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中京圏プロジェクト

今頃、中京圏プロジェクトの話題する? 全くである。早く書かないから、こういうことになるのである。

中京圏プロジェクトとは、日本テレビ系列の中京テレビが2020年1月から3月末まで行っていた「エヴァンゲリオン」コラボイベントの総称である。

エバはあまり詳しくなく、新劇は金ローでやってたのを観た記憶がある、TVシリーズは丁度中京テレビで再放送をやっているので観始めた程度で、ストーリーを知らないどころかキャラクター名すら怪しいレベルである。ではなぜ、中京圏プロジェクトの話を……?

名鉄 エヴァンゲリオン ジオラマスタンプラリー。ぼくはスタンプラリーが好きなんですね。地元の地方公営企業がやっていた変身ヒロインもののスタンプラリーをやっていらい、スタンプラリー好きだなと感じている。スタンプラリーとあればやらざるを得ない。そう思い名鉄名古屋駅へと向かったのである。

寝坊したため予定より1時間も遅く名鉄名古屋駅についたアホがそこにはいた。スタンプラリーとは得てしてこんなもんであるが、まぁ端から端まで行かなくてはいけない。当然狙うは完全制覇なので、1分たりとも時間を無駄にはできない。それなのに寝坊したのである。これをアホと言わずに、何をアホと言うのか。

泣き言を言っても何も変わらない。名鉄名古屋駅サービスセンターでエヴァ1DAYフリーきっぷを買う。これは3200円というお値段だが、名鉄電車全線が1日乗車フリーの上、昼間帯(10時から16時)の特別車も乗り放題という素晴らしい切符である。スタンプラリーに乗り放題切符がよく似合う。

台紙の案内図を見ながら、ざっと本日の予定を立てる。まずはセントレアを目指し、それから東岡崎。その後は岐阜を攻めればよかろう。ということでまずは金山駅に向かう。もちろん忘れずに名鉄名古屋駅でのスタンプを押した。

この手のスタンプラリーの悪いところは、スタンプ台の設置箇所が一定でないことだ。改札の外だったり、中だったり。ここらへんにあるという法則性もないので、一々探さなくてはいけない。今回も例外ではない。早くスタンプ台を見つけなければいけないのだが、まぁ中々見つからない。改札の外なのか中なのか、その情報すらないのだから、どこを探していいのか検討もつかない。何とか見つけたものの思った以上のロスだ。

次に目指すは太田川駅だったのだが、金山駅に停車していたのはミュースカイだった。どうやら急行は数分前に発車してしまったようだ。仕方ないので先に中部国際空港駅を目指すこととする。ミュースカイは特別車なので、ミューチケットが必要である。前述のように1DAYフリーきっぷがあるので、ミューチケットがなくても乗ることはできるのだが、この切符を車掌さんに見せる必要がある。これが相当恥ずかしい。初号機のヘッドやNERVマークが描かれているからだ。オタクは市民権を得たみたいな論調を耳にするが、そんなことは全く無いと思っている。だから、オタクですよーとアピールしてるみたいで恥ずかしかった。最初の後悔である。

中部国際空港駅に着くと大勢の人であふれかえっていた。当時は春節に入ったばっかりだったので、来月はここから海外出張に行くのか、嫌だな……と呑気に思っていた。恐ろしいものである。さて、セントレア第1ターミナル2F到着ロビーに向かう。金色の初号機と多くの人が見えた。明らかにお仲間と見える人から家族連れまで。金色の初号機という目立つものがあるから、色々な人が集まっているのだろうが、誰もがエヴァンゲリオンを知っていた。知名度の高いアニメなんだなと思う。

セントレアに屯してたお仲間が言っていた。岐阜側は辛すぎないか。セントレアや東岡崎側で5つ押してお終いだな、と。しかし、ぼくはそうかな?と思っていた。愛知側の方が七面倒だと。だから、先にセントレアを攻めているのだ。この考えが甘く間違っていたことを後に知ることになる……。

後に待つ地獄と知るはずもないぼくはさくっと太田川駅と鳴海駅をクリアし、東岡崎駅へと向かっていた。ここには最初のチェックポイントがあり、限定ポストカードをゲットできる。スタンプラリーの醍醐味の一つは景品だ。是が非でもゲットしなくてはいけない。名鉄観光サービス 東岡崎駅旅行センターのお姉さんに台紙を渡す。例によって恥ずかしさでどうにかなりそうだったが、無事に限定ポストカードを手に入れた。残すは岐阜の3つである(尾張一宮は一応愛知県だけど)。順調だ。

