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逃れの町と大祭司の死

聖書箇所:民数記35:9-36:13 パラシャ:マスエー מסעי

民数記35:9-34は逃れの町について書かれています。逃れの町とはイスラエルがカナンの地に入る時に、誤って殺してしまった殺人者が復讐から逃れられる為に、ヨルダン川の東側と西側に3つずつ定めるよう、神様が言われた町です。

民数記35:28 その殺人者は、大祭司が死ぬまでは、逃れの町に住んでいなければならないからである。大祭司の死後に、その殺人者は自分の所有地に帰ることができる。

梅崎:殺人者が自分の所有地に帰ることができるタイミングが「大祭司が死後」と言うのは何故ですか?民数記4章にレビ人の幕屋奉仕の年齢制限は30歳から50歳までです。民数記20章に初代大祭司のアロンの死後、大祭司職は息子エルアザルが継承したとありますが、大祭司 כהן גדול の任期はいつまででしょうか?

アビガエル: 大祭司はレビ人のように定年はなく、基本、死ぬまでその職務を全うしました。職務を遂行できないような身体の障害を負ったり、頭が働かなくなっている時は、次候補者に交代させます。だから、もし大祭司が長生きをすると、殺人者はなかなか逃れの町を出ることが出来なかったでしょう。

梅崎:年に一度、大贖罪日に大祭司は血を携えて至聖所へ入りますが、大祭司が罰を受けて死んだらどうなりますか?

アビガエル:一般人の担当者が死体を運び出します。死体に触ると穢れるから、祭司やレビ人は運び出しません。そして、大祭司の次候補者によって続行されます。大祭司の候補者は、十分な人数がいました。

梅崎:大祭司の服の裾に鈴がついており、至聖所の中で鈴の音がしなくなったら、初めから足に結わえていた紐を引っ張って出すと聞いたことがあります。

アビガエル:そうですね。でも体重が重いとか、何かに引っかかって大祭司を至聖所から出せない時には、やはり人が運び出しました。

石原:サギが「大贖罪日の時に、至聖所に入った大祭司が罪のためによく死んでしまい、交代する」と言ってましたね。なぜなら、大祭司の職は大変な名誉なので、虚栄心からなりたいと思っていた人もいたからだ、と。

アビガエル:神様はどうして逃れの町を作ったのでしょうか?誤って人を殺してしまった殺人者にセカンドチャンスをあげたい。復讐者の魂も助けたい。この2点があると思います。ユダヤ教では誤って人を殺してしまった(故意の殺人ではない)人を守ってあげるのは大事な考えです。新約聖書ではどうですか?

梅崎:イエス様の教えでは「殺人だけでなく、殺意も罪」です。ちなみに、「大祭司」は、福音書と使徒の働きでは当時の大祭司として使われ、へブル書ではイエス様として使われています。

石原:新約聖書を通して今日の箇所を考えると、2つの考え方が出来ますね。大祭司イエス様が死んで、逃れの町から出られるようになった。しかし、イエス様が復活されたので、このお方と私たちは共に住み続ける。

アビガエル:旧約聖書では神と律法の関係は複合的です。故意の殺人は律法によって裁かれます。誤って人を殺してしまったことは、ささげ物(コルバン)で赦される。ささげ物を捧げることが出来なければ、沢山祈ることで赦されます。心で反省していることを具体的な行動(慈善や献金など)でみせる事も大事です。

石原:新約聖書は、神と人間の関係を直すことが書かれています。なので、故意の殺人、誤って人を殺してしまった人、心に殺意を抱くことも、神の前に罪です。私は、心の中に小さな逃れの町を作って、そこに住んでいるような気持ちですよ。イエス様という大祭司に守っていただいています。笑

アビガエル:それは、かわいい考えですね。逃れの町は、普通の町だったので、大祭司が死んでも、そのまま住み続ける人もいたみたいです。


まとめ:大祭司の死をもって、誤って人を殺してしまった人が自分の町に帰ることが出来た事は、イエス様の十字架での死によって罪赦された事を暗示していることを、アビガエルと分かち合うことができて、とても感謝でした!彼女もすぐにそれを理解してくださいました。さすが、ユダヤ人ですね。

byうめちゃん

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