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カメラと僕と芸術 - その2

某FM局のサイト制作をして更新の仕事が始まるともうそれだけで食べていける位の収入になったので早々と退職しフリーランスとして独立しました。
この時代のWEB業界はまだ創始期でHTMLの基礎的なタグさえ使えるようになれば誰でもなれる職業でした。
たまたまシステムエンジニア時代に社内システムをHTMLベースで開発していたのでスムーズにWEB制作の仕事をこなすことが出来ました。

安定した収入と時間の余裕が出てくると自分の趣味のカメラに没頭するようになりました。
今とは違って当時はフィルムの種類も豊富にあり普通に現像できるお店も沢山あったのでネガやポジのフィルムを買ってきては撮影をして現像に出してそのフィルムをスキャナーでスキャンしてMacに取り込んで楽しんでいました。

普段撮りはカラーネガを使っていました。
高感度のフィルムもあったので曇りの日はISO400のネガフィルムを使って撮っていました。
全体的に色のノリは良かったのですが黒が薄いイメージがありました。
当時川内倫子さんの「うたたね」の写真集が好きだったので空間を意識した淡い感じを出していたのかと思います。(写真1)

写真1 : カラーネガ

旅行した時に使っていたのがカラーポジ。
いわゆるリバーサルフィルムと呼ばれるもので当時はISO100を主に使っていました。
ほんとこのフィルムは適正な露出じゃないと白く飛んだり黒つぶれしたりしてなかなか癖がありました。
上海で撮った写真ですが曇っていてシャッタースピードがかなり遅く動きがあるものはぶれたりしています。(写真2)
その時の記憶としての1枚なのでこれはこれでいいのではないかと思います。

写真2 : カラーポジ

そして雨の日や夜のストリートフォトを撮る時にはモノクロネガを使っていました。
ISO800のフィルムを使ってシャッタースピードを速めてその瞬間をとらえる写真でどちらかというと作品向けに撮ったように思えます。
今見ても写真集作れそうな雰囲気があります。
モノクロはファインダーを覗いた時と全く違う仕上がりなるので現像が出来上がるまでどんな仕上がりだろうとワクワクして待っていた記憶があります。

写真3 : モノクロネガ

フィルム時代の写真はそう長くはなく数年で終わりを遂げます。
50mmF1.4のレンズ1本で撮ってきた画角で慣れてきた僕でしたがAPC-S機のデジタル一眼に乗り換えた結果1.5倍のクロップに慣れずに苦戦するようになったのです。

ほどなくしてiPhoneが日本で販売されるようになり当時のチープなカメラ機能をエモくさせるHIPSTAMATIC®がリリースされてそのアプリで撮ってInstagramにアップすることにハマりました。

当時の写真を振り返ってみるとフィルム時代の経験が役立ったようで周辺減光やフィルムの色の乗り方がやり過ぎずにLOMOで撮ったフィルム写真のようなエフェクトで留めているのが良かったと思います。(写真4)

写真4 : iPhone

当時全く知る由もなかったソール・ライターの撮った鏡越しやガラス越しの風景や色の配置等が似ているところが興味深くてiPhoneではなくフィルムカメラで撮っていたらもっといい作品として残せられたのではないかと思いました。

しばらくiPhoneを片手に海外旅行によく行くようになりました。
イタリアではフィレンツェにあるウフィツィ美術館に行って絵画や彫刻を観たりフランスのアルルに行ってゴッホの描いた街並みを見に行ったこともありました。
それらの街でもシャッターを切っていましたがどこを切り取ってもほんと素敵でした。
芸術はこんな街から生まれていくのかぁとつくづく感じた記憶があります。

SNSでそこそこ認知さてくると色んな所から仕事が来るようになりました。
しかし数年後には某FM局の契約も終わり単発の仕事ばかり増えて仕事量の割りには収入が減る一方で旅行やカメラを持って出かけて気晴らしをする機会も減りモチベーションもどんどん下がってくるようになりました。

そしてあまりにも忙しすぎてもう仕事がしたくないと思い全てを一回リセットしてしまったのです。

その3へ続く…

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