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漫画「バーテンダー」再アニメ化で原作者が唯一希望した2つの事(城アラキ)②

 漫画バーテンダーは、10年以上前に嵐の相葉君主演で実写版のテレビドラマになったことがあります。撮影所見学で会って、対談取材と撮影が終わると「一杯、飲んでくれますか」と言ってくれます。人気アイドルの一杯。それはなんとしても飲まねば。セットのバーカウンター。手慣れた手順でボトルを扱い、シェイク。作ってくれたのはホワイトレディでした。これが期待以上の美味しさで正直驚きました。半年間、銀座の酒向さんに指導してもらったそうです。

(後日、トップアイドルを見た印象を聞かれましたが。「何か……隣に並ぶと、キラキラして自分がちょっと煤けて見えた」と言ったら、呆れられました。どうも「比べるだけでもおこがましい!」ということらしく、「アイドル推し、コワッ」と思った瞬間です)。

 このドラマで、当初のシナリオにあった1シーンが、急遽カットになりました。撮影の日付は2011年3月11日。そう。東日本大震災の当日。予定していた屋外ロケが出来ず、このシーンそのものがカットされました。その場面でナレーションとして流れる予定だったのが、写真の長田弘さんの「花を持って、会いに行く」の詩でした。

 長田さんの詩は、漫画バーテンダーの中で最も多く引用させてもらった詩で、個人的にも学生の頃から、深い思い入れのあるものでした。(ちなみに、2番目に引用が多いのは寺山修司です)。

 アニメではまだ未放送回の部分ですので、詳しくは書けませんが、今回のアニメで、原作者として唯一お願いしたことは、成田さんと尾崎さんへの謝辞と、この詩をナレーションで流すことでした。
 長い詩です。これをナレーションで流せばかなり尺をとるのは、想像出来ました。が、これだけは強くお願いしました。あの日亡くなられた方たちへの追悼という思いもあります。内容もこの日にふさわしい、とてもとても美しい詩です。詩の全文を検索して、ぜひお読みください。

ちなみに長田弘さんの他の作品もアニメ中に一瞬、チラッと登場しますので、気付いていただけたら、たいへん嬉しいです。



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