「メルペイをメルカリアプリに融け込ませた話」 - メルペイのデザイナーさんに”メルカリのデザイン”について聞いてきた
ブロックチェーンを活用したプロダクトのファンコミュニティサービス『Gaudiy』をつくっているTORAJIROです。
明治大学を休学中で、デザイン知識0の状態から「スタートアップ1人目のデザイナー」というポジションに就きツヨイデザイナーになるべく奮闘しています。
先日、メルペイのデジタルプロダクトデザイナーである鈴木さんのこのツイートを発見し即連絡したところ、お時間を作っていただけるということでランチにご一緒させていただいてきました!
とっっっっっっっっっても学びのあるランチだったので、聞かせていただいた内容を共有したいと思います。
ユーザーではなくお客さま
メルカリでは、”ユーザー”ではなく”お客さま”であるという共通認識がメルカリの文化として根付いてるらしく、これは鈴木さん自身も強く意識しているようで、”ユーザー”というワードが出た場合は「お客さま」に訂正をいれるみたいです。
こうした呼び方一つで企業、プロダクトの文化が形成されていくんだなぁと実感しました。Gaudiyでも、コミュニティメンバーを「ユーザー」と呼ぶのには違和感があって、「プロダクトを共創してくれるメンバー」をなんて呼ぼうかという話が出ていたので文化となり得る共通言語をつくれたらイイナと思います。
なぜメルペイは「アプリ」ではなく「機能」になったのか
「まずはメルカリを使ってくれているお客さまに使ってもらいたい」
この考えが一番にあり、メルカリアプリにいれる意思決定になったそうです。確かに、このアプリとして作らない意思決定はとても納得でGaudiyがPWAを採用している大きな理由の1つも同様の理由です。鈴木さんも「今からプロダクト作るならアプリでは作らないからPWAはいい」とリアクションをくれました○
どのようにアプリの中にメルペイを入れたのか
僕はメルカリのような大規模なプロジェクトを経験したことがないため、かなりのユーザーを抱えるプロジェクトで、メルペイを追加するような大規模なアップデートにデザインがどのように関与してたのか気になっていました。
「あくまでペインを解消してより便利にすることを目指すので不便になってしまっては元も子もない」
「メルペイという新しい概念(新機能)であっても、お客さまに一方的に理解させることを強要してはいけない。」
「”メルカリの中に元から存在した”ように感じられるほど馴染ませる。」
確かにメルペイを自分で使っていて、実際になんの違和感も無く使い始めた気がします。
後述しますが、「メルカリのデザイン」であり、ペインの解消と付加価値を追求したことで、違和感を取り除き、メルカリに馴染む利用体験が実現されてるのではないでしょうか。裏でいくら複雑なロジックが組まれていようと、簡単に感じられるユーザー体験を作り出すのは至難の業です。すごい。
メルペイ自体が機能としてとても大きなものであるにも関わらず、「元からそこにあったように」という目標に対してデザインが担う責任はとても大きく難しい課題であるように思いますが、それを成し遂げたメルペイのデザインチームは相当強いんだろうなぁと思わされました。
Gaudiyもブロックチェーンを導入前提の設計のため仕様上複雑な部分が多々あり、機能や仕組みを自然に理解できる体験を提供するために試行錯誤しています。改めて「ロジックの複雑さはユーザーには無関係であること」を再認識させてもらいました。
メルカリらしさのデザイン
「使う人が見たことのない新しいUIを作らない」
メルカリのデザインにはこの考え方が根付いていて、「どこかで見たことがあるから使い方がわかる状態」を大切にしているそうです。メルペイを見てもこの考えによってUIが作られていることがよくわかります。
サービスを作る側になって初めて鈴木さんがおっしゃている「使っていて考えさせないような体験やUI」を作る難しさを実感しています。
「カワイイ」とツイッターで話題になったメルペイのカードも「メルカリっぽい」ですね。
やっぱりかわいい。
メルペイのUIはとてもシンプルで、このメルカリカラーを押し出したカードとは違った印象になっています。
これは日常的に開くことを考慮して配色を試行錯誤して、かつメルカリの溶け込むことを最重要視して結果だそうです。シンプルながらメルカリの赤と青が絶妙に配色されていて、「メルカリ感」ありますよね。
最近Pay系では多いカードのUIだったら、特異な存在感を放ってメルカリの中で異質なものになっていたのかもしれません。
「チャージ(入金)」というラベルが示すメルカリが大切にしてること
メルカリでは「ラベル」をとても大切にしているという話は、聞かせていただいた話の中でも特に興味深かったものの一つです。
この、「チャージ(入金)」というラベルこそがメルカリのデザインが詰まっているそうなのです。「伝えるデザイン」というのはコレか・・。
メルカリのラベルをパッと見ただけでも、
iDが使えるお店で支払う
とにかくボタンのラベルや説明、注釈テキストなどが誰にでもわかりやすいように丁寧でわかりやすい文言で書かれていました。デザイナーさんたちの優しさがにじみ出ています。
ラベルやコピーの表現の仕方には要注目。
「Pay戦争に勝つのはどこか」は愚問だった
僕はメルペイも、PayPayも、LINE Payも全て同じくらいの頻度で使用していたので1ユーザーとして、「Pay戦争での勝ち筋はどうなのか」というのが素直に気になっていたので、ちょっと失礼だよな・・と思いつつ直接聞いてみました。
すると鈴木さんは、
