HAMIDASYSTEMセルフライナーノーツ
タイトル通りです。
今までの総決算というか、決別というか、最後の宣伝です。
解説は好きじゃないし、曲や歌詞から受け取るものはそれぞれ自由なので、そのときに考えていたこととか裏話的なノリで読んでもらえれば。
基本的に自分の作詞した曲のみ触れます。詳しい情報はウィキペディア等をご参考に。かなり長い記事なのでお暇なときにどーぞ。
1st ミニアルバム「START THIS SYSTEM!」
【作詞曲】
・ラーナマコイカタ
・略すな
・アイドルソングが聞こえない!
・ねむたいパンク
【番外編】
・バカにさせてよ好きだから
『ラーナマコイカタ』
メンマ メンマ マメモヤシ チャーシュー
メンマ メンマ ナマタマゴ
ユ・ウ・ウ・ツ↓イタリア語
「パスタ」しかわからないっ
人類みな麺類
ほっれ見!外!白い雲!いざGO
ユ・ウ・ワ・ク♡3限後
うどん?蕎麦?味気ないっ
麺類みな兄弟
寄ってみ?ここ?白い湯気?いざGO
酸いも甘いも 噛み分け四千年
煮ても焼いても イカスぜかんすい麺
ネコも杓子も イヌもTAXIも
みんなヤミツキ 笑み満面
コイして始まるカタ想い…
(ウスくはない ヤワくはない)
今キミに伝えたい でも言えない…
*メン・メン・メンがスゴいでしょ?
絡まり合う奇跡のエクスタシー
ぜんぶ飲み干したなら
でもねまだまだまだおかわりして
キ・ミ・キミとろけるでしょ?
照らされる金色のスポットライト
売り切れ御免だから
もっとほらほらほら走ってきて
ユ・ウ・グ・レ●赤信号
急ぐ、足、止まらないっ
麺類界代表
よっそ見!しちゃ!ダメだから!いざGO
女子で人生 気づけば十何年
テスト宿題 そんなの投げ出して
歌とダンスで パフォーマンスで
みんな笑かす 腸捻転
やり過ぎだよ人は笑うけど
夢なら∞なの
取り憑かれ
コイに疲れカタ落としても
このスープに浸かりに来て
ダイ、ダイ、ダイスキ…
*繰り返し
メン・メン・メンがスゴいでしょ?
絡まり合う奇跡のエクスタシー
全力だけ出すから
今に見てて見てて見てて見てて!
キ・ミ・キミとろけるでしょ?
照らされる金色のスポットライト
振り切れ声枯れても
私わたしワタシワ・タ・シを見て!
メンマ メンマ マメモヤシ チャーシュー
メンマ メンマ ナマタマゴ
一番最初にできた曲。そもそも作詞などする気はなかったし、プロデューサーになったのもノリだった。プロジェクトが始まった当時、都内の某劇場でアルバイトをしていた。ENBUゼミナールという演技のスクールを卒業して二年ほど、演劇に関わる仕事がしたくて始めたのだが、業務内容が思い描いていたものと異なり、また、職場の人間関係にも悩んでいた。並行して小劇場で俳優活動をしていたが、将来的に役者一本で生活していけそうにないことは肌で感じていた。「アイドルプロデューサーにならない?」と今の会社に誘われたのはその時で、アイドルに興味はそこまでなかったが、こんな誘いを受けることは人生で二度と無いだろうと、ノることにした。当初は半年くらいで終わるのかな程度の軽い考えだった。
もちろん作詞家のツテはないし、探すのも折衝するのも面倒だったので、しぶしぶ自分で書くことにした。やるんだよ精神。
曲が出来たのはまだメンバーも決まっていない時で、いわゆる”あて書き”も不可能。適当な思いつきで自分の好きなラーメン屋のことを書いた。どうにかアイドルソングっぽく無理やりこじつけました。
大学近くのラーメン屋にイタリア語の授業をサボって行ってたよって話です。「ラーナマコイカタ」は「ラーメン生卵入り濃いめ硬め」の意。イタリア語は再々履だった。
『略すな』
盗み見た明日のタイトルは
デフォルトのカラーで「海」の文字
並んでる浮き輪をひとつだけ
剥がし捨てた
内に秘めているだけじゃ
切手のない手紙
はみ出すのが怖いんだ
焦る 募る 駆ける めぐる
想いを略すな!
