今後の流行は自走式協調型ロボット
今回はロボット活用の今後についてお話したいと思います。
今まではどうしても、ロボットと言うと単独で作業をさせる事をイメージする人が多いと思います。
決して間違っていることではないのですが、ロボットにもやはり特異な作業と言うものが存在するため、それらに合わせたロボットを一般的には選択します。
しかし、人もそうですが複数の能力が合わさった方が良いと思いますよね。
そんな訳で、今回の話は機能を合体したロボットの話になります。
ニーズに合わせた機能合体型ロボットについて
ロボットの種類と棲み分け
それでは、ロボットの機能による棲み分けを見ていきましょう。
ロボットの種類の中には、大きく分けて産業用ロボット、協調型ロボットに分かれます。
産業用ロボット
まず産業用ロボットですが、重量物を取り扱ったり、高精度の再現性を求める作業などに適しており、簡単に言うと速さ、精度、扱い重量にこだわったロボットです。
従って、動作中には人間が動作エリアに入らないように安全柵で囲まれなエリアで稼働しております。
一度設置したら、別の場所への移設は時間と費用が掛かる
協調型ロボット
人との作業を一緒にすることを前提に考えられた構造になっているため、人にぶつかると停止するのが一番の特徴。※停止はしますが、実際にはぶつかれば結構痛いですよ。
設置と移動が非常に簡単に出来る構造になっております。
元々が、人作業ラインへの導入を前提に設計されておりますので、安全性が非常に重視されている分、産業用ロボットに比べて速度、精度が劣ります。当然、重量物にも限界が有るんですね。
一般的には可搬重量と言う言葉で表しており、10Kgとか5Kgとかの単位で表します。
しかし、この可搬重量はロボットアームの先端に取り付けるハンドと言われるツールの重量も加味した値ですので、複雑な物を持たせるためにハンドが大きく複雑になり、このハンドだけの重量が7Kgになったとすると、5Kgの可搬重量のロボットでは使うことができません。
10Kgでも実際にもてる部品の重さは3Kgまでになってしまいます。
産業用ロボットをイメージすると、使えないことが多くがっかりするのが協調型ロボットです。
可動型ロボット
そして3つ目が、世間で言われている無人搬送車AGVと言われるものです。
AGVはAutomatic Guided Vehicleの略で、一般的には、床面に磁気テープや磁気棒を敷設し、それらが発する磁気により誘導されて無人走行する搬送用台車のことです
決まられた場所に部品を取りに行ったり、沖に行ったりするのがこのAGVの得意とする作業で、AGVもロボットの一種として扱われています。
先の2つと比較すると、地味な分ロボットじゃないとおもわれがちですね。
これからは機能を補完する時代
先に上げたようにロボットにも種類があり、それぞれの得意分野で使われております。
しかし、よく見て考えていただくと、産業用ロボット、協調型ロボットの弱点として考えられるのが、定位置に固定されていて動くことができないということがあげられます。
一方、AGVは移動はできるが、移動先で部品の積み下ろしをする機能を持っていないと伊野があげられます。
部品の積み下ろしは、専用のステーションを作成し、その部分で自動機を使って積み下ろしをします。
もし、この2つの欠点を補完するように、2種類のロボットが合体出来たらどんなに良いでしょうね。ターミネーターに出てくるT800のようなアンドロイド型ロボットができれば、こんな素晴らしい事は無いですが、実際の実現にはかなりの無理が有ると思います。
それよりも軽い協調型ロボットをAGVの上に搭載できればどんなに素晴らしいでしょうか。
実際にこれらを実現しようとすると、安全面の問題や協調型ロボットとAGVを自社製品として持っているとかでないと、かなり開発も厳しくなると思います。
しかし、これらをOMRONと言う会社が既に実現しだしているんですね。
自社の持つAGV技術とロボット技術をつかい、モバイルマニュピレータと言う名前で実現しているんです。
Mobile manipulator concept for bin picking
OMRON 「ATC-TOKYO」 人とモバイルロボットによる協調ピッキング
実際にはOMRONだけでなく、他社もいろんなメーカーとコラボし出して同じようなコンセプトで商品化を進めています。
このように、各々単独で使うよりも補完しあうことで自動化範囲を拡大し、ロボット導入を拡大しようとしているのがロボットメーカーなのです。
まとめ
ユーザー側から見たロボット導入は、いったいどんなところに導入できるのかがなかなか見えてこずに苦慮しております。
そんな状況を打破するために、ロボットメーカーとしては単独機能のロボットだけでなく、その機能を補完するロボットの合わせ技でユーザーへの導入を図っております。
そうすることでユーザー側から見ると、一見導入のための選択視野が広がったようにおもえるのですが、実際にはまだまだ課題は多いようです。
POINT
これはロボットメーカーのプロダクトアウト的なアプローチであり、ユーザー目線でのマーケットインの考え方ではないからですね。
まあ少なからずは、プロダクトアウトにしても選択肢が広がったことで使い方の考えもさらに広がってきているので、やはり最後はロボットメーカーがユーザーの保管をするという体制をとらなければいけないでしょうね。
一つのトレンドとして自走式協調型ロボットと言うのも出てきましたが、まだこれだけでは役不足でしょうね。