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九牛の一毛
お恥ずかしい話ではあるが、私は自動車を運転中に交通事故を起こして死にかけた事がある。単独の自損事故であったことが不幸中の幸いだが、大事に乗ればまだまだ走れたであろう当時の愛車と折れてしまった交通標識には申し訳ないことをした。
このとき私は一年近くも入院し仕事もできなかったのだが、それほど怪我が大きかったのは事故当時、シートベルトを着用していなかったことである。たしか当時、法律上の努力義務はあったものの罰則はなく、一般自動車道においてシートベルトのみ着用での罰則が課せられることになったのは1992年11月1日からである。また、最近見かけることも減ったオートバイなどで全ての車種、道路にて搭乗時のヘルメット着用が罰則付きで義務付けられたのは30年前の1986年である。ここれはもちろん交通事故が起こった際の怪我自体や、さらには重症化の防止を目的としたもので、それだけ「シートベルトやヘルメットさえしていれば」といった交通死亡・重症事故が多かったということである。
話は変わるが数十年前、煙草はいつでもどこでも「禁煙」とされていなければ、特に男性は皆当たり前のように吸っていて、吸い終わればこれまた当たり前にように道端にポイ捨てしていたものである。しかし、近年では喫煙率の低下や喫煙者のマナーの向上、あるいは一部地域での歩きタバコの禁止条例などによって、道端に吸殻を目にすることもなくなった。
人は誰も、程度はあれど自分に甘いもので「自分ひとりくらい」「このくらいなら」と思ってしまいがちである。しかし、九牛の一毛で終わらずに問題が多く目に付けば、それに対する反動といえば大げさだろうか規制や罰則が強化され、それが当たり前になっていく。
最近では自転車の交通ルール無視やマナー違反、歩きスマホなどが問題になっている。将来自転車に運転免許制度ができて、自転車に乗るためには教習所に通わねばならなくなったり、GPS機能などを利用して移動中はスマートフォンを利用できなくなる時代が来るかも知れない。そのとき、それも人々に受け入れられて面倒くさく思いつつもあたりまえになって行くのだろうか。
むしろ、早くそうなってしまったほうが良いのではないかとさえも思ってしまうこともある。
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