見出し画像

学び直しのWebライティングの教科書 ~AIに頼るその前に~

多くの場合、WebライティングはWeb以外のライティングと混同されがちです。"Web”と付いているにも関わらず、Webの特性を一切反映していません。

Webの特性とは、簡単にいうと「検索」に関わる一連のユーザー行動のことです。Webに掲載する以上、検索を通じて記事を閲覧するユーザーの行動原理を無視することはできません。SEOを目的とした記事執筆の場合はなおさらです。

今まで成果が出なかったSEOライターは、もしかするとWebライティングを勘違いしているかもしれません。あるいは、深く教えてもらえなかったがために「そこまで考えたことなかった」と思うでしょう。Web上で物書きとして食べていくには、検索ユーザーの特性を知った上で具体的なライティング技法を身に付けなければなりません。技術が先ではないのです。

本書では、Webライティングの正しい書き方を解説するだけではなく、文章のよくある間違いを例文付きで紹介します。現役Webライターはもちろん、新規参入を考えている人も、ぜひ参考にしてください。領域を問わず、皆さんのお役に立てるはずです。

Webライティングとは?

Webライティングとは、Web媒体に掲載する記事を執筆するための技術です。

Web媒体とひと口に言ってもさまざまな形態が存在しますが、Webマーケティングにおける主な施策として活用されるのは以下の4つです。

  • SEOを目的としたコンテンツ(記事)

  • 成約を目的としたコンテンツ(LP)

  • ソーシャルメディア掲載のためのコンテンツ(ポスト)

  • メールやLINEで流すためのコンテンツ(メルマガ)

Web媒体を通じて読者に記事を届けるためには、読者(検索ユーザー)だけではなく、検索エンジン※にとっても“良質な記事”であると認識される必要があります(表示の可否を100%コントロールできる形式をメルマガやSNSへのポスト除く)。※検索エンジン=Googleと定義して本書では以降説明

なぜなら、Web媒体そのものが検索エンジンの土俵の上であり、検索エンジンのルールに則らなければ記事が読者の前に表示されることがないためです。とある高校球児が、チームメイトから「○○は走攻守揃ったベストプレイヤーだ!」と称賛を浴びても、野球のルールを知らなければ監督から評価を受けることがないため結果的に試合に出られないのと同じです。

今回は、上記で挙げたなかで最もWebライティングと関係性が高い“SEOを目的としたコンテンツ”にフォーカスして正しい書き方を解説します。ただし、基本的な構造はどのWebライティングの領域でも求められるでしょう。ぜひ何かの役に立ててください。

SEOを目的とした記事に求められる要素

SEOを目的とした記事に求められる要素は以下の3つです。

  • ユーザーの知りたい情報を提供している

  • ユーザーの検索コストの低下させられる

  • ユーザーの検索目的を達成できる

検索エンジンは200個以上のアルゴリズムを用いて、これらを満たしているかどうか複合的に判断しようとしています。

つまり、Webライティングはこれらを満たすことができる技術を意味しているため、検索エンジンを無視して最良の記事は書けないということになります。

では「検索エンジンから評価を受けることを目的にして記事を書けばいいのか?」というと、実はそうではありません。評価の上で最も重視するものは何か、Googleは「Google が掲げる 10 の事実」の中で以下のように言及しています。

1. ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
Google は、当初からユーザーの利便性を第一に考えています。新しいウェブブラウザを開発するときも、トップページの外観に手を加えるときも、Google 内部の目標や収益ではなく、ユーザーを最も重視してきました。

引用:Google が掲げる 10 の事実

上記は、必ずしも記事やテキストに限定した内容ではありません。しかし、“ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる”という基本理念はいかなるWeb媒体においても変わりません。

ユーザーに焦点を絞る上で重要になるのが検索背景です。情報を検索するとき、多くの場合ユーザーは「早く答えが欲しい」と考えています。なぜなら、検索シーンの大半は、スマートフォンの普及に伴って増えた“瞬間的な欲求に基づく検索”であるためです。

瞬間的な欲求とは、主に以下4つのシーンです。これをマイクロモーメントと言います。

  • 知りたい(know)

  • 行きたい(Go)

  • したい(Do)

  • 買いたい(Buy)

参考:Micro-Moments:Your Guide to Winning the Shift to Mobile

先にも述べたとおり、ユーザーは検索した目的を果たしたいと考えています。例えば「近くのカフェ」と検索するユーザーは、近くのカフェに行くことが検索目的であると想定できます。記事を最後まで読まなければカフェを比較検討できない内容だった場合、“行きたい”という欲求に対してマッチせず、ユーザーは検索目的を果たしづらくなります。

よって、記事を閲覧したユーザーが検索目的を果たせるよう、Webライティングではいくつかの要点を満たさなければなりません。

このライン以降が有料エリアとなります

ここから先は

16,519字

¥ 5,000

PayPay
PayPayで支払うと抽選でお得

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?