の日本語教師は試験対策に興味のない人が多かったです。

自分の授業さえよければいいという人、教えることに注力して「何を教えるか」には無頓着な人、学生との関係性やクラス作り、進路指導には熱心で、授業が適当な人、JLPT対策など不要で日本文化を教えればいい、などとうそぶく人もいました。(日本文化を教えるなんて、本当にできるのかはなはだ疑問です)教師といっても、千差万別です。

しかし、JLPTにすら合格させられないことに、反省する謙虚さがあってもいいのではないでしょうか。

多くの日本語教師は、JLPT対策の市販教材を漫然と授業で使いながら、学生が不合格でも、とりたてて気にしていないようです。「言語習得には時間がかかるから」という幻想に浸って、自分の無責任さを棚上げしています。

ある教材に時間を使うことでどのような効果があるのか、実際の合格に繋がるかどうかを真剣に考えている人はごく少数です。教材選びにはリスクがあり、それに授業時間を費やすことには責任が伴うのですが、そこに無自覚な人は多いような気がします。いわゆる「JLPT対策本」を何も考えずに使っている教師や学校が多すぎます。学費をもらっているのだから、費用対効果を考えるのは普通のことでしょう。

このような態度は、英語教育の世界では許されるでしょうか。IELTSやTOEFL、TOEICの対策の授業ができない教師が留学生に英語を教えることなんてことがあり得るでしょうか。

そこが日本の日本語教育の弱さだと思います。母語話者であることに胡坐をかいて、文法を勉強しない教師があまりに多い。中国やベトナムの日本語教育機関では、非母語話者の先生の方が日本国内より、JLPT対策をしっかりやっています。なので、日本語学校に留学せずとも、JLPTに合格させられる、合格させている塾はどんどん増えています。

逆に言うと、出題傾向さえ把握していれば、1年目の日本語教師でも、日本語文法の知識が十全でなくとも、学生をJLPTに合格させることは難なくできます。実のところ、経験年数はあまり関係ありません。

4.市販の教材をいくら使っても合格できない

市販のJLPT対策本は旧JLPTの焼き直し、あるいはアイテムライターの作成物をかき集めただけの適当な問題集であるケースがほとんどです。

スリー○ーも、ア○クも、ア△クも、国○刊行会も、いい加減な問題集、いわば出題されない問題ばかりの問題集を数多く出版しています。

彼らが訴えられないのは、本を出し続けることができるのは、ひとえにJLPTの主催者が過去の問題を公開していないからなのです。

JLPTは項目応答理論(Item Response Theory; Item Latent Theory)を採用しています。項目応答理論を採用している以上、過去問の公開はできません。公開した時点で、このテスト理論が使えなくなってしまうからです。

悪質な問題集は2種類あって、一つは出題意図のない適当なもの、もう一つは母語話者でも選択に困るような、文法の解説に15分ぐらいかかりそうな超絶微妙な差異を問う問題です。日本語マニアは喜ぶかもしれませんが、JLPTはそこまでの文法知識がなくても、解ける問題しか出題されていません。そんな問題集をやるのは時間の無駄です。

5.JLPTはCEFRを参考に作られている

じゃあ、ヒントは何もないかというと、そんなことはありません。

2010年からの新JLPTは、CEFR(CEFR: Common European Framework of Reference for Languages)を参考にして作られており、Can-do(自己評価)リストが公開されています。

かいつまんでいうと、JLPTはCEFRと同じ基準で、生活で役立つ日本語が運用できるかどうかを問うているのです。つまり、生活であまり使われない日本語は出題されないのです。おそらく、日常会話のコーパスなどで使用頻度の高い語彙や文法を調査し、項目が精査されたテストが作られています。

つまり、JLPTは生活にも仕事にも学業にも役立つ語彙や文法が厳選されたものが出題範囲になっているのです。「4択なんて教えたって意味ないでしょ」とは言えないはずです。むしろ、JLPTの出題範囲をしっかり教えたほうが、彼らの日本語運用能力を高めることができるはずです。

6.JLPT合格のメリットとは?

JLPT(日本語能力試験)に合格しているかどうかで、進学や就職の成否が変わります。

「N1は難しいのに、それを求める企業はおかしい」なんて言葉も耳にしたことがあります。

本当にN1は難しいのでしょうか。

確かに、N1には独特の難しさがありますが、試験対策をしていれば、合格することはそれほど難しいことではありません。というか、旧JLPTで出題されている文法や語彙は、現実の日本語ではあまり使われていないものが多数含まれています。それらの語彙や文法を教える時間が無駄なのです。

7.日本語は別に難しくない

それと「日本語は難しい」なんて幻想は捨てましょう。そもそも、日本語は難しくありません。発音は簡単だし、主語の省略や含意されているものを推測しなければならない面倒くささはありますが、それは難しさとは、また別の問題です。

動詞の活用も時制も、ヨーロッパの言語に比べれば、全然簡単です。

「でも、非漢字圏の学生にとっては漢字のハードルは高い」

それは認めます。初級、中級の段階で、漢字の音読みと訓読みのインプットをしっかりしましょう。

ただし、書けるようになるのは、ずっとあとでいいのです。今は、タイピングする機会のほうが多いし、スマホでいくらでも調べられます。日本の小学生に課すような漢字テストに時間を使って、漢字を正しく書ける否かにこだわっていると、彼らの日本語能力を伸ばすことはできません。漢字の意味がわかり、音読ができればいいのです。非漢字圏の学習者でコミュニケーション能力に優れている人はたくさんいます。彼らの得意なところをさらに伸ばすことに力を入れたほうが、進学や就職対策となり、結果的にほかの能力も伸ばせるでしょう。

8.罪の意識

とある夏の日、7月のJLPT本試験が終わった翌日に学生に言われました。

「先生、授業で勉強したN1の文法、1問も出なかったよ」

彼は毎日真面目に勉強する学生で、彼が嘘をついているとは思えませんでした。そこで一念発起して、いろいろと調べるようになり、彼の言う通りであることがわかりました。市販の教科書で、旧JLPTの内容をしつこくしつこく教えたところで、合格には届きません。それどころか、試験当日に驚く学生は多いのです。

「あれ? 授業でやった問題と全然違う」

試験を受けている最中に、学生にこう思わせてしまう教師って、誠実だと思いますか。私は不誠実極まりないと思います。

学生を失望させてしまったことが単純にショックでした。文法の時間は、一番力を入れ、時間もかなりかけていたからです。それは全部無駄だったのだと、それを認めるところから、再スタートしました。

市販の教科書の大半は、旧日本語能力試験の出題基準に基づいて作られているので、やっても時間の無駄です。教養的な学びとしてはいいかもしれませんが、あんなものをいくらやっても、今のJLPTには合格できません。

対策として使えるのは、公式問題集だけです。

9.最後に

そんなわけで、私が各所から搔き集めた情報をこのnoteで提供していければと思っています。

「合格させることができない」と途方に暮れている日本語教師の方々や「合格したい!」と切に願っている日本語学習者の方々の力になれたらと思い、このnoteの開設を思いつきました。

今、私は日本語教育からは離れてほかの仕事をしています。なので、以前よりは客観的に日本語教育を見られるかなと思っています。

また、自分のやってきたことを整理して、語彙や文法に真摯に向き合いたいという気持ちもあります。

週一ぐらいのペースで記事をあげていきたいと思っています。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

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