人間の器用さとロボット器用さは大きく違う
さて、生産効率アップの中ですぐに思い浮かぶトレンドは、ロボットによる自動化だ。
しかし、ロボットを導入すれば薔薇色の未来が有るか?という事については、そんな事は無いという事は周知の事実。
で実際にどんなことが違うのか、明確にしていこう。
人の作業とは
人間の作業者で構成する生産ラインについて考えてみよう。人が作業するということは、どんな人でも作業が簡単にこなせるように工程設計がされている。
よく新人作業者がラインに入る前に、OJTや組立基礎トレーニングをすると、即戦力になるって事です。
つまり、人は意外と柔軟に対応できるようにできているため、簡単な作業の場合にはすぐに覚えると同時に、次のような特徴がある。
1.習熟することで作業スピードが上昇する
2.教わった手順を元に自分なりにアレンジしやりやすくする
3.睡眠や健康状態、精神状態により村が発生する
4.職人的要素も熟練で対処できる
5.前後工程の作業を支援することで、更なる効率化が可能
このように人間で構成される生産ラインは、素晴らしい事が良く分かる。
しかし、実際には高齢化による労働人口の減少がこれらの良いところを蝕んできているのが日本の製造業の実態だ。
ロボットラインとは
一方のロボットラインの特徴について考えてみよう
ロボットの最大の特徴は、何と言っても作業に対して文句を言わないという事ですで。
決められた作業をもくもくと24時間、365日続けてくれると言う事。しかも、材料が切れるまで、電気が止まるまで、ロボットが壊れるまで不変で動き続けるのです。
人間には絶対にできないことですね。
こういう事を見ると、やっぱりすごいって思うと思いますが、実はからくりが有るんですね。
そのように作業させるためには、人間が動作プログラムを作成しなければいけない。このプログラムが作業の魂になるし、作業が変わるとプログラムも製作しなおしになる。
また止まらないよう、精度が良いように常に調整をしていなければいけない。
更には、最も重要な事として強調型ロボットの場合には人間ほど器用に動かないので、人とまったく同じ作業をさせようとした場合には、人間の作業スピードより速くなることは絶対にない。
人の器用さとロボットの器用さから見える事
以上の事から、ロボットは単純に人の作業には置き換えられないということが明確になる。
この部分を考えないまま、自動化だロボット化だと考えて、一気に導入して改善をしてしまうと、出来上がったラインは長さも長く、人より作業が遅い不効率なラインになりかねない。
工場見学と言う側面から見ると、何とも先端をを行くような工場に見えるのかもしれませんが、投資をした割には生産性が落ちてしまっていたり、管理が大変でラインストップが増えてしまったりと、実際には悪化してしまうことが多い。
また、せっかく入れても、メンテナンスが多くて停止ばかりしているので、生産がほとんどできないなんてこともあり得るんですね。
これらをまとめて考えると、人の器用さにロボットの器用さは追い付かない。これを前提とした場合には、人作業を考えてつくる生産ライン設計では、ロボットを導入すると器用さの違いから非効率ラインになってしまうという事。
人と作業と同じ考えでロボットラインは作ってはいけないという事です。
まとめ
人間の器用さとロボット器用さは大きく違うという事について今回は考えてきました。
この人間の器用さとロボット器用さは大きく違う事を理解できないまま、ロボットによる自動化を検討すると、出来上がったラインは人ラインより劣る悲惨なラインになります。
投資対効果も起案承認をもらうために、鉛筆なめなめで書き上げた硬貨なんて絶対に出るわけがないですから、結局は効果も出ずに1年後には撤去されるという事になってしまいます。
ここが実際のロボット導入における大きなポイントなんですね。
中小企業にありがちが、どこに課題が有るのか分からないと言っているような場合には、ロボット導入なんてもってのほかで、ムダ銭を使うだけになりかねません。
最後に一言いうのであれば、ロボット導入のポイントは要素作業動作と言うことになりますね。
この意味が分かったあなたは、本物の生産技術者であること間違いなしです。
分からなかった生産技術者の人は、もう一度やり直した方が良いかな。