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タダより高いモノはない

今宵もグリーン車の誘惑に抗えない。

横浜へJリーグの試合を観た帰り路、ビールをしこたま飲んで懐が寂しいはずなのに、ついつい上野東京ラインのグリーン車に乗ってしまう。

立ち客からのプレッシャーも、見知らぬ人と向い合せに座る気まずさもない。
何よりリクライニングする快適な座席で、堂々と締めのもう一杯を嗜む。
ああ、なんと快適なことか。

やはり一度知った美味からは抜け出すのは難しい。

宇都宮線・高崎線の電車にグリーン車が連結されて、ちょうど20年が経つ。
今のように気軽に自分がグリーン車へ乗るなんて、当時のワタシには想像もできなかった。
サービス開始前は「わざわざ金払ってグリーン車に乗る人がそんなにいるの?」的な、グリーン車の連結に懐疑的な声もあったように記憶している。

何十本もの編成の中間に2両のグリーン車を挟み込むなんて芸当は、JR東日本のような大きい会社であっても一日二日でできるほど簡単ではない。かといって、そのために運休するわけにもいかない。

実際、当時の鉄道雑誌の記事によれば、湘南新宿ライン全列車分だけで約1カ月をかけている。

その後のダイヤ改正までの期間を含めた数カ月、宇都宮線・高崎線のグリーン車は料金不要で乗車できる措置がとられた。
いわゆる「無料お試し期間」が乗客にプレゼントされる形となったのだ。

経験したことのないものにお金を払うのは、誰もが躊躇する。
体験することでグリーン車に乗ることのメリットに対する解像度が上がり、さて金を払ってでも続けたいことか、と考えることができる、

その結果、毎日ではなくともグリーン車に乗ることを選ぶ乗客が沢山いて、今日に至っている。
常磐線でも同じことが起こって、今日から中央線でグリーン車の「お試し期間」が始まった。

はてさて、どれだけの人が誘惑の餌食になるだろうか。

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