記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

スパイ教室12巻の感想(ネタバレあり)。

みなさん、こんにちは。ぼです。今回は先ほど読み終えたばかりのスパイ教室の最新刊について余韻に浸りながらネタバレありで書かせていただきたいなと思います。ネタバレありですので、まだ読んでない方は読み終えてからもう一度覗きにきてください。


 さて、まず一言で感想を言いますと、緊迫感が過去1と言っても過言じゃなくて「次の行を読みたいのに読みたくない。」みたいな謎の感情を膨らませられる圧巻の12巻でした。本当に面白かった。絶対的な権力者である創世軍のスパイ・マスター、ニケ。この人物が本当に手強い。何度も何度も灯火のメンバーたちが危機的状況を覆す一手を放ったと思ったらそれも全部先読みしてくるセンス。モニカが命懸けでボコボコにしたのにその実力を遺憾無く発揮していき、的確な指示を自身の戦闘力をも上回るタナトスを中心に出して灯火たちを追い詰め続ける姿勢は絶望の一言。こんな怪物を出し抜いて革命を成功させる。あまりにも不可能任務ですよね。そんな革命という不可能任務を成功に導いた今回のキーパーソン【愚人】エルナ。収容所から他のメンバーに犠牲になってもらいながら命からがら逃げ出すことに成功したエルナが目撃したのは革命の成功を喜ぶ反政府思想をもった仲間たちの図。そんなわけのない状況に周りの人間に聞くと、どうやら政府が負けを認めた“フリ”をして革命の意思を民衆から剥ぎ取ろうとしていたらしかった。それを聞いたエルナは灯火メンバーたちの協力が功を奏して集まったたくさんの同志たちを完全に相手の手玉に取られたことに絶望するのですが、まだ諦めるわけには行かない。革命を成すための灯火の本当の作戦、エルナの死。革命を先導してきたエルナが、いくら、国に反する姿勢を取ったとしても「まだ幼い少女であるというのに国王親衛隊によって殺害された」とでっちあげることでエルナに救われた者たちの国に対する憎悪を再度奮起させることで、流れを灯火側に戻すことができた。もちろん、エルナの死は演出でアネットが自慢の発明品を駆使して死んだように見せただけ。そんな灯火の活躍により、ついに革命を止めることは不可能と悟ったニケ。灯火は任務を遂行できたのだ。この一連の流れは今まではある1人のキャラクターが大活躍して、一気に戦況を有利に持ってくる方が多かったスパイ教室という作品だが、完全にチーム全員の力でコツコツとばら撒いておいた種が花を咲かせてやっと成し得た任務になったことにより、今までと違った達成感が読者にも伝わってきてまるで自分も灯火の一員だったかのような気持ちになれた。これで一件落着かと思いきや、革命後に新たに国をまとめる人間の問題になり、ここで灯火は実質負けを悟ることになる。それはLWS劇団という組織に身を隠していたアルチュールという男のせいだ。この男の正体は「蛇」という組織の【藍蝗】だった。こいつが漁夫の利を狙ってこの国を手玉に取ろうとしていたのだ。だが、灯火の少女たちは現在グレーテ、ティア、リリィ、ジビア、サラ、モニカが拘束されているもののアネットとエルナがまだ動ける。藍蝗に全てを持っていかれるのは阻止したいニケと一時休戦し、灯火メンバーたちは彼女らの活躍にかけることにした。
 戦闘力はあまりない藍蝗は絶対悪であるアネットに一方的に蹂躙されていた。とある事実を突きつけるまでは。もう勝負あったと思っていた途端、藍蝗が口にした、「エルナを殺した演技?いや、君の機械は壊しておいたから君が放った弾丸はしっかりエルナの腹部に直撃しているよ。君は本当にエルナを殺したんだ。」というニュアンスのセリフに読者である僕は背筋を凍らせた。でも、今までのアネットならそんなこと気にもせず「知ったこっちゃないですっ!!」って言ってトドメを刺すと思ったんですよ。でも、アネットにはできなかった。完全に動揺した。なぜなら空っぽだった心に変化が起きていたから。愛を知ってしまったから。仲間であるエルナを自分が殺めてしまったという事実に罪悪感を抱くという人間らしさを見せた。推しのアネットが成長した!と歓喜の声をあげつつ、エルナが本当に死んだのかもって思って緊張で手汗が止まらなくてラノベをびしょびしょにしながら読み進めて行くと、闇堕ち仕掛けたアネットを救いあげたのが死んだはずのエルナだった。「不幸……」と言うセリフを目に入れた僕は鳥肌がすごくて興奮しまくりでしたね。アネットが撃った弾丸は確かに腹部に当たったそうなのですが、どうやらスージーから譲り受けてエルナが着ていた伝説のスパイチーム焔の双子がスージーにプレゼントしたドレスには特殊加工が施されていて防弾の性能があったそう。その理由はその双子も過去に同じ作戦で革命を成し遂げようと試みていたからだった。ここのネタバラシも本当に素晴らしい。スパイ教室の面白い部分を今回も遺憾無く発揮してくれて、竹町先生、最高です。本当に。
 アネットとエルナの友情が存分に発揮されていて本当に良かった。エルナ、アネットを救ってくれてありがとう。君は民衆とアネットの聖女だ。
 

いいなと思ったら応援しよう!