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信頼関係の仕組み



【信頼関係の仕組みを知るメリット】

もし適切な人を信頼できれば、学習も恋愛も仕事も共同作業が必要なすべての活動で、信頼から成功を生み出せる。だが、信頼する人を間違えれば取り返しのつかない失敗をする。

人生で最も幸せな瞬間を思い浮かべると、必ず人と関わっている。反対に、最も辛い瞬間も人と関わっている。人生を築くのも、壊すのも、全て人との関係

ある研究で被験者に、人をどの程度信じるかを尋ねたところ、10段階で8と答えた人の収入が最も高かった。信頼度が低い人々は、信頼度が過剰な人々よりはるかに状況が悪く、その損失は、大学へ行かないことと同等だった。人を信頼しないことで、多くの機会を失っている。


・誰かを信頼することはリスクを伴う

・信頼した人間の助言が間違っていた
・約束を破った
・配偶者が浮気して結婚生活をめちゃくちゃにした
・友達だと思ってた人が悪評を広めていた

・人を信頼できるかどうかの判断は、事実の把握や分析だけでなく、相手の利益や能力をもとに、その人の今後の振る舞いを予測することが必要になる


・なぜ人は他人を信頼するのか?

他者を信頼することで得られる恩恵があるから

[便利な社会システム]
・子どもを預かってくれる保育園
・子供を教育してくれる学校
・あらゆる食材を用意してくれるスーパー
・病気を診断してくれる病院
・歯を治療してくれるクリニック
・最新技術のパソコンやスマートフォンの開発
・サッカーや野球などのエンターテイメント
・映画、ドラマ、バラエティ番組を作る製作者

豊かで便利な生活を作るために他者との信頼や協力が必要



[宇宙探査機の打ち上げ]
・ロケット設計者
・軌道の計算する人
・プログラマー
・宇宙飛行士
・天文学者
・全体の監督者

1人でもタンク内の圧力、大気条件、宇宙飛行士の心拍数といった重要な測定値を見落としたら、計画全体が崩れる恐れがある。

共同事業を成功させるためには、皆が各自の役割を果たして全員が信頼し合わなくてはならない。1人ではなく一緒に働いた方が多くのことを達成できる。財産、モノ、人脈、資源を増やすには、他者の協力が必要。統計的には、他者を信頼しないよりも信頼してた方が、長期的な利益は大きくなる

・他者を信頼する時につきもののリスクを避けつつ、協力から利益を得るには、透明性が必要。信頼できない人には透明性を確保するしかない


[透明性を確保する方法]
・家を借りるためには、返済能力の証明
・お店で泥棒が現れないか監視カメラ
・医者の知識や技術のレベルが高いからの資格試験
・レストランの料理の味や接客が良いかのレビュー


[与える行為に時間のズレがある]
・将来の見返りを期待し、お金を投資する
・自分が引っ越す時に助けてくれるのを期待し、友人の引っ越しを手伝う

他者を信頼して献身的になろうとする人がいなければ、人間社会は回らない。まず誰かを支援し、後で報いを得るプロセスがなければ、協力は行き詰まる。


・裏切る相手に気づかなければ危険

誰かから搾取されたり、裏切られたりしていることに気づけなければ、ずっとやられ続ける。動物にとって生き残りに有利な状態ではない。

ある実験では、チンパンジーは作業のパートナーとして、過去に食べ物を自分と公平に分け合わなかった個体よりも、公平に分け合った個体を選んだ。

別の実験では、眼の前の問題を解決できない個体よりも、すでに実力を示している個体をパートナーに選んだ。

信頼できるパートナーを選ぶ決断も、霊長類の体内で生理的な反応や感情の衝動で判断で急。可愛らしい赤ん坊や子犬を見ると、生理的に温かい感情が溢れてくる。信頼が危うい状況になると、意識的に努力しなくても、不公平さや公平さの手がかりに対して本能的に反応する。

