見出し画像

AR2E シーフ作成編(中級者向け)

1. 初めに

 以前に投稿した「AR2E メイジ作成編(中級者向け)」の続編です。記事の主旨は「AR2E ウォーリア作成編(中級者向け)」と全く同じですので、そちらの方と併せてご覧ください。


2. シーフの役割

 まず初めに、シーフが担う事の出来る戦闘的な役割について大きなものを挙げます。今回は3つに分類しますが、シーフは他のメインクラスに比べて自由度が高く、サポートクラスに依存した戦い方をする事が多いです。基本的にはこれらの役割からいくつかを選択する事になりますが、サポートクラスとの相性次第では選択通りのキャラクターを作れない事が多くあります。シーフは軸を意識して作らないとどれも中途半端なキャラクターが出来てしまう、少し難易度の高いクラスなのです。

  • 回避
     回避はほとんどシーフの特権です。回避に関するスキルがシーフに多いだけでなく、高い回避力を得られるような装備の装備条件にシーフが設定されている事が多々あるからです。ただし、回避だけを伸ばしすぎて他の事があんまり出来ないキャラクターは、敵に狙うだけの価値がないと判断されてしまうため、何か他の役割を持っておく事が必要不可欠です。《タウント》による[逆上]付与だけで解決する話ではないので、これはしっかり覚えておきましょう。ここで言う回避は回避盾とは少し違います。例えばアタッカーなら、無理にヘイトを集めずとも、そこそこダメージを出しつつ攻撃を避けられるというだけで、タンクの負担にならないアタッカーとなり、十分役割を遂行できるからです。これはアタッカーに限った話でもないため、シーフの最も重要な要素の一つと言えるでしょう。

  • アタッカー
     下級帯でとどまっている限りは《ボルテクスアタック》や《リゼントメント》の制約がないため、ある程度好きな攻撃手段を選択する事が出来ます。武器攻撃なら範囲攻撃を少ない枠数で実現できるのが強いです。前後衛も選びやすいので、回避や耐久に自信がないなら後ろからの攻撃が無難でしょうか。幸い、シーフは射撃攻撃がそれなりに得意です。ただし、シーフ自体に枠あたりダメージ効率、MP燃費等を考慮した火力上昇スキルとして優秀なものは、投射を除いて多くありません。サポートクラスに攻撃的なスキルがある程度揃っていないと火力が頭打ちになってしまいます。

  • 支援&妨害
     攻撃しなければ絶対に損というクラスでもないので、シーフは味方のサポートや敵の妨害に徹しても良いです。ただし、シーフのスキルだけでこれを実現するのは非現実的であるので、サポートクラスに依存する構成になるでしょう。アコライトがアタッカー希望なら、この役割を積極的に選んでも良いと思います。ただし、上級クラスで頭打ちになる事がままあるため、そこは工夫が必要です。ほどほどの支援に抑えて、基本はアタッカー軸にする等しても、器用な立ち回りが要求されるシーフとしては面白いかもしれません。

4番の項目では、これらの役割を担うためにどうしても必要になってくるいわゆる必須スキルを並べていきます。


3. 必要な能力値

  • 【筋力】(任意)
    装備重量の条件を満たす程度まで。移動力もスクウェアルールで2マスは動けるようにしておく。耐久によせるなら必須。

  • 【器用】(必須)
    武器攻撃とトラップ解除判定に使用。

  • 【敏捷】(必須)
    回避で使用。陣形の起点等、シーフに要求されがちな行動値の確保。

  • 【感知】(必須)
    トラップ解除判定と危険感知判定で使用。敏捷同様行動値の確保。


4. 主軸となるスキル

 では、シーフを作成する上で主軸になっていくスキルを紹介します。

  • 《バタフライダンス》
     下級で回避ダイスを無条件で増やせるスキルはこれだけです。回避を考えるキャラ全員がこのスキルを目的にシーフにクラスチェンジするぐらいです。単に期待値で回避を+3.5するだけでなく、命中判定がクリティカルしてしまうと、回避判定をクリティカルするしか手段はなくなるため、クリティカル率を上げるための回避ダイスはレベルが上がってからもずっと重宝されます。
    L《ドッジムーブ》
     必須スキルとまではいきませんが、スキル1枠かつ実質的にタイミングを消費せずに回避判定を+3も出来るスキルは他にありません。コストもそれほど重くなく、シーフの構成のほとんどは回避が視野に入るため、《バタフライダンス》と併せて持っておきたいスキルです。SL1が最大効率で、2以降はあまり強いスキルではないので、SLを2以上にする場合は、本当にそうまでして回避+1が欲しいのか、他に手段がないのかをしっかり検討してからにしましょう。

