見出し画像

勉強

ぼくは今理系大学に通っていて固体物理学や電子工学などを学んでいる。これらの分野は奥が深く、はっきり言って難解だ。学部生程度の知識で完璧に理解できるとは思えない。

勉強は辛い。中学時代の校長は「勉強とは〝強いて勉める〟ものだから辛くて当たり前だ」と仰っていた。何冊もの参考書を読み漁っても、ほとんど分からない。当たり前だ。バンド理論にしろ電磁気にしろ、恐ろしい程天才な物理学者達が一生をかけて編み出したものだ。平凡な学生であるぼくがたかが半年や1年ちょっとの勉強で理解できるわけがない。

それでも定期試験といものがあり、その先に単位というものがある。再履修や留年を回避するために、どんなに分からなくても、どんなに辛くても勉強をしなくてはいけない。勉強をしてもしても理解できない時、過去の偉大なる物理学者達を憎らしく思うことさえある。彼らがこんなものさえ編み出しさえしなければ、ぼくはこんなに苦しい思いをしなくて済んだのに……と。

でも。でもである。勉強を続けていると、ふと難解な式や事象を(何となくではあるが)理解できるときがある。そしてぼくは思うのである。これを考えた人は天才だ……と。ついさっきまで憎しみさえ覚えていた物理学者に尊敬の念を覚えるのである。この瞬間がぼくが思う勉強の楽しいところである。

理解できたと言っても全体のほんの1%かもしれないし、もしかしたら分かった気になっただけかもしれない。それでもぼくはいいと思う。〝自分なりに理解した〟と思うことが大切だと思うからだ。勉強なんて理解しないとつまらないし辛いものだ。ほんのちょっと間違っていても楽しいと思えることが大切だと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?