・信頼や裏切りは、常に短期的な利益と長期的な利益の微妙なバランスの上に存在する。
・信頼できない人を信用しない
・時に自ら不誠実に振る舞うことで利益を得れる



【信頼できる人を見抜くには?】

・現時点の信頼度を見る

人の信頼度のレベルは固定することはできない。その人の状況や心理的な報酬の変化によって行動も変わるから。人の心は常にコストと利益を計算して動いている。

人の信頼度は、過去の行動から確実に予測することはできない。過去の行動や評判だけでなく、新しい状況や変化も考慮しなければならない。

誰かを信頼する際は、あの人は信頼できるかと問うのではなく、正しくは、「あの人は現時点で信頼できるか?」と考える


・他者からの評判をチェックする

まずは、他者や業者、お店などの評判をチェックする
・食べログのレビュー
・Amazonのレビュー
・Googleマップのレビュー
・SNSでの利用者の声


評判とは、個人の特徴を表すもので、その人物の道徳性と関係している。その人の過去の行為を一つに統合したイメージから来ることが多い。


・その人の能力を見る

・善意は、それを実際に形にできる能力がなければ、価値はない

・友人や家族が良いアドバイスをしてくれているつもりでも、その人が必要な技能や知識を持っていなければ、そよ人を信頼した末に失敗する。

・人は、他者の社会的地位やその人の持つ知識や技能を数秒で評価する。仕草、表情、言葉などの小さな手がかりによって、信頼度を測る。

・信頼に関する心の計算のほとんどは、無意識に瞬時に行われる。町の人に道を聞いたり、歯医者さんを信頼できるか、恋人が出張中に浮気しないかなど、いちいち時間かけて考えていたらキリがないから。

・人を信頼するには、能力と誠実さの両方を考慮する必要がある。良い人という理由だけで人を信頼できると錯覚してはいけ


・能力が無い人を信頼してはいけない

・能力の方が誠実さより、はるかに重要
・幼い子どもは、何か知りたい時大人から聞くしかない。その大人が正しい知識を持っていない場合、間違った知識を教えた場合、子供は大きな損失を被る。
情報源の信頼性という面で人に聞くことは、常にリスクがある
・人間の心は、1人で情報を学ぶように進化したのではなく、情報を誰かから学ぶように進化した。その学ぶ相手が誰かによって、学習効果に大きな差が出る。
・本当に助けてくれる力がある人を見極めなくてはならない。
・生徒たちが能力を信頼できる教師のいるクラスは、習得度が最も高かった
・学ぶべき相手を慎重に選んだ子供の方が、生き延びて成功する確率が高い
・信頼できない人より信頼できる人から話を聞いた時の方が、同じ情報でもよく覚えていることが確認されている
・教える側の権威や信頼性を高めれば、習う子供たちの学習成果は高まる
・能力が無いのは裏切りも同然
トラブルの原因が能力不足であろうと、悪意であろうと、協力関係が失敗に終わるのに変わりはない


・直感と思考の2つ合わせて判断する

直感的な決断には、速やかで労力を要さないメリットがある。何も決断しないより直感的に決断する方がまし。特に人を判断するための直感は正しいことが多い
心が、この瞬間に得られる情報を何でも利用して自分の成果を最大にしようとするから。

ある実験では、直感的に相手を信じた人は、絆をさらに強め、直感的に信じなかった人は、相手から距離を置いた。つまり、好き嫌いに限らず、相手の信頼度に関する直感が、その人に対する見方に大きく影響する。

冷静に考える過程で得る情報より、直感的なプロセスから得られる情報の方が正しい可能性が高い。直感と思考の両方組み合わせて判断するのが最良の決断になることが多い。だが、片方しか使えない場合は、信頼度の評価においては、直感を信じた方が良い結果になることが多い。


[直感に頼りすぎてもいけない]
人は目に入る全てのものから情報を可能な限り引き出そうとする。だが、間違った解釈に結びつきやすい。

顔の特徴のみから最も能力があると判断された候補者が、実際の選挙戦において、約70%の確率で当選した。

直感だけを盲目的に信じると間違った判断をしてしまうことがある。直感は、知識や経験から作られる察知能力であり、知識が乏しい分野や部分的な情報しか見れない状況では直感が間違えることがある。

他者と協力するか、他者を搾取するかの選択は、それに絡む短期的な利益と長期的な利益の兼ね合いによって決まる。



・相手の状況を考慮する

・自分が置かれた状況で、どちらの選択肢が自分の利益になるか見極めること

目の前の利益と将来の利益、絶えず2つの利益の間で適切なバランスを見出そうとしている。

人間が繁栄するため、生き延びるためには他者を頼ることが根本的に必要
・幼い子どもが母親を信頼する
・恋人同士がパートナーを信頼する
・チームのメンバーが仲間を信頼する