コ・コ・ロ
止まらないの 隠せないの
自分は欺けないの
割愛なんか したくないの
この想いを略すな!
やるせないの 情けないの
まぶたの奥キミの顔
離れないの
横目見た手帳の予定欄
ボクの名と浮き輪のシール2個
なぜだろう慌ててタイトルを
打ちなおした
口に出して言わなくちゃ
翼のない小鳥
はみ出すのを怖れるな
胸に 刻み 若き 熱い
気持ちを略すな!
コ・コ・ロ
端折れないよ 騙せないよ
自分は誤魔化せないよ
博愛なんて 柄じゃないよ
この気持ちを略すな!
迷わないよ 惑わないよ
明日二度とキミのこと
離さないよ
届きそうで届かないんじゃない
伝わりそうで伝わらないんじゃない
「好きだ」の3文字で省略するには
わたしもぼくも簡単なんかじゃない
そうやって押し殺してきた言葉たちは
今どこで息をしているのだろう
もうテンプレートなんて必要ない
精一杯のはみ出す勇気で…
MV曲。いまだに好きですと言われるけど、最後のセリフ部分がクサすぎて恥ずかしい。これも作詞したときにはメンバーが決まっていなくて、HAMIDASYSTEMの「はみ出す」って言葉から連想して作った。セリフ部分がまるまるビーちゃんなので、彼女の印象が強いけど、あて書きではない。
タイトルを先に思いついてたかも。わかりやすくすれ違う若い男女の話。人気曲だけど、そんなに思い入れはない…。笑
『アイドルソングが聞こえない!』
鳴り響いてる電子音が 今日はやけに小さくて
窓の向こうの雨に 心うなだれてく
昨日までの疲れと熱は 休んだって下がらない
夜のテレビじゃ今日も みんな笑っている
アイドルソングなら かけてはみたけれど
明るい希望うたう声が 今は何故か聞こえない
聞いて!
苦手なことばかりで いつも逃げ出したくなるけど
好きになってみたいこれから だってそう決めたんだ
知らないことだらけで 不安さいなむ毎日でも
突き進んでみたいこのさき だから前を向くんだ
好きでもないゲームアプリに 課金なんてしてみても
強くなったつもりでいれる ただそれだけ
アイドルソングなら またかけてみるけど
孤独と強さうたう声が 今は何故か聞こえない
聞いて!
たどたどしい言葉も いつも間に合わない時間も
上手くいかないことだらけさ 痛いほど分かってる
器用に立ち回って すぐに自分を変えられたら
こんな苦労しないだろうさ 誰よりも分かってる
「はあ~疲れた」「今日も緊張したね」
「何言ってんの?ここからが本番でしょ!」
「ウソ!?」「終わったと思ったのに~」
「終わるどころか始まってもないよ!ほら前出て!」
ヤレナイ デキナイ サイノウ ナイナイ
ナキタイ ネムタイ オウチ カエリタイ
ジッサイ モンダイ ワイファイ ハインナイ
イッサイ ガッサイ リセット ジョウタイ
ユウタイ ミエナイ アイマイ ミッドナイト
リトライ ニンタイ ナンマンカイ
ハイサイ アカルイ ショウライ ミライ
イツカ タチタイ アコガレノブタイ
アイドルソングなら かけてはみたけれど
愛とか勇気とか 嘘くさいだけ
誰かの声が 本当の言葉が 聞こえるこの歌を
繰り返す 何度も 何度でも
聞いて!
苦手なことばかりで いつも逃げ出したくなるけど
好きになってみたいこれから だってそう決めたんだ
知らないことだらけで 不安さいなむ毎日でも
突き進んでみたいこのさき だから前を向くんだ
一番褒められる曲。俺もまあまあ好き。
自分の話+メンバーへのあて書き。体調不良のときに書いた。雨の日に疲れて熱出てそういう時って元気いっぱいのアイドルソングとか聞きたくねーよなーって曲。歌詞そのままですね。
とあるオタク(名前忘れた)に「セリフの『終わるどころか始まってもないよ!』って北野武の『キッズ・リターン』ですか?」って質問されたけど、意識してなかったつもり。でも一番好きな映画『キッズ・リターン』だから無意識に出たかも。
今はポポロコネクトが歌い継いでくれたので、よかったらライブ行ってね。
『ねむたいパンク』
ジリリジリジリジリリ 止まんない
かき鳴らすぜ ねむたいパンク
一度二度三度寝まだ起きれない
七転び八起きがお似合いね
努力と根性と生あくび!?
