芝崎さんの絹糸のお話。
冬に向かっているかのように寒かったのに今日は夏日・・・
衣替えなんかクソくらえ(失礼)って感じですね。
今日は 芝崎さんの作品についてお問合せがあったので
過去の芝崎さん作品を眺めながら
以前(2014年) 芝崎さんとお話したときのことをメルマガに書いたな、と
探しまして。
芝崎さんと色々なお話をした中で印象に残ったことを
残してありました。
今でも あぁそうなんだ、と感慨深いものがありますので
こちらにも書き留めておきます。
@着心地はともかく糸の引きと練りで決まる。
どんなに新種の繭が改良されても
糸を作る段階で 無理な引き方をしては何の意味もない。
まずは糸を引く時に いかに糸にストレスをかけないよう
糸自身の良さを殺さずに引くか、ということ。
そして 精練の時にも 化学薬品で楽して糸を溶かすのではなく
細かい粒子の灰で磨くようにセシリンを落としていく。
そうすることで 糸本来の艶があって色の乗りの良い糸が出来る。
@熨斗目を経絣で作るのは 緯絣で作るのは簡単だけど
着物にして時間が経つと布に収縮で柄が合わなくなってくる。
まず 糸の時点で縮まない糸を作り それを経絣にすることで
狂いのない横段を織ることができる。
@ほとんどの絣は経て糸が細くて横糸に太い糸を使うけど
芝崎さんの紬は経糸と横糸が同じ。
経と緯が5割5割の生地は力のかかり方が均一で狂いが出ない。
糸の撚りも少なくすることで 糸自身の持つ復元力を損なわず
皺になっても すぐ戻る生地にすることが出来る。
@草木染めの不純物は染めない。
染めに使う染液は 原料の草木を煮出してから1日2日置いて
不純物を沈殿させた上澄みのみを使って染める。
不純物が多い染めはムラやカビ、ヤケの原因になる。
不純物を除いて染めるとクリアで堅牢度の高い色に染まる。
@芝崎さんの求める糸を引くことが出来る座繰りの引き手さんは
四人だけ。
芝崎さんの求める糸が引けるようになるまでは1年かかるけど
その人たちに引いた糸は良くても悪くても全部買い取る。
その中から着物に出来るのはほんの数割のみ。
残りは帯やコートや 残糸織りにしたりするが使いきれない糸が
山のようにある。
@日本が絹糸の輸出をしたのは
外国のストッキングや下着用の糸なので
その時点で 着物に適した絹は無くなってしまい
工業用の細くて均一の糸になってしまった。
絹本来の味わいのある糸は
輸入には向かなかったので淘汰されてしまった。。
糸や染に妥協のない芝崎さんの紬。
生産数が少なくなってしまったのは残念ですが
丁寧に作っていたら量産はできません。
このように良いものを扱える店であること、
扱うからには きちんと説明できること
品ものに惚れているからお勧めできること。
それがじざいやの矜持です。
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