スタンディングデスク
スタンディングデスクを使って勉強している。
何を勉強しているかというと会計士試験のための勉強であり、頭脳に優れるとは言い難い身としてはそれは超長距離潜水遠泳のような途方もない道筋に見える。
図書館は少し遠いし準備も面倒で、毎日行くのは疲れる。
自宅(実家)ならやや集中が途切れがちになるが体力の消耗感が薄く、わざわざ弁当を用意したりする必要もないし、コーヒーもすぐ入れられる。
しかし運動不足にはなりやすく、ずっと座っているのも疲れる。
そう、何をしても人間は疲れる、疲れるんだ、この記事を書くのも疲れる。
ただ、そうやって生きている疲労にも色々あって、自宅でずっと座って勉強をする疲労というのは何か、グレーのぬめぬめしたコンニャクを膝に乗せて長時間耐えるみたいな、灰色極まりない退屈な重みなのであって、溌剌とした大学生がスポーツに打ち込んで汗を流した末の疲労だとか、限界まで己を酷使した中間管理職のサラリーマンが生命の危機すら覚えながら激務を耐え凌ぐような疲労だとか(もちろんそんなものを体験したことはないのだから想像で書いているだけに過ぎず滑稽なのだが)、そういったプラスかマイナスかはさておき人生においてなんらかの風景となりうるような痛みとは一線をおいた、味気のない疲労であることは間違いない。
スタンディングデスクは、そのぬらぬらした存在感の薄い疲労を少しでもあたかもスポーツのような、あるいは音楽にあわせて自然にリズムをとって体が動きだしてしまうだとか、そういうエキサイティングさ、レクリエーションっぽさを狙った形式的な舞台装置なのである。
いやそんなものはただの言い方であり、実際にはスタンディングデスクというのはもちろん単なるスタンディングデスクに過ぎない。
しかしそのような一抹の運動的、高揚感への希望、動的な傾斜へと、勉強の舞台を置くことでしか私の精神の発狂は抑えられないであろうことは、そんなことを書きしたためるずっと以前から直観的には明らかだったのである。
これらの理由から、私はスタンディングデスクをアマゾンプライムデーに購入し、使用するようになり、使用して会計士試験の学習に取り組んでいるのであり、そしてその結果として現に、私の精神の発狂はもしこのスタンディングデスクを使用しなかったのであれば相応見込まれるであろう発狂の程度を6割いや7割は抑え込んでくれている、素晴らしいツールなのである。
ぬめぬめした発狂に学習の環境を侵されつつある諸氏、それを予感している諸氏は一度スタンディングデスクというものを試してみる価値は実際あるだろう。以上、スタンディングデスクについてのレビューである。
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