サボり症ほんとウンザリね
受け入れる生き方
やってみたけど上手くいくのかな?
生きて死んでムチュウになる 今はまだ私ユメミゴコチ
目覚めたらいつか大人になる 鳴り止まない!ねむたいパンク
一度二度三度寝もう朝じゃない
七転び八起きも飽き飽きね
努力根性気合、神頼み!?
サボり症ほんとビョウキだね
受け入れる生き方
やってみたけど上手くいきません!
死んで生きてゾンビになる 今はもう昔イキタココチ
目覚めても未だ子どものまま 耳ざわりなねむたいパンク
「寝て起きて寝て起きて寝て起きて、おんなじことの繰り返し…」
「このパターン何回目?」
「ほーんとっ、いつまで経っても成長しないなあ~」
明日になったら 上手くいくのかな
普通になれたら 変わるのかな
ふざけるな 自分は自分で変える
昨日のお前を ぶち壊す
生きて生きてグチョクになる 夢が夢のままじゃいられない
目覚ましのベルをかき消すほど 鳴り止まない!ねむたいパンク
生きて生きてグチョクになる 夢が夢のままじゃいられない
目覚ましのベルをかき消すほど かき鳴らすぜ!ねむたいパンク
AMEBAちゃんあて書き曲。彼女の生誕で初披露だったかな。当初のタイトルは「へいぼんパンク」だった気がする。歌詞もちょこちょこ違った気がする。
こっちもポポロコネクトが歌い継いでます。
番外編『バカにさせてよ好きだから』
バカにさせてよ好きにさせてよ だって私は君が好きだから
飲みきれないミルクコーヒー 少し甘すぎたかな
作り笑顔ぎこちないけど それだけで嬉しいよ
立入禁止の屋上で いつの間にか授業忘れていた
君はいないよ
バカにさせてよ好きにさせてよ 隣にいてよ忘れられないから
この恋もこの髪型も ずっとどこかで君をなぞってる
深夜2時の些細な亀裂 ちょっと言いすぎたかな
ゴメンネさえ打てばいいのに それだけができないよ
立ち読み禁止のコンビニで いつの間にか手を繋いでくれた
君がいないよ
バカにしないで好きにしないで ほんの少しで忘れたくないから
この身体この瞬間に じっとしてたら君が壊れてく
バカにしててよ好きでいててよ 生きていててよ会えなくていいから
この春もこの花びらも きっと誰かが君を想ってる
バカにさせてよ好きにさせてよ 隣にいてよ忘れられないから
この恋が愛になったら きっとどこかで君に会えるから
ミニアルバム未収録曲。ギュウ農フェスの予選イベントで特典として配布した限りで、世には出回っていません。初◯サイダーまんまのデモがsayshineさんから送られてきた時、キレそうになった思い出。これがのちの楽曲コンセプト変更の引き金になります。笑
歌詞はSODAちゃんへのあて書き+俺の友だちへの私信。当時、突然音信不通になった大学の同期がいて、歌詞の〆切前夜にサークル仲間との飲み会があり、そいつの話題で盛り上がったため書いた。未だに連絡は取れないが一応生存確認は出来ている。久慈くん、これ見てたらLINEください。
2nd ミニアルバム「DERO X」
【作詞曲】
・蝉の声
・抜けない根無し草
【番外編】
・白になった
・愛しみうらがえし
・二人は消える
『蝉の声』
動かない羽をばたつかせ
死にかけの蝉が鳴き叫ぶ
聞こえないふりをし続けて(壊されてく)
蟻たちは黒い群れをなす(侵されてく)
死にかけの蝉が鳴き叫ぶ(濡れたシャツ、雨、嘘、夜、悪、まどろんで)
蟻たちは黒い群れをなす(触れた罰、自我、皮膚、過去、息絶えて)
二本足で歩く幽霊
コンクリートを削る金属