待っていれば、他の人が自分のことを正確に判断してくれるだろうと思うのは間違い。そのため、自分から積極的に働きかける必要がある。

何をしているかにかかわらず、その行動がその人に関すること(パーソナリティ、性格、能力)などを反映していると憶測する。

子供が病気になれば、親はどれほど仕事のことを真剣に考えても、休みを取るしかない。

管理職は、経営上の理由や上からの指示によって、部下を解雇したりしなければならない。

状況が人の行動をコントロールしてしまうことがある。その人の状況を考慮しなければ、正しい認識を持つことはできない。
初めに正しい印象を与える方が、後で修正するよりもはるかに簡単





【人は思い込みで他人を判断する】

人間は、自分を完全に客観的に見ることも、他者を客観的に見ることもできない。人は、得た一部の情報や思い込みによって人の見方を変える。他人を100%ありのまま見ている人はいない。自分でも、他人にきちんと分かってもらうための努力をしていない。

分かりやすく相手に自分を伝えるには、自分に関する情報が人に伝わるようにする。伝えたいと思う自分の特徴や性格を裏付けるものが必要。

・誤解が生じる理由

①人は情報の空白を勝手に埋める傾向がある

②人は脳で様々な情報を処理しなければいけないので、人を認識する際に必要なエネルギーをできるだけ節約しようとする。

③人は相手から得た情報(言葉や行動)は、常に相手の解釈を経て意味を与えられる。
そこにあるものをそのまま見ているのではなく、人それぞれのフィルターを通して感じ取る。その時の状況や既に知っていることを総合して、言葉や行動に意味づけをする。

好かれる時は同じ理由で好かれ、嫌われる時は様々な理由で嫌われる。人によって、他者に対する見方は色々。

オバマ大統領について一言で言い表してもらう調査では、「偉大」「知性」と同じくらい「失敗者」「無能」などの言葉があった。「正直」と書いた人と「嘘つき」と書いた人の数は、ほぼ同じ。

自分を好きな人は、皆同じように自分を見てくれているのに対し、嫌いな人はそれぞれ違う理由で自分を嫌っている。


・身近な人でも理解できない


9ヶ月一緒に暮らすと、自分に対する見方に、相手の見方が同調し始めてくる。

女性の方が人を的確に理解でき、また自分がどう思われているかをより敏感に感じ取れる。
一般的に女性の方が男性より、人間関係に対して敏感で、それを気にする。

友人や恋人の間に誤解が頻繁に起きるのは、ポジティブに相手を見てしまう、ネガティブに相手を見てしまうバイアスがかかるから。最も近しいはずの夫婦でさえ、お互いを理解し合えないからコミュニケーションが大切。

👉人はありのままの姿を見てくれないから、上手く自分の良さが伝わる見せ方をしていく必要がある




【思い込みを作る脳の性質】

・確証バイアス

相手が何らかの理由で、あなたを頭がいい人だと信じていると、あなたが何をやっても、それを「知性の表れ」だと思ってくれる。しかし、あなたが信用ならないと思い込んでいる人は、あなたがしっかり目を見ないことも、体の動きがぎこちなきことも、本当は単に恥ずかしがり屋だったり、他のことに気を取られただけなのに、何か後ろ暗いことがあるに違いないと思う。 

[確証バイアスの様々な要因]
・属してるグループ
・別の知人に似ている
・双方の文化の違い
・外見の美しさ
・過去の実績

[白衣効果]
ほとんどの人は、同じ人物でも白衣を着ている時の言動をより信用する。白衣を着てる人は高度な専門知識があると思い込んでしまう、錯覚を起こす。つまり、外見や肩書きで信頼度を錯覚する
・東大
・医者
・日本一位
・著名人

・初頭効果

以前の印象が強すぎて不正確なイメージを作り上げ、人の判断を間違った方へ導いてしまう場合がある。
最初に人を観察して得た情報が、その後の情報を解釈したり記憶したりする時に影響を及ぼす。

最初の印象を変えるのは、かなり難しい。有能な証拠を山ほど示さなければならないから。

最初の印象は、その後のチャンスにも繋がる。

若い俳優たちは、最初にろくでもない映画に出されてしまうと、それが俳優としての将来に大きく響く。逆に、最初に良い映画に出演できた俳優は、その後、低俗な映画に出演しても、それによってイメージが傷つくことはない。

