【対談】ジザイエがコベルコ建機と達成したいこと<後編>
ジザイエにゆかりのある方々をお招きして、今だから明かせるエピソードや想い、これからへの展望を語り尽していただく対談シリーズ。今回は、建設機械の製造・販売をおこなうコベルコ建機株式会社 取締役 常務執行役員の細見浩之氏と、株式会社ジザイエ代表取締役の中川純希による対談です。
中川:
ジザイエに求められていることはたくさんあると思うんですが、一番はやっぱりコベルコ建機さんが踏み出しづらいとか、知り得ないような現場に、我々がどんどん飛び込んでいくことかなと考えています。人手不足という課題は、どこの現場にも必ずあるんですよね。ジザイエが色々な現場の課題とか、現場とのタッチポイントを持っていれば、様々な場所で技術を展開してくことができます。
多くの会社は、人手不足をAIや自動ロボットで解決しようとしてきました。でも、それで全てを解決できるわけではないというのが稲見先生の主張です。コベルコ建機さんが建機の自動運転ではなく遠隔操縦にフォーカスされてきたのも、この考えがあったからですよね。
人手不足は日本のみならず各国共通の課題です。一方で、ちゃんと働きがいを持って働こうって動きも、世界中で求められている。その中において、遠隔で人手不足を解決する方法は、どの現場でも必ず何かやれることはあると思っています。
だから、とにかく飛び込むってことをやってます。私が毎日どこかの現場に行ってるぐらいの方が、この取り組みはうまくいくんだろうなって考え方です。オフィスが東京駅に近いんで、必ず寄りますけど(笑)。
今のオフィスは、出張に行きやすい場所を選んだんですが、実際に出張に行く前にオフィスに寄ったり、帰りにも必ずオフィスに寄れるんで、よかったなと思います。スタートアップなので、まだ人数が少ない中で、コベルコ建機さんのような熱量の高いカルチャーをこれから作っていかなければいけない。私自身もちゃんとオフィスに顔を出して、それこそプレゼンスを高めながらやっていく必要があるんですね。
細見:
ジザイエさんの事業展開には大いに期待していますし、中川さんが毎日のように色々な現場を回って、チャンスを捕まえてくることに、すごく意味を感じています。
あと、中川さんだけじゃなくて、ジザイエの皆さんも、それこそ熱量が高いなと。皆さんすごく高い熱量で、期待・希望を持って仕事をされている印象が強いです。
中川:
ありがとうございます。我々も結構意識して組織を作っていたり、採用の段階で熱量の高い方やビジョンに共感していただける方を積極的に採用しているので、その成果を感じていただけて非常に嬉しいです(笑)。
創業してまだ半年くらいですが、ソフトウェアやハードウェア、プロジェクトやプロダクトのマネジメントなど、各領域でしっかりと専門性を持ったメンバーが集まっていると思います。セールスにしても、今の段階では現場の課題を引き出しながら、その時の総合格闘技で何とかしていくところからやっているので、単にありものの商品を売るだけではないスキルが求められるんです。
でもそれも、稲見・門内研究室やコベルコ建機さんと共同研究をやらせていただいたり、並行して国のプロジェクトをやらせていただいた土壌があったからこそなんです。スタートアップの多くは、最初の半年~1年ぐらいはまだ何をやるかを考えるフェーズで、結構メンバー自身も迷っていたりするんですね。
我々の場合は、何をやる、どういう世界を作るっていうのが元々あった。しかも、コベルコ建機さんに加わっていただくことを発表して、社外だけじゃなく社内にとっても、明確な意志表示になりました。
〜異分野の仲間とオープンに議論〜
細見:
お客さんの現場は千差万別ですよね。一つひとつ問題解決していくためのソリューションを提供していくには、やっぱり幅広い分野での知見が必要なのでしょうか。
中川:
そうですね。ただ、どうしても全てを解決しようとすると、我々もリソースが足りなくなってしまうので、できる限り遠隔化技術、自在化身体技術の実装にフォーカスを当てながらやらせていただいています。
それでも、例えばトマトの収穫と肉の加工では、やっぱり全然違うんですよね。だから我々自身もロボットやIoTなど先端技術の知見をためて、最新技術もキャッチアップしつつ、現場としっかり話をしながら課題を解決していくつもりです。そこは確かに難しいところですね。
今、稲見先生が委員長、広島大学の栗田教授が副委員長をやられているVR学会の人間拡張研究会で、各月1回をめどにイベントをやっています。1回目は竹中工務店でタワークレーンの遠隔操作をやられている方、2回目は食肉加工をやられている前川製作所の研究開発本部長の方に登壇いただきました。次回は、海の上に風車を立てる洋上風力発電の設備をドローンや、這っていくロボットで遠隔点検する事例を取り上げようと考えています。
このイベントは、必ず東大とか広大とかで先端技術をやっている研究者の方と、企業で実際に課題をお持ちの方、例えばメンテナンスに対して困りごとのある方に一緒にご登壇いただいて、ディスカッションする場にしています。ジザイエも、そこに一緒に入って議論するんです。
細見:
ご紹介いただいたイベントはジザイエが主催されているのでしょうか?