踏み場もないガラスの破片(濡れたシャツ、雨、嘘、夜、悪、まどろんで)
ブレーキの壊れた自転車(触れた罰、自我、皮膚、過去、息絶えて)
墨汁まみれ真っ黒の黒板 闇夜に紛れこれからが本番
フルスイングでぶっ飛ばす門番 二人乗りだぜ駆け抜けるアウトバーン
月に照らされ導く秘密基地 服も血まみれ過ぎ去る午前2時
峠と河の向こうはいまだ未知 グダグダしてりゃこの街ここが墓地
君と行きたい 君を知りたい 君の書く文字が見たい
君に会いたい 君に触れたい 君に近づきたい
僕を消したい 僕を変えたい 僕を殺してやりたい
僕の知らない 僕になりたい 君に近づきたい
君と行きたい 君と行きたい 君と手を繋いでたい
君と生きたい 君と生きたい 君を抱きしめたい
狭いカゴ
死にかける蝉の声
押し殺されて
MV曲。HAMIDASYSTEMの「メロディック・エレクトロニカ」路線を決定づけたナンバー。バカ好き事件以降、数字的にも伸び悩んでいたとはいえ、ミニアルバム発売直後にコンセプト変更とは。今考えると狂ってますね。いろんな人を振り回した思い出。その節はすいません。でも楽しかったな。
デモを聴いた瞬間に、ステージの映像が目の前にはっきりとイメージできて、「あっ、いける」となった。ライブ特典で未発表の新曲を配布というわけのわからない企画をやっていたため作詞に取れる時間は殆どなし。一晩で書いた。最初のタイトルは『DERO』だった。英語で「はみ出し者」の意。MVやライブ映像の監督をしてくれていた真島くんから「なんで『蝉の声』に変えちゃったの?この曲は『DERO』って感じだったのに!」と言われたんだけど、歌詞に一切出てこない言葉をタイトルにするのはアイドルっぽくないかなーという謎の信念があり、後に『蝉の声』に改題。でも「DERO」という言葉の響きは気に入っていたので、CDや入場SEのタイトルとして使いまわした。
歌詞については押見修造の『惡の華』を読んでください。結構そのまんまです。
『抜けない根無し草』
形のない雲が逃げるように通り過ぎて
昨日泣いた夜を思い出して消えてく
机もない部屋で潜りこんだ布団の中
子供じみた夢を忘れたくはなかった
今しかないんだ
遅くはないんだ
ノートの隅に殴り書いた
*道具みたいに生きて
好きに弄ばれて
声に出せぬまま
死んでいくのか?
機械みたいに生きて
いいように決めつけて
未完成のまま
朽ちていくのか?
どこにもない僕を教室から追い出してよ
ここにはないものを追い求めてみたいよ
今しかないんだ
遅くはないんだ
赤いチョークで殴り書いた
嫌いなことが嫌い
好きなことだけが好き
明日死ぬために
今日生きるから
見えないものが見たい
見えるものだけじゃない
言葉や数字に
はめこまないで
行き先不明ひたすら走ってた流れていく世界取り残された抜けない根無し草
*繰り返し
形のない雲が逃げるように通り過ぎて
昨日泣いた夜を思い出して消えてく
この曲も歌詞がいいと言われることが多かった。書いた時は相当苦戦した記憶がある。何をイメージしたのかは全くと言っていいほど覚えてないですね。雰囲気で書いた雰囲気曲。1stワンマンで初披露だった。披露する前になんかの手違いで配信が始まっちゃってて、会場に向かう車の中でめちゃくちゃ嫌な汗をかいたな。
「言葉や数字に はめこまないで」は「言葉や数字に あてはめないで」にするはずが、直す前のデータを提出してしまった。まあでもそのままでいっかーってなって、結局直さず。
番外編①『白になった』
恋をすれば雪はやむのかな?
なんて言えば君は笑うのかな?