どこが勝つかは重要だと少なくとも自分は思っていない。キャッシュレス化が遅れている日本がようやく重要な分岐点にたっていて、「キャッシュレスってイイナ」となるか「やっぱり現金がいい」となるか、その流れを左右する事業に携わっている責任感の方が強い。
キャッシュレスのようなすぐに成果が出ない事業をやる場合、大きな目標を持っていないと目標を見失ってしまう。
という最高にクールな答えが返してくれました。
大きな課題に大きな志を持って立ち向かっていく姿勢に本気で感動しました。まじでカッコよかった。
UIデザイナーとして成長するための2つの軸
まず、組織で一人のデザイナーという環境でどのようにUIデザイナーとしての技術を向上していくべきかプロダクトを見せながら相談させていただきました。
そこで以下2つの軸を意識して、ひたすらデザインをアウトプットしていくのがいいとアドバイスをもらいました。
①意図してることがその画面で伝わってるかどうか
②原則やルール的に最適なUIデザインができているか
②はこの半年でかなりの画面数を作ってきたため、ある程度はできるようになった気がしていますが、「①伝わってるかどうか」という軸は自分の中で明確に軸として持っていなかったぼんやりしていた部分でとても腑に落ちるものでした。
「伝えること」は最低限達成しなければいけないことでありながら最も難しいことかもしれません。コレまで以上に作業時に強く意識していかなければと反省、、
ビジネスサイドとのコミュニケーション
デザインプロフェッショナル以外からのフィードバック(提案)を受ける機会はたくさんあります。
「ここってなんでこれなの?」
「こういう感じの方がいいんじゃない?」
とフィードバックをもらった場合、デザインプロフェッショナルとしての責任を持った意思決定であるスタンスは崩さずにコミュニケーションを取るべき。
場合によっては、納得してもらうために施策案を全て提示して、仮説や根拠と共に比較するカタチで提示することもあるみたいです。
提案者はデザインのどこかに課題・違和感を持ったからフィードバックをくれているわけなので、デザイナーの「視覚的な提案」というツヨミを活かして『フィードバックに改善したデザイン』と『提案者が本当に抱いてる課題を抽出して、適切なアプローチをとった改善策』を提示してあげることが必要だなと思いました。
「1人目のデザイナー」という環境を活かすために
デザイナーだけではありませんが、どうしても目の前のタスクに集中すると目先の期限やゴールに目が行ってしまいがちです。
事業の理解というのは、組織としての長期的に目指している場所を鮮明にし、今やっている目の前のタスクを「点」で終わらず「線」にすることにつながります。そうすることで長期的な目的意識とモチベーションを失わずに、仕事の優先度や意義を明確にすることができます。(メルペイの例もまさにコレ)
事業理解という観点で、「創業者から直接思考をインプットできる」という一人目のデザイナーは圧倒的にラッキーなポジションだと思います。
コレまでも、事業のことはそれなりにインプットし続けてきたつもりではいましたが、デザイナーのビジネスサイドへの関わり方として、ピッチ資料を作ることをオススメしてもらいました。オフィスに戻って相談したところ、実際にやっていくことになったのでコレから関与していけそうです。
アクションをドライブさせるポジティブなフィードバック
Gaudiyの「いいね」は保有量があって、毎日0時に1日の活動によっていいねが回復する仕様になっています。いいねを送るだけでもコインをもらえる少し珍しい仕様なため、伝え方を試行錯誤しているところです。
現状のいいねを使い切った時のユーザーへのフィードバックは、
「いいねを全て使いきりました🙄明日の0時にに回復します」
だったのですがコレを伝えたところ、「サービスの詳細を知らないのですが」という前置きの後、「いいねを使いきる」ことがイイことだと伝えて次のアクションのモチベーションをドライブするポジティブなフィードバックにした方が良さそうだね、とアドバイスをもらいました。
コレまでに色々な書籍や記事で「ポジティブなフィードバックで次のアクションを促す」という旨の内容や読んだことがあるはずです。しかし、指摘してもらって改めて意識しながら作るのって難しいな・・と実感しました。
帰ってすぐにメモ程度ですがなんとなくのカタチに起こしてコレからしっかり作ってっみようと思っているところです。
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鈴木さんお忙しい中お時間とっていただきありがとうございました!かなり前から使っているプロダクトを作っているデザイナーの方とお会いするのは初めてだったのでとても嬉しかったです。何よりとても学ばせていただくことが多かったです。
今後ともよろしくお願いします🙌
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今回、鈴木さんお会いさせていただいて、「人から聞く」ことが抽象的な物事の理解がとても苦手な自分にとって、よりイメージしやすいカタチでインプットすることができたと肌で感じました。
実際に実務の経験をしてきたからというのは少なくともあるかもしれませんが、本で読むのとは違った納得感というか、理解というか、腑に落ちたというか・・そんな感覚を得ることができました。
これからも積極的にデザイナーの方にお会いして、抽象的な事象である思考方法だったり、プロダクトに対しての向き合い方など色んなことを聞きに行こうと思います。
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[追記]
ポジティブなリアクションいただきめちゃくちゃ嬉しいですありがとうございます😭😭😭