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着物って洋服より高いのは何故?

着物って、高いから・・・と良く言われます。
それは「洋服と比べて」高い、ということですね。
でも 洋服と着物を値段だけで単純に
比較できないと思うのです。

例えば洋服では 下着やシャツは消耗品で
着ていてくたびれて来たたら気軽に買い替えます。
でも 着物の下着はそうそう買い換えることがありません。
私は母のお下がりの襦袢も持っていますが
洋服で たとえ親からでも下着のお下がりを
貰うことはありませんよね?
着物は買い換えることを前提とせずに
仕立て直すのを前提に考えられているのです。
仕立て直す前の段階の洗う、といことでも
洋服の場合は 汚れたら即、洗うものだと
洗うための強度や手間が問題にされますが
着物は 汚さないようにすることが
大前提にあると思います。

汚れやすい場所は 裾や袖口には
八掛の別布をあてがい そこだけ取り替えるようにしてあります。
頻繁に汚れる襦袢の衿は
半襟という脱着可能な別布が付いていますし
着物本体の掛け衿も汚れたら仕立て直しで
交換できる工夫があります。
着物が日常着だった頃には
家事をするときには 上っ張りやたすき掛けが
当たり前のことでした。
また、着物を汚さないようにする所作は
近頃の若い方には見慣れなくて
やり辛いかもしれませんが
理に適っていて美しいものです。

洋服との相違点でもう一つは
洋服は流行によって ミニになったりロングだったり
膨らんでいたりタイトだったりと
また季節によって 長袖、半袖など
形が次々と変りますが
着物はいつの時代にも どの季節にも
色柄が変わって帯結びに変化が出ても
同じ形をしている、ということでしょう。
袖の幅や長さが変わっていても
大まかなラインは数百年と変わっていないのです。
カジュアルと礼装でも同じ形なのです。
(これが 着物のTPOを判り辛くしているのかも
 しれませんが・・・)
洋服の場合はカジュアルとフォーマルでは
一目瞭然、同じ土俵で語られることはなく
じ店内に売られることもまず、ありません。


着物が高いのは手間隙が掛かっているからだ、とは
誰もが認めることでしょう。
この手間隙は 洋服では考えられない手間隙で
1枚1枚手描きの洋服なんて あるもんではありません。
(知り合いでTシャツに絵を描いて売ってる人がいますが
 Tシャツ自体はユニ○ロの特価品だったりするし・・・
 それとは別問題)
ましてや 糸引きから織りの工程、作者が
判る洋服なんて ほとんどないと思います。
着物では それが普通のこととされているのです。
考えてみるとすごい。。。
もちろん、誰の手によるのか判らない
機械で糸を引いて機械で織られた着物や
手描きでなくプリントされる着物も
沢山あるのだけど・・・
そういった着物でも 洋服より
ずっと多くの人の手を通してここにあるのです。

着物は「着るもの」で
どんどん気楽に着て頂きたいのですが
洋服と比べることの出来ない
温もりを感じるから 大事に着られるのだと思います。
大事に着る、ということは
勿体無がって 箪笥に仕舞って置く、というのではなく
汚さないよう、傷めないよう、
心配りをしながら着る、ということだと思うのです。

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