制服じゃない僕を愛せない
黒い肩に降りつもった雪
真似事ばかりもう耐えられない
僕を捨てて白になった
ミニアルバム未収録。とにかく短い曲。「黒い肩に降りつもった雪」は、受験期にストレスで頭から大量のフケが出て、「肩が雪みたいだよ」って言われてたエピソードから書いた気がする。意味わからんな。
番外編②『愛しみうらがえし』
笑いジワ名誉だけどキズ
乳液がマキロンの代わり
鏡の前でかっこつけてリップつけて
見えない視線感じながら一丁前
シフト出されてがんじがらめ店長しね
リストカットなわけないしセットリスト
涙とか汗はただの水
血液が存在の証
光の中で微笑んで嘘だらけ
冷たいカメラ向けながら他人面
ただれた皮膚はマスクして隠すけど
バンドエイドじゃ膿んじゃうからもう剥がして
食べて寝て朝がきても
口も鼻も
このままでいてよ
あらがう強さなんて本当は
見せたくないよ
働いて夜がきても
指も頬も
そのままがいいよ
したがう弱さだって本当は
愛しみうらがえし
アルバム未収録。当時のメンバーのイメージとか、話してた会話の内容とかを取り入れて書いた曲。「リストカットなわけないしセットリスト」は、メンバーがライブの際にセトリのメモを手首に書いたらリスカ痕と勘違いされたというエピソードから。
この歌詞も好きな人はめっちゃ好きだったらしく、ずーっと褒めてくれる方がいた。自分的には時間がないときにパッと書いて出した、未完成の、すっごい恥ずかしい歌詞で、それ故ライブで披露する回数も減っていった。意図的にセトリに入れないようにしてましたすいません。
番外編③『二人は消える』
机の中眠っている
フェルト生地のお守りふたつ
君に書いた秘密の文字
今もずっと秘密でいるまま
かもめの鳴く地平線で
震える手をおさえていたよ
「次の試合頑張ってね」
あの時から針は止まったまま
タイムマシンができるまで
引き出しに閉じ込め鍵をかけた
二人は消える
波間に消える
燃えないラブレター
燃やした命
あのひび
二人は消える
波間に消える
燃えないラブレター
燃やした命
あのばしょ
さざめく
波間に消える
燃えないラブレター
燃やした命
あのこい
アルバム未収録。『略すな』の二人の後日譚という裏設定があった気がしたが、後づけかもしれない。当初のタイトルは『あのこい』だった。
タイトルを『二人は消える』に変えるタイミングで、最後を「あのとき」に直したかったんだけど、忘れてしまって、ま、いっか状態。
ライブでは、この曲専用のバックグラウンド映像を流すという、ライブハウスのスタッフさん泣かせなことをしていた。その面倒くささも手伝って披露する機会は主催イベントに限られていった曲。MC時のBGMとしても使っていました。
6曲入り作品集「歪んだ鉛筆は誰かに折られないために」
【作詞曲】
なし
グループ初の全国流通盤。HAMIDASYSTEM物語プロジェクトという企画から作ったコンセプトアルバム。この企画は我ながらどうかしている。詳しくはWEBサイトを見てみてください。いろいろやらかして、かなりの精神と体力を使い果たしたが、これを実行できたことは誇りです。
このアルバム曲の作詞は仲村萌々子さんに任せていて、思えば2018年に出した曲は全て仲村さんによるものだった。仲村さんはもともと物販スタッフとして知り合ったのだが、彼女が学生時代に小説を書いていたことを知り、勢いで作詞をお願いしたところ、めちゃくちゃ良かった(それが1stミニアルバムに収録されている『ローリング』)。それ以降書いてもらうことに。
この企画の要は仲村さんで、もちろんアルバムタイトルもお願いするつもりが、企画全体の統括は神宮寺さんだからと、自分が考えた。
タイトルの「ために」終わりは、千原ジュニアのコント公演『プロペラを止めた、僕の声を聞くために。』のオマージュ。タイトルが思いつかずメモ紙に思いついた言葉を書きなぐるのに飽きた時、ペンを降るとふにゃふにゃに見えるやつをやっていたら、できました。