  • 《インタラプト》
     エネミーに限らず、キャラクターの行動はそのほとんどがスキルによるものです。その中からなんでも1つを無効に出来るこのスキルの強さはわざわざ語るまでもないかもしれません。単純に敵の強い攻撃スキルを失敗させても十分強いです。《アフェクション》同様、敵の攻撃のテンポを1度止めて、体勢を立て直す事にも使用出来ますし、《アフェクション》とは違い場面攻撃スキルや攻撃でない厄介なスキルを打ち消す事も出来ます。このスキルの使いどころが戦況を大きく変えるので、必ず取得しておくべきスキルです。CL1で取得してしまってもいいですが、5枠のうちの1枠を持続しないシナリオ1回スキルで埋めてしまうのは、初期作成段階でやりたい事を出来なくなってしまいますし、敵のスキルの数も少なく攻撃自体はスキルではなくただの白兵攻撃の可能性がかなり高いので、あまりオススメ出来ません。目安としてはCL1~2で取得するかどうかは任意で、CL3になったら必ず取得するといった感じでしょうか。

  • 《ワイドアタック》
     これほど効率が良い範囲攻撃のスキルは他にありません。武器の指定もなければ、対象はエンゲージから自由に選択でき、おまけで条件付きのダメージ上昇もついてきます。敵が単体であっても1枠しか腐らないのがとてもつよく、武器攻撃をするキャラクターならメインクラスがシーフ以外でもシーフに転職して取得する価値のあるスキルです。シーフは高火力の攻撃を出す事は難しく、【行動値】が高くなりがちであるため、範囲火力が期待される事が多く、ほぼ必須といってもよいでしょう。取得しない場合は、メインウェポンとして使っていく他の「タイミング:メジャーアクション」の攻撃スキル(例えばダンサーの《エアリアルレイブ》等)のSLを積極的に上げたい場合が考えられますが、パーティ内の範囲攻撃役が足りているかを考えながら、どちらを優先するべきか考えましょう。SLを2以上にすると、逆にこのスキルの効率という強みを失ってしまい、《ビースティング》等の他のスキルとの撃ち分けという面でも使いにくくなってしまいますし、スキル1枠で条件付き2係数ダメージ上昇はシンプルに弱いので、SLは1に留めておきましょう。
    ※タイミングの重複については、「AR2E キャラクター作成のすすめ」の「7.スキルを取得しよう」でも解説しています。

  • 《アームズマスタリー:~~》
     「AR2E ウォーリア作成編(中級者向け)」でも記載しましたが、このスキルは武器アタッカーなら必須です。シーフのほとんどは武器アタッカーになるため、「主軸となるスキルの項目」に置いておきます。


5. その他スキル

 以降は必須スキル以外を一通り紹介していきます。前提として、武器攻撃の命中/ダメージ/回避の上昇値だけで考えると、下級スキル1枠当たり+3/+4/+3以上であれば相当強く、+2/+3/+2が強い、+1/+2/+1以下だと弱いというのが筆者の感覚です。評価の目安は以下の様になっていますが、すべてのスキルを一概に評価する事はできないため、参考程度にお考え下さい。
★0:取得しない方がいい
★1:特殊な状況でなければ取得する必要はない
★2:構成とかみ合っているなら取得価値あり
★3:構成とかみ合っているなら取得するべき
★4:取得するスキルで悩んでいるならこのスキルを取れば良い
★5:取得しない理由が必要
※評価は下級に絞ってつけています。

  • 《アンビデクスタリティ》★★★★★
     両手は埋まってしまいますが、「種別:短剣」を使うキャラクターならこれを取得しない手はないでしょう。「種別:短剣」の低い攻撃力を補う事が出来ますし、《ナイフパリー》の使用条件も満たす事ができます。鞭と短剣の双装備にすると、「短剣、鞭、双」の条件を満たせ、様々なスキルが使用出来、前衛シーフの鉄板の構成とも言えます。

