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朝食バイキングという人類最高の発明の、さらに最高つまり最高オブ最高を知った朝

縁もゆかりもない土地で年末年始を過ごすようになってから、2年が過ぎた。ルールは1つ、行ったことのない街であること。出張がちな人生ではあったが、客先も偏っていたし、まだまだ未踏の地はたくさんある。どんどん衰える体力やこれからの人生を考えると、せめて47都道府県くらいは制覇したい。知らない街の知らない文化をもう少し知りたい。そういったわけで去年は仙台、今年は新潟へと向かった。

ルールは1つと言ったがもう1つあった。それは県庁所在地、もしくは浜松や四日市のように県庁所在地並みに栄えている街であることだ。我が家は車の運転ができないため、どんなにお客様満足度ナンバーワンの豪華旅館であっても、人里離れた場所は選択肢に入らない。どんなにいい温泉でも、山奥の秘湯は選ばない。できるだけ駅に近いホテルを選ぶ。駅直結なんて最高だ。

さらに言えば「現地の日常」が好きだ。豪華な観光列車より、市民の足であるバスに乗りたい。土日ともなれば10万人を集客する道の駅より、そこらのスーパーへ行きたい。風光明媚の絶景もいいが、市役所の裏手なんかを散歩するのも大好きだ。

さらにさらにコンビニがないとダメなんである。「うっかり」が服を着て歩いているような私ゆえ、どこへ出かけようとも必ず忘れ物をする。パンツは持っても靴下を忘れる。ポーチを持っても化粧水だけ忘れる。ハンカチや汗拭きシートなんてもう現地で買うのがデフォとなっている。ついでに世田谷のセブンでは見かけないおにぎりや、ホテルで夜中に飲むちょろい酒も買いたいし、つまり、県庁所在地の駅近ホテル、これはもう譲れない。

ではそんなホテルが複数あったらどうするか。

そこで指針となるのが、朝食バイキングだ。複数のサイトやクチコミをすべからくチェックし、画像を拡大し、会場のリアルをつかむ。料理の本当の顔を見る。品数、回遊しやすさ、シグネチャーメニュー等を確認する。今回もそうやって検討に検討を重ねた結果、ANAクラウンプラザホテル新潟に泊まることになった。

産地別コシヒカリ3種食べ比べ

決め手は「コシヒカリ食べ比べ」だった。

とはいえ、実は我が家はそんなにコシヒカリ命でもない。普段は「青天の霹靂」と「銀河のしずく」を交互に買う、あっさり、さっぱり、硬めを愛する家庭だ。甘さとか、もっちりとかは特に欲してもいない。

しかしたまにはコシヒカリに溺れるのもいいだろう。なんたって日本で最も愛される品種だ。そして最も有名な産地がここ新潟にあるという訳だ。ANAクラウンプラザでは魚沼、岩船、佐渡の3つの産地の米が食べ比べできるという。ここを推してくれたフォロワーさんが「3杯もおかわりした」とまで言う。よし、ここにしよう。今年の正月はコシヒカリ正月にしよう。

汁物だけでも南蛮海老の味噌汁と粕汁とアサリスープドポワソンとじゃがいも豆乳スープがあった

結論から言うと、最高でした。

前回の「朝食バイキングという人類最高の発明」にも書いたように、私は朝から和洋(あれば中も)まんべんなく食べたいタイプだ。味噌汁もスープもジュースもほうじ茶もコーヒーも飲みたいし、塩鮭もソーセージも納豆もサラダも食べたい。もちろん主食はご飯もパンも両方だ。

ところが新潟ではついにパンに手を出すことはなかった。フレンチトーストにもパンケーキにも手を出さなかった。いや「出せなかった」と言った方がいいだろう。あまりに米がうまくて、もうご飯以外食べる気になれなかったからだ。「ご飯!もっとご飯をくれ!お腹なんか破裂したっていい」と米に取り憑かれた人になっていたからだ。

もちろんおかわりはした。ANAクラウンプラザでは食べ比べしやすいように、通常の茶碗以外に湯呑みサイズのお茶碗も用意されている。まずはそこへ少しずつ3種の産地をよそう。ダントツ佐渡が気に入った。よし佐渡をおかわりしよう。うまい。おかずがちょっと残っちゃった。仕方ない、佐渡をもう一度おかわりしよう。うまい。あのおかずまだ食べてない。もう一杯。最後にあのおかずでフィニッシュを飾りたい。もう一杯。

またご飯のおかずがエグいくらいたくさんある。卵だけでも卵焼き、目玉焼き、スクランブルエッグ、温玉、オムレツと5種類もある。魚だって初日は鮭とサバ、次の日は鮭と赤魚と変化をつけてくる。特に2日目は元日とあって正月アイテムも勢揃いしていたため、数の子ご飯までやってしまった。

鮭のお雑煮

そして正月アイテムといえばアレだ。餅だ。ご飯もいいけどお餅もね、だ。そこにお餅があるなら、お雑煮を食べずには帰れない。しかも鮭とこんにゃくの入ったお雑煮という、新潟的解釈の初めてのやつだ。未知のものなら経験しとかねばなるまい。さあ、血糖値上げていくよ!

もう、もう、お腹いっぱいです。投了を告げ「若ければあと5往復はするのに」とホゾを噛みながらようやく部屋に戻ろうとすると、なんと出口にほかほかと湯気を立てる笹団子があるではないか。「どうぞお部屋までお持ちください」と差し出される笹団子。新潟のソウルフード笹団子。ハイ、お持ち帰りしましたよ。だってほかほかだよ。食べない方が失礼ってやつだよ。

ほかほか

お腹をすかせるためにもう一度お風呂に入ったりして、なんとか頑張ってチェックアウトすると、ロビーでは餅つきをしている最中であった。チェックアウトの皆様につきたての餅が振る舞われたことは言うまでもない。お腹いっぱいだけど受け取ってしまったのも言うまでもない。

この後ロビーにいるみんながお腹いっぱいに

ほんと、おすすめです。新潟へ行くならぜひANAクラウンプラザへ。
みんな!血糖値上げよう!

【追記】
元日の地震により新潟から帰れなくなってしまい、次の朝は急遽押さえた安いビジホの無料朝食を食べたのだが、これが!驚くことに!米が!うまい!のでした。無料だからと期待してなくてごめん。あと越後味噌を使ったという味噌汁もうまかった。やっぱ水?水が美味しいんだね。


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じろまるいずみ
めちゃくちゃくだらないことに使いたいと思います。よろしくお願いします。