見出し画像

こういうところで日米の差が出る

今日の記事から1つお話しよう。

コロナの影響も有り、今一番脚光を浴びているのにロボットの導入というのが挙げられる。

特に飲食店関連では、配膳ロボットの導入が進み非対面での接客にたいして有効手段と思われているからだ。


良いことは直ぐにやってみる

海外の話題になるのだが、やはり同じようにコロナの影響で人が調理するのではなく、ロボットが調理することで人を介さないと言う点に着目している事例。

これはMiso Roboticsが開発したロボット・アシスタントのフリッピーというものなんですが、3万ドルで購入できるロボットなんです。

3万ドルといえば、日本の相場より少し安いくらいかと思いますね。

このフリッピーは1月にプロトタイプをだしたのですが、その後のコロナの急激な拡大によって需要が急激に高まったようです。

このフリッピーなんでそんなに需要が高まったかと言うと、いわゆるお料理ロボットなんです。

しかも、1時間に150枚のハンバーガー用パテを料理できるツワモノなんですよ。

フリッピー


焼き加減も管理でき、適切に料理するなんて最高ですね。

しかも、レールの上に設置されているの幾つかのグリルを行ったり来たりして料理するスグレモノ。

ファーストフード店での活用に脚光を浴びており、コロナによる低迷時に救世主のような存在になっているようなんです。

さすがにアメリカ、これは良いと判断してからのアクションが素早く、いわゆる機会損失を出さないように考えてビジネスをしています。


決定的な日米の違い

この記事を読み、写真を見ながら感じたことが有るんです。

先に書いたように機会損失を出さないビジネスに関係するんですが、どうみてもこのロボットは日本で言う産業用ロボットに当たるとおもうんです。

今日本で流行りの協調型ロボットとは形状が違うし、協調型ロボットでは1時間に150枚のパテを料理できませんからね。

何を言いたいか、既にお気付きの方もおられるかもしれませんが、日本で産業用ロボットを導入しようとした場合、こんなような使い方は法規上出できません。

安全面から産業用ロボットの場合には、柵を設けて作業者との間を完全に隔てなければいけないからです。

当然ながら、柵で隔てるということは作業者が柵内に侵入した場合には、ロボット自体が緊急停止をすることになっておりますので、柵なしで使おうとした場合でも、代わりにエリアセンサーで覆われており、作業者が少しでもそのエリアに入れば、緊急停止してしまうんですね。


しかし、この写真を見る限りではそんな安全柵は設けていないですし、エリアセンサーも取り付けられないほど作業者と接近して動作しているんです。

ここが日米での決定的な違いですよね。


アメリカの場合、事故は自己責任なのか?

自分はアメリカの労働法に詳しくないので、よくわからないのですがアメリカって、産業用ロボットに対して日本のように徹底した隔離はしないですよね。

別の記事で読んだことが有るんですが、Amazonの倉庫では何十万台のロボットが稼働しており、結構な割合で事故が発生しているようなんです。

しかし、作業の効率化を考えれば防護柵で覆うような事はしていないようなんですね。

アメリカの場合には、徹底した契約社会ですので最初の契約の中に、ロボットが稼働している範囲に入り仕事をする場合、オウンリスクで実施するようになんて言う記述が有るんですかね。

また、感覚的で申し訳ないですが、監督者が最初に作業者に危機管理の説明を教育し受講後に発生した場合は、自己責任と言う話なのかもしれません。

いずれにしても、自分の身は自分で守ると言う考えが非常に強いですから、こういう使い方ができるのかもしれません。

作業環境を見れば、ロボットが同じキッチンの中で移動しながら、パテを焼いたりポテトを揚げたりしているんですからね。

絶対に接触という事故は起こると思います。ましてや産業用ロボットですから、人と接触しても停止する機能はないと思います。


今の日本では永久に無理

そう考えると、日本の場合にはロボットを導入する前にリスクアセスメント評価を実施し、作業者が絶対に安全であることを担保します。

接触する可能性が有るのであれば、接触しないように柵を設けて絶対に接触しないようにするのが日本のルールですから、狭いキッチンの中に導入は絶対に無理です。

だから日本の場合は、このような職場ではフロア生産性が著しく低下を招き利益を圧迫するので、永久に実施されることは無いでしょうね。

最も、日本の技術力を活かして、人を感知してロボットが勝手に避けてくれるような知能をもたせることができれば、狭い職場での採用も可能となるでしょうが、人間の動きは予測不能であると同時に、人間の何倍もの速さで動くロボットが回避するというのは、はっきり言って今の世では不可能だと思います。

善悪は別として、日本も省人化対策でロボットの導入を加速させるためには、アメリカのような考え方もやはり必要ではないかと個人的には思います。

なんか、この記事を読んで日本が遅れている理由の根本を見た感じがしますね。

ロボット関係の仕事をしたり、興味が有る方はぜひ読んでみてください。

記事は以下になります。


頑張れニッポン!

いいなと思ったら応援しよう!

じぇいかわさき@ものづくりアドバイザー兼エッセイニスト
じぇいかわさきです。生産技術者として35年、今まで培った経験とスキルを元に、ものづくりに関わる世の出来事に対して思ったことをホンネで書いてます。ノウハウやアイデアもありますよ。 また写真も全力で撮っています、気に入った写真があればサポートや感想をぜひお寄せください。