中川:
VR学会が主催でジザイエは後援という形で行っています。開催場所は大手町のInspired.Labです。Inspired.Labは立地が良く、様々な企業の方がいらっしゃるので集客力も上がって、その後すぐ隣の会場で懇親会ができて、結構密な内容の話ができるんですね。
細見:
今お話しされた洋上風力の点検と似たようなことを、実は我々も考えており、2023年5月に東京ビッグサイトで開催された第5階建設・測量生産性向上展に、ドローンによるクレーン点検技術として参考出展させていただきました
クレーンのブームを持ち上げた作業姿勢での点検を実現するために、カメラを搭載したドローンの活用の検討を行っています。
中川:
洋上風力の話と、よく似ていますよね。これも横展開できる事例だと思います。高いところの点検という意味で、同様な課題が色々ありそうです。
細見:
今度、ドローンによるクレーンの点検技術に携わっている弊社の社員もイベントに参加させていただいてもよろしいでしょうか?
中川:
ぜひぜひ、もちろんです。これまでイベントに参加された方も、それこそプラントを実際に作られている企業や、洋上風力事業を展開しようとしている企業の方だったり。
幅広く多種多様な業界から色々な方に集まっていただけるので、本当にインスパイアされるような会になってます。コベルコ建機さんの方にもぜひご参加いただけると嬉しいです。
細見:
お話を伺うと、点検におけるドローン活用といったすごく近いケースもあるし、そうでなくてもインスパイアされるというか、ひらめきを得られるかもしれないので、非常にいい取り組みだなと思いました。
中川:
実際、似たような課題であれば、ソリューションのアイディアも似てきますよね。例えば稲見・門内研究室での共同研究の例ですが、建機のアームは長さに応じて重心の位置が変わるので、ユーザーが身に付けるウェアラブルデバイスでちょっと重心の位置を変えてあげて、「今は短いアームなんだ」「今度は長いアームなんだ」というのを、操作感で分かるようにした研究がありました。肉の解体でも、持つ包丁の長さが変わったりするところは、共通する部分があるかなと思います。
あと農業では、農薬を散布するときは農薬がかからないようにカメラを高い位置につける。収穫のときはカメラを果実の高さにつける。その時に、単にカメラの位置を変えるだけでなく、ユーザーに表示する際の眼間距離を変えてあげると、直感的に高さがわかるといった研究もしています。別の業界の話は、つながらないようでいて、つながってくることが結構あるかなと思います。
タワークレーンと風車では、高い位置の点検という意味では同じなので、パッとつながる部分があるかもしれません。高所だと風が強くなるので、その中でドローンの操作性をどうやって担保しながらやるのかとか、共通の課題がありそうです。
こういうイベントで僕が面白いなと思っているのは、それぞれの課題に対して「こうやったらどう?」みたいな話が、懇親会とかで結構出てきて盛り上がるんです。それこそInspiredじゃないですけど、関係性にも広がりがあって。
細見:
クローズドじゃなくて、オープンにすることで、色々な方から色々なアイデアが出てくるわけですね。
中川:
そうですね。人手不足という問題は、みんなで解決していかなければいけないところもあると思います。もちろん知財で守るところはオープンにできないんですけど、自分たちで開発した技術は、せっかくならば色々なところに使ってもらわないと、逆にもったいないかなと考えています。オープンなディスカッションをしながら、遠隔技術で世の中全体をよくしていき、働きがいや働く人の幸せにつなげていきたいですね。
細見:
その目的は我々も一緒です。
最後になりますが、ジザイエさんには、若くて優秀でやる気に満ちた優秀な人材が集まっています。当社が提供する特許やノウハウをはじめ、最先端の技術を取り入れて、ベンチャーならではの勢いで、社会課題を解決する新しいソリューションを積極的に世の中に出していってください。K-DIVE®️を有する当社にソリューションを還元することはもちろん、お互いの強みを活かしながら、様々な分野で遠隔就労社会の実現に挑戦していきたいと思います。
中川:
ありがとうございます。ぜひ一緒に新しい社会をつくっていきましょう。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございます。
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それではまた次の記事でお会いしましょう✨