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【中国製品炎上事件簿】買ってはいけないメイド・イン・チャイナ#01
安くても品質が……といわれ続けながらも、庶民の生活にはなくてはならない
存在となった中国製品。だがその裏で、事故はやっぱり起きている
安価グッズの落とし穴
近年では100円ショップで売られている安価な日用品、食品などから、高価な電化製品まで、何でも揃う感さえあるメイド・イン・チャイナのアイテム。それらは我々日本人の生活にはなくてはならぬものとなりつつあり、たとえば昨夏には、建築現場で用いられる便器が不足したことで日本の新築物件がなかなか完成しなかったり、今年の場合は給湯器に使う半導体が圧倒的な品薄状態となったことで、納品まで数ヶ月待ちとなるなど、何らかのアクシデントで中国からの輸入品が品薄状態となると、すぐに日本でもパニックが発生する状況にさえなっている。
とはいえ、昔から巷では粗悪品の代名詞的に、「メイド・イン・チャイナ」という言葉が用いられていることからもわかるように、現在でも、総じて中国製品の質は、お世辞にも良いとは言えない。「メイド・イン・ジャパン」と比較すると、その差が歴然としていることは言うまでもなく、それどころか、近年では使用、あるいは摂取することで、命を落としかねない代物まで平然と市場に出回っている。たとえば、100円ショップなどでよく見かけるような便利な日用品の類は、その典型例ともいうべきジャンルだ。
「ワンコインで買えるような電気系は絶対にやめるべきです」
我々がしばしば目にする安価な中国製日用品についてそう警鐘を鳴らすのは、日本で流通している中韓製品に詳しい輸入コーディネーターのN氏(58)。長年、日中両国の企業を仲介し、現在も多くの案件を抱えている同氏によると、まず真っ先に避けるべきなのは、激安で売られている電気系のアイテムなのだという。
「店頭ではマルチタップやLEDライト、さらにはスマホなどの充電ケーブルをよく見かけますが、まず、マルチタップや延長コードなどは発火する事故が中国国内でも頻発していますし、日本でも何度かリコールされた“実績”がありますから、買う方がどうかしているというレベルです。同様に、スマホの充電ケーブルなども、割と発火する事故が多いので、まず、“中国製の安い電気系グッズは買うな”というのが私の見解ですね」
たしかに中国製のこうしたアイテムは、中国国内はもとより、輸出相手の国々でもしばしば発火事故を引き起こしている。たとえば日本の場合、2015年に大手100円ショップで売られた中国製の延長コードに発火の恐れがあるとして、約244万個もの商品がリコール対象となるトラブルが起きているし、東南アジアなどでは、使用中に発火どころか、爆発する事故なども頻発しているという。こうしたケーブル系のほかにも、日本では2016年にAmazonがプライベートブランドとして販売していたポータブル充電器に発火事故が多発し、26万台がリコールになったほか、2018年には、愛知県内の小学校で新入学児童に配られた防犯ブザーで内蔵電池が破裂する事故が頻発するなど、内蔵電池を使うタイプの製品を中心に、発火・爆発事故が世界各地で相次いでいるのだ。となれば、最も注意すべきは、中国製の電気系アイテムということになるが、実際にはそれ以外の日用品にも、思わぬ危険が潜んでいるという。
「電気系と同じような感じで100円ショップなどに並ぶ商品で、比較的リスクが高い例としては、ドリンク用の使い捨てプラカップなどがあります。この手の安価な製品のなかには、使用すべきではない成分などが検出されるケースもありますので注意が必要です」(N氏)
たしかにこの手の安価な加工品はかねてより問題が指摘されており、たとえば昨年にはプラ製の使い捨てコップからは、一定量を超えて吸入すると生命に危険があるというジブチルスズ化合物48μg/gが検出されているし、2017年には中国製のキーホルダーから、基準値を超える放射性物質トリチウムが検出され、原子力規制庁がメーカーに対して再発防止措置を要望している。また、珍妙なところでは、毎年冬になると、中国ではなぜかダウンジャケットが爆発する事故が続出しているが、こちらは製品そのものに問題があるわけではなく、ドラム式洗濯機に放り込むと、洗濯機側の仕様としてこのような事故に繋がると推測されているという。しかし、防犯ベルが発火し、キーホルダーから放射性物質が出るような状況を鑑みれば、果たして本当に「洗濯機側の問題」であるのかと疑ってしまう。
取材・文◉呉麓山