  • 《イベイジョン》★☆☆☆☆
     コスト以外の点でダンサーの《エフェクトスキップ》の下位互換スキルです。使用条件がシナリオ中SL回のなのが痛く、-1Dを打ち消すのなら、このスキルではなくフェイトを取得した方が汎用性が高いです。フェイト使用上限や、-2D以上を考えると悪くはないのですが、そうまでしてダイスのペナルティを消したいのなら、大人しくダンサーに転職して《エフェクトスキップ》を取得してしまった方がいいでしょう。

  • 《インベナム》★★★☆☆
     [毒]は単純に1枠当たりに発生させるダメージ量に換算すると、5点と強いのですが、バッドステータスにはそもそも効かない相手がいたりとコンスタントに有効なわけではないという弱点があります。攻撃回数が増えるとその価値は落ちていき、尻すぼみになってしまうのも少し気になる点です。しかし、毎回攻撃するようなアタッカーではなく、攻撃は程々に、残りの手番は支援や回復等を行うキャラクターなら、攻撃せずともエネミーの【HP】を継続的に減らす事が出来るのでかなり有効と言えます。また、レンジャーの《アローレイン》等、様々なエンゲージの敵を同時に[毒]にすれば、2ラウンド目以降は同時には攻撃出来ない敵にも、継続的にロスを与え続ける事が出来ます。

  • 《エンタングル》★★★☆☆
     処理的なバグが発生しやすいスキルなのであまり強くオススメ出来ませんが、決まれば間違いなく一定量の効果を発揮するスキルです。解除タイミングがマイナーアクションであるため、《二回行動》等を取得しておらず、遠隔攻撃手段を持たないエネミーであれば攻撃を自分だけで引き受けることが出来ます。また、このスキルと転移符等を組み合わせて使う事で上記のエネミーならば、行動を完全に1回封殺出来てしまいます。もちろん、転送等を持っている敵にはあまり有効ではありませんが、登場頻度はそれほど高くないでしょう。「2.シーフの役割」で説明した、高い回避を高いバリューで活かす手段としてかなり有効と言えます。その分、《ワイドアタック》等と比べて、攻撃能力が落ちてしまうので、自分が遂行したい役割をきちんと整理しておきましょう。

  • 《カッティングエッジ》★☆☆☆☆
     上昇するダメージ量としては強いと思いますが、タイミングと持続時間が微妙です。メインプロセス中しか持続しないため、毎メインプロセス移動の代わりに使う必要があります。そのため陣形や《ランナップ》と組み合わせなければ、初ラウンドから使用する事は出来ませんし、敵の方が早ければ形成したエンゲージから離脱され、使用出来なくなる可能性もあります。範囲アタッカーを担う事の多いシーフにとって、初ラウンドに最も大事な打点が確保できないのはかなり痛手です。また、使用するならSLを伸ばしていきたいスキルでもありますが、使えない場面が割と想定されるにも拘わらず、使えないときに多くのスキル枠数が腐ってしまうのは単純に厳しい要素です。ウォーリア程定点で戦う事が強みにならないシーフにとっては少し噛み合わないのかもしれません。投射型での運用や《エンタングル》等で敵を足止めするつもりなら、かなり有効に使えるかもしれません。

  • 《サイドワインダー》★★★★☆
     ウォーリアにおける《スマッシュ》の様なスキルです。「AR2E ウォーリア作成編(中級者向け)」の《スマッシュ》の項目で記載した通り、爆発的な効率と、使えない場合腐るデメリットが小さいところが特徴です。【器用】は武器攻撃をするシーフなら間違いなく伸ばしているので雑に取得する事が出来ます。

