企業人材コンサル22年目の今~キャリア自律について話そう⑨"計画された偶発性理論"の進化版
今回は、今の時代にあったキャリア形成の仕方についてお届けします。
ビジネス環境の変化が激しく、この先どうなっていくんだろう…世の中がどんどん変わっていく…今日の当たり前が明日の当たり前かなんて分からない。
そういう時代に生きる私たちは、以前の考え方のままでいいのか?この先も同じ法則で進めていけばいいのか?という疑問と対処で臨みたいものです。
私たちも進化した構えをもたなければなりません。
そこで、クランボルツ教授が20世紀末に提唱したキャリア理論をみてみましょう。
まずどんな理論か…
それは、「個人のキャリアの8割は予測しない偶発的なことによって決定される」という理論。
これは、予期しない偶発の出来事に対して、ベストを尽くして対応した経験の積み重ねによって、より良いキャリアが形成されるという考え方ですね。
つまり、目の前のことに対処してきた結果だったり、意図せずただ流れに任せた結果だったり、都度成長しようと意識して取り組んだ結果だったり…
気づいたらキャリアが形成された・段階的にキャリアを形成したぞ!というもの。
これに対してよく聞かれるのが「キャリアアンカー理論」。
研修やコーチングでもキャリアアンカーについて行う機会も多くあります。
これは、自分の軸とは何か、自分にとってのやりがいとは何か、自分の適性とは何か等を見出した上で、あらかじめ設定したゴールを目指してキャリアを積んでいく、というもの。
つまり、自分のキャリアは自分で作る!の合言葉のもとに意識的に職歴を積み重ねていく。自己実現である私のゴールを決めてそこに向かって自分で計画して取り組むというもの。
このゴールまでのプロセスには参考となるパターンや王道のようなものがあったからこそ、だと言えます。
ポイントはここなんですね。
10年後が予測できない今、もしかしたら来年のことでさえも…
先が読めたからこその企業主導のキャリア施策が機能してきたと考えます。
今や長期はおろか中期間の施策でさえ、人材育成・人材活用の計画が難しい。
計画が難しいのは働く側の個人も同じです。職歴をどのように積み重ねていくか、どのような経験を積み重ねていくかというキャリアについて、計画をして、その計画通りに進めていこうとすること自体がもはや、現実的ではなくなったのです。
キャリアゴールを一つに固定することは特策ではありません。
そこで、私たちJK22は、"進化したキャリア自律の在り方として、思ってもみない可能性を常に意識しましょう"と提案します。
なぜなら、今思っている終着地点は今の時代という枠組みで想定しているものだから。それは将来、自分の思っていたものとはズレているかもしれない、すでに時代にマッチしないものかもしれない、というように、今は恋い焦がれるもの・素晴らしいと思えるものであっても、そうとも限らないということです。
他にあったはずの可能性を失うことにもなってしまうかも。
だからこそ、むしろ!思ってもみない可能性を常に意識していきましょう。
えっ私が?
そんなことを?
と思えるような突飛で別世界のものと感じたとしても、
無理無理、
違う違う、
私じゃない、
などとシャッターを下ろさず、壁を作らず、とりあえずやってみるか…くらいなスタンスで臨もうではありませんか!
そして同時に、楽しみましょう。
どんなことが起こるのかな、どうなっていくのかな。予定できない・計画できない、そんな偶発的な出来事を困ったな…ではなく、よし来た!と。逆に引き寄せるくらいの気持ちを持ちましょう!
【全てはステップアップのチャンスだから】
新しいことに直面した時には、自主的に勉強したり、挑戦する中での学びを得たり、粘り強くやり抜く精神力も同時に養うことができるのではないでしょうか。
さらには、どんどん視野も広がり、考える幅や行動の幅も広がって、今まで体験しなかった領域へと自分のキャリアのかじ取りの幅さえも広がりますね。
キャリアは大変な時こそ、困難な時こそ、逆境の時こそ、傷を負った時こそ、一皮むける経験を通してこそ開花するとも言われます。
クランボルツ教授はこう言っています。
『好奇心を持って新しい学習機会を模索しよう、失敗に屈せず努力し続けよう、新しい機会が必ず実現すると楽観的にとらえよう、結果が不確実でもリスクを取って行動しよう』
偶然、自分に降ってきた出来事はリスクを含んでいるかもしれない。
でもそれもチャンスに変えていきましょう。乗り越えることや成功することが重要ではありません。
リスクを承知でチャンスを選び取っていく。これはあなた自身の選択。
自分が下した判断、自分が下した選択ほど、強いものはありません。
この時代の進化したキャリア論として、JK22は「その積極性が大事」というメッセージをお届けしたいと思います。
これは企業におけるキャリア自律と捉えていただきたい。
今後はこのように、企業主体ではなく、働く人が主体となったキャリア形成が当たり前になっていきそうです。
あなたが今、「想像もしていないあなた」があると私は思います。
自分の想像の枠を超えて起こることも受け取っていきましょう。
まだ見ぬ新しい時代へと自分自身を導いていきましょう。