技術リスク取らぬApple、テスラとの違い

百家争鳴のアップルカーの行方を展望しつつ、新たなテクノロジーを深掘りし、勃興するモビリティー産業の最前線に迫ります。
米アップルが電気自動車(EV)の開発を模索する中、よく比較されるのが米テスラである。似ているようで大きく異なる2社の開発戦略について、自動車産業に詳しいアーサー・ディ・リトル・ジャパンの鈴木裕人パートナーに聞いた。

――アップルとテスラの違いは何ですか。

「アップルは、基本的にテクノロジーリスクを取らない企業と見ている。要素技術が整う段階まで待って商品化するのがアップルの戦い方だ。iPhoneがそうだった。第3世代移動通信(3G)、液晶ディスプレーの低価格化など要素技術がそろい、手ごろな価格で売れるタイミングで仕掛けたわけだ。アップルがEVを開発するということは、EVも同じような段階になると考えたのだろう」

「テスラとは対照的だ。テスラはテクノロジーリスクを取ってなんぼの企業。既存の自動車メーカーから見て、技術的に尊敬の対象になる側面がある。まねをするのかはともかく。資金がない中であそこまでできたこともすごい」