スタンプ設置箇所には名鉄各駅以外に中京テレビ本社という地味に遠いスポットがある。ここは最後に寄ろうと思っていたのだが、既に家を出てから6時間以上経過していた。もうくたくたである。岐阜川を回ってからではささしままで歩ける体力は残っていないかも知れない。まだ歩けるうちにと予定を繰り上げて、尾張一宮駅に行く前によろうと決意をした。これが実は正解だったとはこの時は思ってもいなかった。

中京テレビ本社を去った時には既に日が傾きかけていた。急いで名鉄名古屋駅に戻る。早く帰りたい一心である。名鉄名古屋駅はややこしい。とかく色々な方面に向かう電車が全て同じホームに来るのだ。慣れていない人は列に並ぶのにも苦労するであろう。ぼくも慣れていない人の一人であった。犬山駅に向かいたかったのだが、どう考えても名鉄岐阜行きなのだ。このまま名鉄岐阜駅までとも考えたが、名鉄一宮駅で引き返し、犬山駅に向かう方がいいのではと何となく思った。犬山からより岐阜からの方が楽に帰れると思ったからだ。

岐阜からの方が楽に帰れる。これがぼくの甘く間違っていた考えである。なぜ、このような考えに至ったのか、原因は新快速にある。新快速は本当に便利な電車で、一瞬で岐阜駅に着く。このイメージがあるから、名鉄岐阜駅も近いと思ってしまったのだ。全くそんなことはない。本当に名鉄岐阜駅に一瞬で着くなら、どうして誰も名鉄を使わないのか。どうして皆新快速に乗るのか。この疑問に気づいていれば、岐阜側は楽。そんな甘い考えには至らなかったのに……。

当時のぼくはそんなことも考えもせずに、犬山駅を目指していた。あと2つで終わりか。そう思うとちょっと顔が緩んでしまう。しかし、遠い。中々つかない。どんどん日が沈んでいく。どんどん不安になってくる。これ一日で終わるのか。犬山駅に着いたときには岐阜側は辛いの言葉が真実であったと実感していた。

名鉄各務原線に乗った時には泣いていた。辛い。辛すぎる。外は既に夜の帳が降りていた。街灯も街の灯りもない。真っ暗な闇が広がっている。対面では東南アジア人のカップルがいちゃつている。もうスタンプラリーが好きなんて言うまい。そうも思った。早くスタンプラリーを終えて帰りたいが、大きな問題が立ちはだかっていた。時間である。名鉄岐阜駅には2つ目のチェックポイントがあり、ここでも限定ポストカードが貰えるのだが、ここの閉店時間が迫っていた。Google先生に拠れば、18時閉店だった。時刻は既に17時30分をとうに過ぎていた。どう考えても間に合わない。ここまで来て景品を貰えない。そのショックに襲われていた。

失意のまま、名鉄岐阜駅に着いた。スタンプを押す。顔を上げると明かりがついていた。まだ名鉄観光名鉄岐阜駅旅行センターはやっていた。なぜ? そう思いながらも走って旅行センターに入る。自動ドアには閉店時間がシールで上書きされ、18時30分になっていた。つい最近かららしい。ああ。助かった。スタンプラリーの神様はここまで来たんだ。最後までやれと言ってくれていた。旅行センターのお姉さんが天使に見えた。

さっきまでの悲しみはどこへやら。意気揚々と名駅に戻るぼくがいた。名鉄名古屋駅サービスセンターの閉店時間は19時。余裕で間に合う。車内で中京テレビ本社の閉店時間を見て驚いた。17時。あの時、予定通りに最後に行こうとしていたら、確実に間に合っていなかった。名鉄名古屋駅で泣き崩れていただろう。ここでもスタンプラリーの神様は微笑んでいた。サービスセンターで最後の景品を貰う。19時まで10分もなかった。本当にぎりぎり間に合った。スタンプラリーを終えた達成感も喜びもなかった。間に合ってよかった。それしかなかった。

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ぼくはスタンプラリーが好きなのではなかった。スタンプを押すのが好きなのだ。そう気づけただけでも、このスタンプラリーをやってよかっただろう。まぁでも、多分懲りずにスタンプラリーをやっていくことだろう。学習しないことは人の面白さなのだから。

さて、聡明な方は気づいているだろう。予定通り1時間も寝坊したアホがいたことに。そう。寝坊しなければこんなに辛いことにはならなかったのだ。早寝早起き朝ごはん。最も大事なことである。

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