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ダイヤモンドに憧れて

前からも横からも電車がやってくる。
そんな「鉄道の交差点」というものが、世の中にはある。

専門的には「ダイヤモンドクロッシング」という。
タイトルカットのように直角に交わる線路は、
今日の日本国内では、わずかに3か所だけだ(※1)。

TOMIXから発売されているNゲージのクロッシングレール。右は裏側のフタを外した状態。
交わった線路同士がショートしないようにするためか、その構造は意外と複雑だ。

「ダイヤモンド~」という名前は、上の写真で赤く囲った中央部分が菱形であることに由来する。

そんなダイヤモンドクロッシングに興味をひかれたのは、故郷・王子を走っていた須賀線の貨物線の存在を知ってから。
母校である桜田小学校から100mと離れていない身近な場所(※2)に、須賀線と都電27系統の平面交差があったという事実に好奇心をくすぐられたのである(※3)。

それから三十余年を経て気がついたら、すでに国内3か所中2か所のダイヤモンドクロッシングを訪れていた。

人生で初めて出会った直角のダイヤモンドクロッシング。場所は伊予鉄道の大手町駅。王子にあったものと同じく、普通鉄道&路面電車の組合せだ。 1995.8.22
とさでん交通の4つの軌道線(伊野線・後免線・桟橋線・駅前線)が合流する「はりまや橋停留場」。分かりにくいが写真右端、路面電車の鼻先にあるのがダイヤモンドクロスである。 2023.7.12

ダダダダン!ダダダダン!

鉄の車輪と線路が奏でる、聞きなれないジョイント音。
路面電車なら一瞬、伊予鉄の市外線も最大で3両編成で数秒で終わる。

これが須賀線であれば、重くて車長の短い貨車が20両ぐらいだったのだから、迫力があったろうなぁと思う反面、興味がなければ只々やかましいだけだったのだろうし。

だから立体交差化が進んでダイヤモンドクロッシングが解消されるのは、社会的にはたぶん正しい。
それでも、また聞きに行きたいと思っている自分がいる。

注釈

※1:直角でない平面交差でも「ダイヤモンドクロッシング」といい、直角に限定しなければ他にも沢山存在する。

※2:王子消防署前の交差点がその跡地。国道122号の「北本通り」と呼ばれる区間には、都電荒川線(東京さくらトラム)に統合された27系統の廃止区間(王子駅前~赤羽)が通っていた。

※3:筆者の生まれる前に須賀線は廃線となっている。

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