  • 《サプライザル》★★☆☆☆
     効果自体は命中+1D、ダメージがダイス係数であり、間違いなく強いですが、隠密状態になる構成がそこそこ癖があるのでこの評価です。戦闘が始まってからメジャーアクションを使用して隠密状態になるのは流石に弱すぎるため、毎ラウンド他のタイミングで隠密になる手段が必要になります。フェイの《ハイドアウェイ》、レンジャーの《ディスアピア》が代表的です。ここで、隠密型をする上で、セットアッププロセスでの隠密はエネミーの《看破能力》等で封殺されてしまう可能性がある事は覚えておきたい知識です。接敵している場合は使えないので、バイキング、ルイネーター、フィルボル、チェイサーか上級クラスにスカウトを選択する必要があり、厳しい回数制限がつくか、相当高レベルにならない限りは攻撃手段は自然と射撃攻撃になってしまいます。また、隠密は味方からの支援スキルも飛んできづらくなるため、隠密する事にその支援以上の価値があるかを考慮する必要があります。それらを考えた上で、隠密レンジャー等を組んだ場合は、このスキルは迷いなく取得してもいいでしょう。SLを伸ばすかどうかはリミットスキルである《サドンインパクト》の項目で詳しく説明します。
    (レガシークラスは考慮しないものとして書いています。)
    L《サドンインパクト》★★☆☆☆
     火力を前寄せして、初動の殲滅力を上げる手段としては、防御無視はかなり強い効果です。レベルが上がるにつれ、敵の防御力も上がっていくでしょうから、同じシーン1回の《スラッシュブロウ》等と比べても与えるダメージ数は大きくなります。高レベルで大きな効力を発揮しますが、上級クラスになった段階でスカウトの《ダブルショット》とタイミングが被り、使う機会はほぼなくなってしまいます。そうなってしまうと、このスキルの前提である《サプライザル》のSL5が完全に腐ってしまうので上級以降、将来性がないのが残念なところです。下級までなら間違いなく強いスキルなので、キャンペーンなら最終到達レベルを確認してから取得を考えるのが無難です。

  • 《ジャストディフェンス》★☆☆☆☆
     判定の直後に使用できるため、必ず有効に使用出来ます。しかし、シーン中に1回しか使用出来ないため、ずっと回避判定に成功し続ける必要のある回避盾なら、恒常的に回避が1上昇するスキルの方が活躍の機会は多いかもしれません。しかし、ナイフパリーや他のスキルである程度耐久を確保している構成なら、局所的な回避を高めるために一考の余地はあります。それでも、シーン1回の+2は単純にそこまでパワーがないので、サポートクラスに他にもっと有効なスキルがないかを検討してからにしましょう。

  • 《シャドウストーク》★☆☆☆☆
     隠密しながら接敵する構成は継続的に隠密になれないため、使いづらいという説明は《サプライザル》の項目でしました。そのため、このスキルを使用するのは、おそらく射撃型のアタッカーという事になりますが、その構成のキャラクターが移動を強いられる場合はそれほど多くはない様に感じます。そのため、保険として取る事になると思いますが、直線や十字の範囲から外れたりと移動できる事で戦略の幅は広がる事は間違いないです。

  • 《シャドウブレイド》☆☆☆☆☆
     ダメージの上昇量なら破格も破格ですが、様々な問題があります。使用するなら白兵型の隠密になります。何度か説明したように、10レベルで実現しようとするとフィルボルになる必要がありますが、タイミングがマイナーアクションであるため、《ディスアピア》と同時に使えないのが致命的です。白兵型のスカウトは不可能と言って過言ではないため、エクスプローラーで考えていきましょう。《クイックアクション》や《タイムマジック》等と合わせることで使えなくもないですが、必要枠数が多すぎます。称号クラスのチェイサーは15レベルからであるため、リビルドのないキャンペーンではおおよそ不可能に近いでしょう。《アサシンⅡ》やフェイの《ハイドアウェイ》で隠密し、《シャドウストーク》で初ラウンドに近づきながら攻撃する、というのが考えられますが、実質的に回数制限がついてしまいますし、配置や敵の能力(《看破能力》等)次第でこれが出来ない状況がいくらでも想像出来てしまいます。一番現実的なのはバイキングの《ディープダイブ》やルイネーターの《トランス:シェイド》ですがこちらも回数制限がかなり厳しいです。《シャドウブレイド》を使用するための準備スキルを取れば取る程、元々あったこのスキルの破格のダメージ上昇という利点が消されてしまうので、あまり実用的ではないスキルです。

  • 《スイングダガー》★★★☆☆
     投射して攻撃する構成なら必須スキルと言って差し支えないでしょう。次の武器を出すためのアクションが省略されますし、《ナイフパリー》の使用条件を満たし続ける事が出来るので、どれだけお金に余裕があっても取得しておいた方が良いスキルです。