1st フルアルバム「down」
【作詞曲】
・ヒズミ
・傷の音
・存在しないぞんざいな愛
・down
『ヒズミ』
逃げられない アイツがどこまでもついてくる
記憶の中 死んだはずの怪物が笑う
つらぬいて 縛りつけて やめてくれよ 本当は
お前だけが殺せない
引き裂いて 殴りつけて やめてくれよ 本当は
お前だけが赦せない
膝をつき滲み出る ジリついた痛覚が
生ぬるく広がって 地面濡らして
脈の音うるさくて うめき声遠くなる
焼きついた屍が目の前におりた
頭の隅 臆病が警告を鳴らした
はねのけて ただあがいて やめてくれよ 本当は
お前だけを殺したい
蹴り上げて ふりはらって やめてくれよ 本当は
お前だけを赦したい
身体中ふるえてる 吐きそうにせりあがり
喉奥の悲鳴すら 酸味に変わる
目が回る ゴミ溜めに倒れこむ その先で
あの時と同じ目で見下されていた
裏切られ何もない 砂を噛む屈辱で
報復の電撃が背筋を走る
歪んでいい 歪んでいい
普通には目もくれず
歪んでいい 歪んでいい
君を愛したい
新体制になって一発目の曲。sayshineさんとミーティングをして出てきたイメージが漫画家の古谷実で、まさにその世界観を体現したような曲になった。アウトロのあの感じがまじで古谷なんですよ(オタク特有の早口)。タイトルは『ヒミズ』のアナグラム。もともと仲村さんに歌詞をお願いしていてタイトルも違うものだったんだけど、俺が手を加えて完成。それに伴って主題が大きく変わったため、神宮寺の作詞という扱いになった。自分が担当したのは「お前だけが~」部分と「歪んでいい~」からの一連。量としては仲村さん作詞部分が多い。歌詞は『ヒミズ』まんま。古谷実メモリーとしては、大学2年の時に久慈くんの家で『シガテラ』を読んで、空っぽになって、その日の授業を全部サボった。
本当はこの曲をMVにしたかったが、5分を超す尺ということもあり断念。
振り付けは初期からずっとお世話になっているコンテンポラリーダンサーの加藤律さん。メンバー数が減ったこともあり、さらにストイックなダンスになって、最高…となった。2人体制のステージはかなり厳しく作り上げていった。メンバーにはかなり大変な思いをさせて、すごく辛かったと思うけど、新宿LOFTワンマンで見せたパフォーマンスは素晴らしくて、実を結んだなと思った。
『傷の音』
放り投げて死んだふりでその身体を偽ってさ、警告には耳も貸さず犬みたいに吠えていたね。分からない。ってもう分かってよ。檻の中で叫んでいたの誰?生きたくても生きられない。ってもう生きてたよ。蚊帳の外に蠢めいてたの何?切り裂いた傷の音、
澄まし顔で嘘をついて言葉の綾かたどってさ、追憶すら意味をなさず猫みたいに鳴いていたね。壊せない。ってもう壊してよ。箱の中に閉じこめてたの誰?ぶつけてもぶつけられない。ってもうぶつけてよ。窓の外で煌めいてたの何?刻まれた傷の音、聞こえてるかな。
蔑んでまた笑ってよ。無傷のまま立ち尽くしたの何故?
分かりあえない、分からない。ってもう分かってよ。檻の中で叫んでいたの誰?生きたくても生きられない。ってもう生きてたよ。蚊帳の外に蠢めいてたの何?ぶつけてもぶつけられない。ってもうぶつけてよ。窓の外で煌めいてたの何?刻まれた傷の音、聞こえてるかな。
これも元々は仲村さんにお願いする予定だったが、途中から「自分で書きたい!」になって結局作詞を奪ってしまった。仲村さんすいません。そのくせ〆切を守れないというクソっぷりを発揮し、ええいままよと、思ってることをそのまま書いた。なので工夫も何もなく、恥ずかしい歌詞。
改行が少なかったり句読点が登場したりするのは、なんとなく日記というかメモみたいな雰囲気を出したかったんだけど、うーん。
『存在しないぞんざいな愛』
マンホールの裏には何が描いてあるのだろう?
