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【医師が解説】 新型コロナワクチンとアセトアミノフェン。

こんにちは。院長です。

【じたくでクリニック】では、医師と薬剤師が医療に関する様々なテーマについて解説しています。


今回は、アセトアミノフェンについてお話しします。



新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進む中、ワクチン接種に伴う有害反応として『発熱』『注射部位の痛み』が比較的高頻度で見られます。

その際に有効なのが『解熱鎮痛薬』です。

解熱・鎮痛作用を持つ医薬品で代表的なものに、

① ステロイド(副腎皮質ステロイド)

② 非ステロイド性抗炎症薬 Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs(通称 NSAIDs)

があります。


①の副腎皮質ステロイドは、医療の現場では、解熱・鎮痛目的ではなく『過剰な免疫を抑えるため』に用いる事が多いです。

例えば、新型コロナウイルス感染症では、感染後1週間から10日程して重症化し、亡くなる、というパターンが多く報告されています。

皆さんのイメージでは、『感染症』では、感染後ウイルスが増殖して、数日以内に重症化し亡くなるような印象を持っている方が多いかもしれませんが、実は上記のように比較的遅れて重症化するというパターンが、新型コロナウイルス感染症の経過として重要なんです。


というのも、新型コロナウイルスは、それ自体の病原性は強くありません。

そうではなく、体が「それに打ち勝とう!」と自己免疫を高め、抗体が産生され始め、それが功を奏してウイルス量が少なくなったような時点で、むしろその免疫応答が過剰なために肺水腫等を起こすため、重症転化し亡くなられるんです。

つまり、必要な治療は『抗ウイルス薬を投与する事』ではなく『過剰な免疫応答を抑える薬を投与する事』になります。

その薬が、副腎皮質ステロイドです。

一般名としては、デキサメタゾンやメチルプレドニゾロン等が挙げられます。

治療ガイドラインでも、投与が推奨されています。


余談ですが、新型コロナウイルス感染症の治療で、『過剰な免疫応答を抑えるために副腎皮質ステロイドを投与する事』と併せて重要なのが『人工呼吸管理、循環管理』です。

過剰な免疫応答はしばらくすれば落ち着き、肺水腫等も改善するので、嵐が過ぎ去るのを待つように、その間人工呼吸管理や循環補助によって乗り切る、という感じです。

だから、人工呼吸器の普及していない国では死亡者が多い、という事態になるんです。

その点、日本はとても恵まれています。


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