  • 《スティール》★★★☆☆
     金銭問題を解決するスキルです。バードの《バスカー》等と違って固定の金額を得られるわけではないのでそれらのスキルとは常に比較しておく必要があります。シーフには《ワイドアタック》がコンストラクションの必須スキルとして設定されているように、範囲攻撃に向いているので、一度にたくさんのエネミーからドロップ品を獲得できるのが強いです。ギルドサポートに目利きや手探りが選択されているなら積極的に取得していっていいスキルでしょう。ただし、そのセッションにおいては直接戦力になるスキルではないので、取りすぎには注意しましょう。

  • 《ストライクスロー》★★★☆☆
     投射型ならば《スイングダガー》と並んでこのスキルも必須と言えるでしょう。パッシブで武器攻撃のダメージが4係数で上がるだけでも下級帯では調整ミスレベルで強いにも拘わらず、シーフに不足しがちな筋力を補う射程延長が+10mもついています。投射型なら最優先で伸ばすべきスキルでしょう。

  • 《スペシャライズ》★★☆☆☆
     上昇値が低く、《シールドストライク》等と比較しても、あまり強い効果ではない事がわかると思います。差別化点はSL上限が少し高い事です。このスキルはエクスプローラーの《ラピッドハンド》の前提、微妙に足りない命中力の補填としての目的以外に取得するべきではないですし、もしそれ以外で取得するならリミットスキルの《ウェポンフォーカス》まで必ず取得するべきです。まとめて6枠分取得するかどうかを考える事になるため、詳しい説明は以下の《ウェポンフォーカス》の項目で説明します。
    L《ウェポンフォーカス》★★★☆☆
     このスキル単体で見ると、ダメージ+5なので迷いなく取得していいスキルです。《スペシャライズ》と併せて考えると、6枠で命中/ダメージが+5/+10となっており、1枠当たりは約+0.8/+1.7であり、総合的な上昇量を見ると性能はそれ程高いとは言えません。しかし、命中判定を上昇させる手段は比較的貴重であるため、このスキルの見るべき点はそれなりのダメージを担保しながら、かなりの命中力を確保できる事でしょう。そのため、これらのスキルを取得を考える場合は、命中判定の部分を強く意識しましょう。

  • 《タウント》★★★★☆
     シーフは【感知】を伸ばす事が多いため、判定に困る事はあまりないでしょうし、前衛に出るならそれ程回避に注力していなくても、取っておいて損のないスキルだと思います。「AR2E ウォーリア作成編(中級者向け)」の《プロボック》の項目で話したメリットに加えてシーフが与える[逆上]は、回避を活かせるというメリットもあります。ウォーリアと同じエンゲージなら、攻撃の対象となってウォーリアより高い回避判定を振り、命中してしまっても《カバーリング》でケアする事で、ほぼ無償で敵の攻撃をいなす可能性を生み出せます。ただし、回避力等を考えると、[逆上]を受けていても他のキャラクターを攻撃した方がいいと判断される場面は非常に多くあるため、やはり有効な場面と無効な場面がはっきり分かれるスキルです。回避盾をするつもりのキャラクターが、このスキルを取るだけで役割を遂行できない可能性があるとこの記事の序盤で説明したのはこのためです。《プロボック》同様、SLを2以上にするのはあまりオススメ出来ません。

  • 《ディセクトエッジ》★★★★☆
     【行動値】と回避の高くなりやすいシーフと非常に相性のいいスキルです。先制して[放心]を与え、自身の回避の成功率を上げる事が出来ますし、味方に攻撃が飛んだとしても命中クリティカルによる事故率を下げる事が出来ます。[放心]はラウンド終了まで持続するバッドステータスなので、敵より行動が遅れても、《二回行動》を持っている場合は有効に働きます。《バッドステータス無効》で回復されたとしても、1アクションで10点のダメージ上昇が見込めるため、あまり裏目がないのも良いところです。タイミングがムーブアクションなので、頻繁に移動する立ち回りをしたい場合は嚙み合わないので注意しましょう。

  • 《ナイフパリー》★★★★☆
     物理ダメージ限定ですが、《アンビデクスタリティ》があるため、軽減量ならコンスタントに使える軽減スキルの中でもトップクラスです。シーフの絶妙に足りない耐久をこのスキル1つでかなり補ってくれるので、迷ったら取得してみてください。回避型であっても事故で当たる事はよくあるので、保険として持っておくのは悪くないでしょう。エクスプローラーに進むと魔法ダメージも軽減出来るようになるので、発展性もあるスキルです。

