現実とのギャップがジョブ型導入で更なる混乱を招く
どうも、じぇいかわさきです。
ちょっと前になりますが、Twitterで下記の記事についてつぶやいたことが有ります。
今回は、この記事に関してもう少し実体験も交えて深掘りして書いていきたいと思います。
こんな状況の中で、ジョブ型雇用がスタートすると、ルールの仕組みが出来上がっていないだけに、大混乱が始まるのが見えるようです。
何が問題か?
では実際にこの記事を読んだときに何が問題だと思ったかですが、記事内にこのようなグラフが有りました。
コンプライアンスやモラルを重視するというのは、近年盛んに言われるようになったハラスメントに関することで、確かに昔は軍隊のように年功序列が厳しく、年上の人には基本逆らえない。
また、ぼろくそ言われてもしょうがないと言う風潮が有りました。
しかし、現代においては各種ハラスメントの定義や対象が明確となり、法律でも記述されているので重視するのは、昔と違って当たり前ですよね。
しかし、昔も今も業務遂行に当たって変わらないのは、時間内で業務を効率的に終わらせる、自ら何をすべきかを定義し、遂行するなど管理職として当たり前なこと。
これが今求められていること自体が、歪んだ社会構造を表していると思うのだが、間違っているだろうか?
自分が良く言われたのは、会社はボランティアをやっている訳では無い。高い給料を払って社員を雇っているのだから、時間を効率的に使いOUTPUTを出していくことが社員の義務だと。
まあ、あながち間違いでは無いと思うが、言い方が良くないよね。
時間内で効率的に終わらせる
このことについて、過去にも話したことが有るかもしれないが、日本人固有の考え方が大きく根付いていると思われる。
それは何か?
これは自分が知っている内容になるが、労働時間の基本が8時間と定義されていると、6時間で終わる仕事も8時間で実行している。
何故だか分かりますか?
周りと同期し、自分だけ目立たないようにすると言う、日本人特有の意識が働き、効率的にできていても最後で時間調整をする。
効率的にバンバン仕事をすると、あいつは・・・と言う目で見られてしまい浮いてしまうのを嫌うからだ。
過去の管理職時代、GoogleやMicrosoftの仕事の進め方をまねして、現状の仕事を効率化して空いた時間は自分の好きな事をして良い。6時間で仕事が終わっても、8時間分の給料は保証される。
そういう提案をして、自己の興味と能力促進を促してみたのだが、誰ひとりとして実行した者はいなかった。
全員、8時間仕事にしており、中には生活残業と思われるように仕事を先送りしているとわかるも者もいた。
連帯を強く意識している感じがし、個の優先度は低く自らしているように感じました。
つまり、6時間で終わらせる事ができても、6時間で終わると関係している人に対して早く終わることで迷惑が掛かると思うのでしょうね。
当時の自分としては信じられない思考回路だと思っておりました。
何せ自分は、早く帰るために少し早く会社に行って業務をスタートするのが習慣で、終わらない奴が自業自得と常に思っていましたから。
早く業務が終わると、次の仕事を入れられる可能性が十二分に有りましたが、次の仕事をしていくことで新たな気付きやスキルが身につくかもしれないと思いながら進めていましたね。
時が流れ、時間いっぱい使って仕事をする癖が付いている人たちが、管理職になっているのが今の時期だと思います。
時間的概念が、はっきり言って欠落している人材が管理職になれば、このように時間内で効率的に終わらせると言う当たり前なことができない管理職が、増殖していくのです。
Twitterでつぶやいたとおり、本来は効率化の手本にならなければいけないシニアマネージャなどが、ダラダラといつまでも会社に残り仕事をしている。
働き方改革で、組合員の業務が転化されてきて仕事があふれている訳ではない。むしろ、コロナの影響で業務自体は少なくなってきている状況下でこのような業務スタイルを進めているんだ。
これらの人材は、当然ながらメンバーシップ型雇用の人員だ。
これが、今注目されているジョブ型雇用と混在するとどうなると思いますか?
会社は即戦力で目的に合った人材をジョブ型雇用で採用していく。しかし、その先にメンバーシップ型で雇用された時間概念が欠落している管理職がうようよいたらどうなるでしょうか?
プロジェクトはやはり組織、グループで実行するものであるため、それを仕切るのがジョブ型で雇用された人材としても、メンバーにはメンバーシップ型で雇用された並の人間がいっぱいいる訳です。
ジョブ型雇用者が奮闘しても、メンバーシップ型には響かない部分が多々あり、せっかく志高く入社しても、業務に対して嫌気がさしていくでしょうね。
逆に、メンバーシップ型のグループからは異端児のように見えますから、自己修復機能のようにジョブ型雇用者を排除する事も十分に考えられます。
例え、、メンバーシップ型で雇用した人員も全員ジョブ型に切り替えたとしても、根はメンバーシップ型ですから業務スタイルが大きく変わる事は、一部のやる気のある人を除いて無いでしょうね。
現実とのギャップを生んだのは社会そのもの
このように、現実と求める部分のギャップが大きい結果になったのは、当たり前と言えば当たり前で、そのような社会の仕組みだったからですよね。
そういう教育を受けていない人というのは語弊があるかもしれないが、教育を受けてもそれを肯定しない社会だったために、こんなにギャップが生まれたのだと自分は思います。
そもそも、反逆的に効率化を追求し、会社の業務スタイルに矛盾を持っていた人は、会社の中で自分のように異端児になるか、はたまたスピンアウトしてフリーランスになるかどちらかでしょうから。
ましてや、今まで派閥や仲良しグループが台頭していた時代でしたから、余計にそうだったんでしょうね。
そこに来て、急速に高まってきているジョブ型雇用制度。
仕組み自体が整備されてからの実行ではなく、働き方改革と同じように走りながら仕組みを作っていく流れなので、今を守ろうとする人たちの抵抗と、個の力を信じていこうとする人たちの鬩ぎ合いがすごいでしょうね。
今のままでは、訳も分からずジョブ型に移行し、成果が出なくてもそのままのメンバーシップ型採用人員。
方や要求に応える形で入ってきたジョブ型採用人員。契約時の成果報酬とペナルティが明確になっていると思われる。
成果で無くてもそのままの方が、メンバーシップ型の人は良いに決まっている。かといって、ペナルティの採用は簡単にできそうもないので、二重のしくみで動かざるを得ない。
そんな状態が続けば、ジョブ型雇用人員は辞めて転職していく人が出て行くでしょうね。
自分の目的と、会社の目的がマッチして入ってきた人材は、ダラダラ過ごすメンバーシップ型の人員とは交われないでしょうから。
会社は混乱し衰退していくでしょう。ただでさえ、働かないおじさんがうようよしているのが今の社会状況ですからね。
まとめ
結局、この現実とのギャップを作り上げたのはメンバーシップ型雇用制度と、年功序列、終身雇用制度。
この制度を完全に破壊しないと、しばらくの間は現実ギャップは埋まらない。
今おかしいと気付いている若者が、管理職になるまで続くと言った方が正しいかな。
この状況を完全に破壊する前に、ジョブ型雇用に移行しようとしても、しくみが無いから上手くいかない。
だって世の中では、ジョブ型雇用の良い面しか言っていないからね。
結局の所、しくみを整備し現体制に大鉈を振るうことができた企業だけが生き残って行くんじゃないでしょうか。
アメリカだって直ぐにできた訳では無いから、現体制としくみを破壊し、新たなシステムと運用しくみを作り、改善を繰り返していくだけでも数十年はかかるだろうね。
だから、しばらくは日本の停滞は続くと思うと言うのが結論だ。