化粧をする 自信が湧く
化粧をする時間が好きだ
白湯をマグカップに注ぎソファにあぐらをかく
化粧水をスプレーして目が覚める
ビューラーをすると眼力がみなぎる
アイシャドウのグラデーションが自分のうすっぺらさを中和する
チークは意見を言えない自分の情熱を食い止める
口紅は口角をあげたときにここぞと目立つ
自分の顔が昔から嫌いだ
大嫌いだ
腫れぼったく、目に生気はなく
写真を勝手に撮られようものならジェイムズブレイクみたいに首をぶんぶん振ってピンボケさせようとしていた
化粧で整形をしたように美しくなれる人もいるだろう
だけど私にはそんな器用さもない
化粧にかける金もない
化粧=美しいものを引き立たせる
という構図がずっと私の頭にはあった
年を重ね、おかしい話だけれども「この顔でも仕方がないか」と達観できるようになった
すると途端に化粧品を選ぶ楽しさがわかってきたのだ
スパンコールいっぱいの服やタイトサイズのトップスは着れなくても大粒のラメやキリリとしたアイラインなら出来る
本来アイラインとして開発されたものを下まぶたに薄く塗る
悪いこととわくわくすることの中間をやっている
毎朝、きょうはどんな自分になろうかと化粧箱を開けることが楽しみになった
ついに年末に白いアイラインを買った
意味がわからない
けれどブラウンやモスグリーンシャドウがとても映える
自分の好きなものを表現できる楽しさはこんな身近にあったのだ
来年も、たくさんお化粧をしていこう