人は過去の行動のイメージを通してしか見てもらえない。自分を知っている人は、これまで見てきたのと同じようにこれからもあなたを見ようとする。


・カテゴリー化

人はあなたが属するグループのイメージによって、あなたの行動や言葉を解釈する。人間の脳は、カテゴリー化することで、速やかに自動的に判断できるよう進化してきた。

脚が4本あって上に平らな四角い面を持ち、木でできているように見えるものは椅子だとすぐにわかる。

車、岩、魚、など、大概のものは一眼見ただけで判別できるように脳がなっている。

顔や形によってもカテゴリー化する。
童顔の人たちは、大人っぽい顔の人たちに比べ、より無邪気で信頼できると思われがち。

意図的な器物損がの訴えで、最も大人びた顔の被告人は、92%が有罪にされたのに対して、童顔の被告人が有罪になったのは、45%にすぎなかった。

過失による損害は、童顔の被告たちは85%が有罪で、大人っぽい顔の被告たちの場合は、有罪が58%だった。

童顔の人は、ヘマをするこは自然な感じがするが、大人っぽい顔の人は、「悪い行いができる人」と思われがち

このグループの人たちはこうだと世間が思い込んでいる特徴にその人の行動や外見や話し方が合致していると、カテゴリー化はより強く適用される。
上手く活用することができる!
・童顔→パーカー、笑顔、マッシュの髪型


・ハロー効果

抜きん出た良い特質を一つ持った人を見ると、他にも良い特質を持っているに違いないと思い込む傾向がある。

ハンサムで魅力的な人がいると、頭も良くて信頼のおける人だろうと思いがち。逆に外見が悪くて魅力がない人は、つまらない人、信用がおけない人と思われてしまいがち。

認知的不協和が生じる
言動やら評判が一致しない居心地の悪さ。その不協和を解消するためには、どちらか一方の見方を変える必要がある。フラれた誤魔化した事実を無視するか、「実は彼はかっこいい男ではなかったんだ」と考えなければならない。したがって、ある人がなるかの良い特質を持っていると信じたら、他にもいい点がたくさんあると考えておく方が心が乱されなくて楽。

[人は思い込みで判断する]
・人は過去の言動をもとに人を判断する
・第一印象は、全ての見方に影響を与える
・属するグループと同じと考える
・良い特質を何か持っていると、他も良いと解釈する




【信頼される人間になるには?】

・「能力」と「誠実さ」を示す

見知らぬ生き物に出会ったときに、それが自分にとって害をなすかどうかを見極めることは、常に何にもまして重要なことだった。

同僚をライバルではなく仲間と考えている組織では、社員の離職率は非常に低く、仕事に対する満足度は高く、ストレスも大きくなかった。

相手が敵か味方か判断する時どこを見てるか?

人間的な「温かみ」と「能力」
親しみやすさ、誠実さ、思いやりなどは、相手に良い意図を持っていることの表れ。

知性、スキル、仕事ぶりなどは、その気になれば自らの意図を実行に移せることを意味する。能力のある人は価値ある味方にも、怖い敵にもなりうる。

ある研究では、人が肯定的に見られるか、否定的に見られるかは、その約90%が温かみと能力にかかっていると言われている。価値ある味方と見てもらうには、「温かみ」と「能力」のイメージを発信できるようになることが大切

・「実績」を示す

相手が求めるスキルや能力を持っていると示す必要がある。異性にも、上司にも、特定の能力が高いことを示さなければ、好意を持たれないし、仕事も任されない。
・自分の業績や経験を強調する
・自信のある態度を取る
・防衛的にならない
・相手と目を合わせる
きちんと目を見て話せる人は知性があると判断される


・「意志力」を示す

その人が誘惑に打ち勝って正しい行動をとってくれると思うから、その人を信用する。
浮気をしない
筋肉ムキムキ
・約束を破らない


身体が大きい人ほど、その部屋で力強い存在感を示し、自信と権力を持つ。姿勢や身体の大きさは、力強さを感じさせ、頼り甲斐ある人のように思わせる。


「この人はいつも道徳的に正しいことをする」と相手が安心していられるような人間でいること。それが信用の全て






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