立ち止まった僕らへ肉薄する雨
グラウンドの隅で咲く泥まみれのタンポポが
嘲笑った奴らに飛んでく
制服をあてがわれ人形にされたって 他人の事情はどうでもいいさ
教科書を燃やしたら言葉だけが残った 僕しかいないそれだけなのさ
くれてやるよ愛だとか 捨ててやるよ身体ごと
存在したいI 存在しないdie
君の前で言いたかった 君の前じゃ言えなかった
ぞんざいじゃない 後悔しない愛だ
「止まない雨などない」そう誰かが言ったけど
弾丸は降り続く 撃たれて死ぬまで
戦場に投げ出され人間じゃなくなった 君のことなど忘れてしまう
死骸を蹴り上げたら黒い血が流れ出た 君の証を僕が歌うから
くれてやるよ愛だとか 捨ててやるよ身体ごと
存在したいI 存在しないdie
君の前で言いたかった 君の前じゃ言えなかった
ぞんざいじゃない 後悔しない愛だ
MV曲。これはすぐ書けた。デモを聴いた瞬間にバシッときて、ササッと書けた。sayshineさんにも「今まで僕が作った曲の歌詞で一番いい!」と言われて、かなり嬉しかった。タイトルが「1/3の純情な感情」みたいで気持ちいい。自分の中で一番、言葉としてのリズム、歌ったときの気持ちよさを意識できたと思ってます。
「存在したいI」「存在しないdie」「ぞんさいじゃない」「後悔しない愛」は四音で、最初は「欲しいよ」「痛いよ」とかにするつもりだったんだけど、作詞でも新しいことに挑戦したくなって、少ない音数に言葉を詰め込むっていうのをやってみた。それがうまくいった感じ。
MV撮影は、スケジュールの関係もあって1日で撮った。当初はそんなに過酷になる予定ではなかったんだけど、川での撮影で映画みたいな土砂降りになり、それはもう大変なことになった。でもやりきった感があって、これを経てメンバーが大きく成長した。いつも無理くりなスケジュール感と予算でMVを撮ってくれた横山さん、本当にありがとうごさいました…。MV撮影はぜんぶぜんぶ忘れられない出来事でいっぱい。通算で5回くらい死を覚悟したな。笑
出だしの「マンホールの裏には~」の部分は、Aマッソの「マンホールの裏にはこの世で一番美しいものが描かれている、それは檀れい」という漫才から着想を得た。笑けずりのときの。ぺこぱもいた。分かる人に分かればよし。
『down』
愛されても昨日と同じ 恋の部屋で夢を貪った
だんだん落ちてく君の中 本当の僕はいなかった
down downオチてる君は馬鹿 ぜんぜん意味ないキモチイじゃ
ぜんぶ感じてよ汚い軀で ただ求め合えばいい
愛だなんだとか君は言うけれど マダタリナイ
愛されたい言葉じゃなくて 血の味するキスが欲しかった
好きだけでは好きになれない 分かってたよ二人だけの嘘
だんだん落ちてく夢の中 本当は誰もいなかった
down downオチてる君なんか ぜんぜん訳ないキモチイじゃ
ぜんぶ脱ぎ捨てて醜い軀で ただ抱きしめてくれよ
君が好きだとか簡単に言うけれど モノタリナイ
ぜんぶ明日には消えてなくなるよ ただここにいたいのさ
今を生きろとか人は言うけれど マダシラナイ
ぜんぶ感じてよ汚い軀で ただ求め合えばいい
愛だなんだとか君は言うけれど マダタリナイ
最後の作詞曲。自分が今出せるものを全部出しました。初期の曲から自分の作詞は【風景】→【心情】→【行動】っていう黄金パターンに当てはめて作ってたのだけど(一般的に知られている作詞術、秋元康とかはぜんぶこれ)、もっとシンプルにしたくて特にストーリーとかは感じさせない作りにしたつもり。意味なんかない、ただ情が、熱があるという感じ。この曲を最高の環境で映像に残せたから、HAMIDASYSTEMにはなんの悔いもありません。もうこれ以上かっこいい曲は作れなかったと思う。
以上、計14曲のレビューにも満たないダラダラ語りでした。
作ってきたライブはいくら映像に残しても生感は伝わらないから、作詞という形で自分の制作物が残るのは嬉しいです。
自分が書いた歌詞で、映像班の方々が動いてくれたり、メンバーや音照さんがステージの魅せ方を考えたり、sayshineさんのアレンジが直前で変わったりするのは、とても大変だったんだろうけど、すごく面白かったです。世界を創造しているかのような錯覚に陥ります。危険な全能感。
音源は配信で聴けますが、円盤も公式通販で買えますのでよかったら。1stミニアルバムは売り切れたんですが、それ以外は在庫が凄くあります。笑
以上、HAMIDASYSTEMでした。これからも曲は愛し続けてくれると嬉しいです!