お返しまでがバレンタインデーす。
「はいこれ」
「なにこれ」
お菓子の箱?くれるならもらうけど。
「なにって、ホワイトデー。チョコくれたろ」
「あげたけど、あれはほら。結局渡せなかったし、自分で食べるのもなんだかか気分じゃなくてねー」
うちのとーちゃんは甘いもの嫌いだし、副会長だなんてそんな、さらに増して漫画みたいな……
「それでも、くれたことには変わりないだろ。だから、お返し」
「まあ、そういうことなら」
よくよく見れば高級そうな……だろやう?
「なによ」
くれるって言ってるのに、なんで離さないのよ。
「好きです。付き合ってください」
「へ?そういうのは半月くらい早いよ」
なんだいきなり。これはあれか?うっかり飛びついて「はいよろこんでー」とか言おうものなら「やーいひっかかったー」とかいうやつか?
「いや、そういうのじゃない」
「と、いうことは……」
どういうことだ?ちょっとまて。状況を整理しよう。
「えーと、つまり」
「はい」
「あなたは」
「はい」
「わたしと」
「はい」
「お付き合いがしたい」
「はい」
「なるほど」
………えぇーーーーーーーーー???
何それ今さらというかなんで今さら昔からずっといっしょでお互いの家というか部屋行き来しててさすがに一緒にお風呂はなくなったけど夜は平気で同じ部屋で寝たりしてるしお互い恋バナとかしてたしついこないだバレンタイン前だってやばい熱出てきたみたい落ち着け自分。
ふぅ……
……ん??
「あのさ」
「はい」
「これってさ、モノで釣ろうってこと?」
「いや別にそういうわけじゃ」
「なら、離して」
「はい」
よし確保。これはこれとして。
「で、なんでわたしなの?」
「なんでって……」
「小さい頃からあんた私の後ついてきてさ、ちびっこいからよくからかわれたりして泣いててさ……今も小さいけど」
「それでも」
「二人でいたずらして、見つかりそうになったとき一人で逃げたこともあったでしょ、あんただけのせいにして」
「それでも」
「両親は小さいのに、なぜかこんなにおっきく育っちゃって、学校じゃ男子にメスゴリラとか呼ばれてるし」
「それでも!」
やばい、目がマジだこいつ。
「本気、なの?」
「本気、です」
「そんなのずるい!」
「え?」
「それなら私から言うんだった!ちゃんと準備して!チョコも手作りして!」
「いやそれはちょっと」
「つべこべ言わない!男らしくないぞ!来年、覚悟しておきなさい!」
「はい……」
むぎゅ
周回遅れでイベント参加 したバレンタインデーの続き的なナニカ。