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なぜミニチュア風写真はミニチュアに見えるのか?
突然ですがこの写真1はミニチュアに見えますか?
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ミニチュアに見えたあなたは正解です。撮影した被写体がミニチュアだからです。
でもなぜ写真を見ただけでミニチュアと認識できたのでしょうか?
もう一度じっくりと写真をみて上下のボケているところを観察してみてください。
ミニチュア写真を観察してみる
ピントの合っている櫓(建物)とトラックなどの被写体以外はボケていて離れるほどボケが強まっていることが分かります。
このようなボケ感のあるところで被写体のサイズを目測してミニチュアだと脳が認識するのです。
このボケ方どこかで見たことありませんか?
テーブルフォトでコーヒーカップを撮った時とよく似ていますね。(写真2)
比較的近い場所にある被写体にピントを合わせると数㌢距離が離れるだけでボケがはじまっています。
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その反対に少し離れたところにある建物や風景を撮ると数㍍離れたところでもピントが合っているように見えますね。
それは被写体が遠ければ遠いほどピントが合う距離がどんどん広がるからなのです。
被写体とボケの関係を表にすると以下のようになります。
被写体 近い ↔ 遠い
ボケ 大 ↔ 小
実際遠くにある建物や風景を撮ってミニチュア風に見せるには被写体の周りにたくさんのボケを加えて被写体が近くにあるよう見せる必要があります。
ここで登場するのがチルトシフトレンズです。
チルトシフトレンズの役割
チルトシフトレンズとはカメラのセンサーに対しレンズをチルト(傾ける)させたりシフト(縦横方向に移動)させたり出来るレンズのことです。
ミニチュア風写真で使用するのはチルト機構を主に使いますのでチルトの仕組みを説明します。
レンズを下に傾けるとセンサーに対し上側が通常より近くなり下側は遠くなります。(写像は上下反転するため、写真3参照)
レンズのチルトの調整は数㍉位の違いしかありませんが遠くにある被写体まで来るとこの違いがどんどん大きくなり数㍍から数十㍍の差になるのです。このようにして中央の横ラインだけがピントが合い上下がボケた写真を撮ることができるのです。
これがミニチュア風に見えるチルトシフトレンズのカラクリです。
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しかしミニチュア風写真を撮る人はなぜ高いところから撮ろうとするのでしょうか?
高いところから撮る理由
簡単に言うと高いところから斜めに撮るとよりミニチュア風に撮れるからです。
水平の位置からでも撮ることは可能ですが写真を見た時に脳が違和感を感じミニチュアと認識しなくなります。
水平の位置から撮った写真4をご覧ください。
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ミニチュアに見えましたか?
遠くのものと被写体の建物が同じ中央に集中していて全体的にピントが合っています。
それだけでなく一番高いビルが上の階ほどボケていてミニチュアを見た時とは違うボケ方をしてミニチュアっぽく写っていません。
次に少し高いところから撮った写真5をご覧ください。
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遠くにあるものは上側に被写体になる建物は中央で近くにあるものは下側に位置してボケを遠くにあるものと近くにあるものだけに加えられるのでミニチュア感を出すことができます。
このようにチルトシフトレンズを使って高いところから撮影することでミニチュアと同じようなボケ感が生まれミニチュア風写真がミニチュアに見えるのです。