  • 《ピアシングストライク》★★★★☆
     ダメージの上昇量はかなり強く、他にタイミングが競合するスキルがあまりないので優秀ですが、コストがそれなりにかかってしまうので継戦能力は少し落ちてしまいます。上級になってMPがある程度増えても、攻撃回数が増えるため燃費の問題はそれほど変わりません。とはいえ、ギルドサポートの祝福等もあるでしょうし、致命的な問題になるあまり事はありません。様々なタイミングでコストを使う構成でなければ、打点確保のために積極的に伸ばしていっていいスキルです。

  • 《ビースティング》★★★☆☆
     アタッカーなら《ワイドアタック》との撃ち分け用で取得したりするかもしれませんが、そもそも範囲攻撃を命中させるためにそれなりの命中は確保されているはずなので、わざわざ取る必要はないかもしれません。クリティカル狙いとしても、期待値的にも安定性的にも普通にダメージ上昇するスキルを取得する方が有用でしょう。しかし、単体攻撃とはいえ、命中判定を1枠で2Dも増やせるスキルはかなり強く、唯一性もあるので、優秀である事には違いありません。例えば、ウォーリアの《パリー》と組み合わせて使う事で、命中判定と回避判定を両立する事が出来ます。

  • 《フェイント》★★★☆☆
     回避型でないエネミーであっても、クリティカル事故による回避の目を潰す事が出来ます。その部分がこのスキルの最も大きい評価点でしょう。そうでなくても、命中回避対抗に1D差をつける事が出来るのはシンプルに悪くない効果です。ただし、他のスキルとタイミングの競合が発生しやすいので、思考停止で取得していいスキルでもありません。《ボルテクスアタック》を避けられたら致命的なウォーリアが持っておくと、戦略的にも中の人の精神的にも安定するかもしれません。

  • 《フルスピード》★☆☆☆☆
     白兵型の足りない【移動力】を補填できる貴重なスキルですが、大きい距離の移動を強いられる場面があるかは結構遊んでいる環境次第だと思うので、一概に強弱を判断出来ないです。だいたいは陣形とマウント、もしくは《ランナップ》で解決しますが、マウントが頻繁に制限されたりする場合には重要になるかもしれません。

  • 《ランナップ》★★★★★
     いち早く戦陣を整え、【行動値】が負けていたとしても敵の前衛を止めたり出来ます。陣形とは違って離脱も出来るのが非常に優秀で、乱戦地帯から抜けて、次の移動や陣形で他の戦闘エンゲージに加勢に行くことも出来ます。単純に移動タイミングが1回増えるだけでも強く、シーフが伸ばしづらい移動力を補ってくれるスキルでもあります。弓シーフ等が攻撃するためにエンゲージから離脱する手段として持っていてもいいでしょう。セットアッププロセスで必ず使いたい他のスキルがないなら、取得する事でかなり柔軟に戦えるようになります。

  • 《ワイドストーム》☆☆☆☆☆
     《ワイドアタック》のリミットスキルです。このスキル単体で性能を評価するならかなり強いスキルです。しかし、《ワイドアタック》をSL5まで取得しなければならないため、総合評価としてはかなり弱いスキルという事になってしまいます。《ワイドアタック》のSLを5まで伸ばしている事自体が弱く、流石にそれだけの弱さを補えるだけの性能はないので、このスキルが日の目を見ることはないでしょう。


6. 最後に

 この記事ではシーフの構成について筆者の考え方をざっくりと紹介してみました。シリーズとしては4つ目の記事なのですんなり書けると思っていたのですが、シーフは役割にかなり多様性があるクラスなので思いの外時間がかかってしまいました。さて、しつこいなと思われるでしょうが改めて確認を。ここで記したのは、あくまでもデータ的により多く活躍出来るキャラクター、またその役割に求められている事について筆者の個人的な考えをまとめたものです。要するに、~~するならこのビルドしかありえないといった事を書いているつもりは一切ないです。
 これにて、メインクラス解説シリーズは完結です。すべて読んでいただいた方はもちろん、この記事だけ読んでいただいた方もお付き合いいただきありがとうございました。次は何を書くかは未定ですが、GM向けにエネミーデータの調整についてでも書いてみようかとぼんやり考えております。それでは、ここで筆を置きます。ここまで駄文を読んでいただきありがとうございました。
2021/11/25

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?