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独立3日目 実況中継 金融機関からお金を借りよう

独立するということは、フルコミッションの営業をすることと同じこと。基本給なし、経費は自分持ち、一匹オオカミ!?いや一匹の野良ネコであり、誰も助けてはくれない。リチオは独立したとき貯金が200万円しかなかった。生活費、交通費、ガソリン代、社会保険料、住民税などただ生きているだけなのに何かとお金が飛んでいく。会社設立に20万円以上、宅建業者登録に170万円程度のお金がかかる。事務所も借りなければならない。

お金が足りない。ここは借りるしかない。起業したてのリチオにお金を貸してくれそうなのは、やはり「日本政策金融公庫」(以下「公庫」)だ。早速電話をするとアポイントはいらないので、窓口へ相談にきてほしいとのこと。リチオはドキドキしながら公庫があるビルに入り、受付の女性に声をかけた。

リチオ あの〜会社を設立するので融資を受けたいのですけど…

受付女性 担当がお話を伺うので少々お待ちください。

担当 本日はどのようなご用件でしょうか?

リチオ 不動産会社を設立して開業したいので融資を受けられないかご相談に来ました。

担当 これまで不動産業の経験はありますか?

リチオ はい。これまで不動産会社で従業員として働いていました。

担当 それでは、こちらの新規開業資金のご融資を検討できます。それでは借入申込書創業計画書その他必要書類を作成して申し込んでください。後日面談をさせてもらいます。

リチオ わかりました。

思ったよりあっけなく話が進んでリチオはほっとした。早速、ネットで調べながら創業計画書の作成に取りかかった。いくら借りることができるのだろうか? 一般的には、自己資金の3倍まではいけるらしい。創業計画書を作成しながら試行錯誤した結果、設備資金と運転資金を合計して580万円の借入計画をたてた。設備資金(例えば自動車)については見積もりを取得して添付する。

リチオは公庫に再訪問し、申込書を提出した。その日は、書類の確認だけで後日、面談の連絡が入るとのことだった。

後日リチオに公庫から書類が郵送された。その中には面談時に持参する資料の一覧が記載されていた。

①創業計画書の売上、売上原価、経費の計算に用いた資料(予定販売先の受注契約書など)
②ご勤務時の給与明細票または源泉徴収票
③預金通帳(最低6ヶ月分以上、家族名義を含む)
④公共料金の領収書または支払証明書
⑤借入がある場合は、借入残高がわかるもの
⑥固定資産税の領収書(または課税明細書)
⑦不動産の賃貸借(予約)契約書または物件説明書
⑧営業許可書、資格または免許を証明するもの
⑨運転免許証等の身分証明書

<面談日当日>

担当 本日はよろしくお願いします。まず、持参いただいた資料を確認させていただきます。

担当 まず、創業計画書にある売上の根拠を教えてもらえますか?

リチオ まだ確定してはいないのですが、土地の仲介案件がありこれがまとまれば、○月には〇〇万円の手数料収入が入る予定です。その他は、今後営業をする中での売上見込みを記載しました。(かなり苦しい〜〜)

担当 経費の根拠を教えてください。

リチオ それぞれの設備(購入物)について、見積りを持ってきたのでこちらを確認してください。(全部見積りを取っておいてよかった〜〜)

担当 (預金通帳を見ながら)毎月の生活費を教えてください。

リチオ だいたい〇〇万円です。(そんなとこまで確認するのか〜)

担当 自己資金はどうやって準備したのですか?

リチオ 賞与などを貯金して貯めたものです。(堅実な人間かどうかを見られているのかな〜〜)

担当 (奥さんの預金通帳を見ながら)奥さんは働いているようですがどのような仕事をしているのですか?

リチオ 不動産会社で営業事務をしています。

その他の書類についても同じように確認された。リチオは背中が冷や汗でびっしょりになった。結構担当のツッコミは厳しかったな〜。ちゃんと融資してもらえるかな〜。大丈夫だろうか??

一週間後、担当から連絡が入った。

担当 融資の承認がおりました。ただし融資額は500万円ですがよろしいですか?

リチオ はい、大丈夫です。(よかった〜)

担当 500万円のうち、運転資金が320万円で、設備資金が280万円で返済期間は○年で利息は○○%です。(利息は当時1%以下だった。タダみたいなもんだな〜)

リチオ ありがとうございます。問題ありません。

担当 契約書類を郵送するので、記載して郵送または持参してください。

リチオ   はい!!契約したらどれくらいで振り込まれますか?

担当 2週間以内には実行できると思います。

リチオ 助かります。よろしくお願いします。

こうしてリチオは借入れができた。このお金のおかげでその後余裕を持って営業ができるようになる。独立時、お金に余裕があることは安心につながり保険のような役割があると思う。理想は、売上が順調に上がり借入金には手をつけずにそのまま残し、その中から月々の返済をしてしまうことだ。

公庫は、民間の銀行とは異なり公的な機関なので、弱小企業に対しても優しく対応してくれるところである。

もっとも、借入ができるかどうかは、ケースバイケースなので公庫からの融資を検討している方は、まず窓口で相談して詳細な条件を確認してください。




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