光刺激とブルーライトカットレンズ
さて、今日はお硬いお話。更に言えば議論の余地のあるお話ですので、
僕の私見を交えて解説しますが、今回の議論は非常に政治的な意図が
複雑に絡んだ駆け引きがある案件であると理解する必要があります。
先ずは、眼科医会の正式なリリースは
以下の通りですので、ご覧ください。
これと更に以下のニュースも
今回の記事に絡み大事なニュースです。
ジンズ、ブルーライトカット眼鏡を渋谷区立全小中学生に寄贈 3年間サポートへ
ここ数年、JINSはブルーライトカットやヴァイオレット光を通すレンズ等、
エビデンスを提示しながら、販促してきました。
また今回の案件のキーマンになっている眼科医の先生がいらっしゃいます。
簡単にプロフィールを転載しておきますね。
(以下こちら→より転載開始https://jins-meme.com/ja/researchers/interview05/)
坪田一男(つぼた・かずお)
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授。80年同大学医学部卒業後、日米の医師免許を取得。85年米国ハーバード大学留学、87年角膜クリニカルフェロー終了。現代病といわれる“ドライアイ”にもいち早く着目。角膜移植治療における新しい医療も展開するなど、質の高い医療提供に努める。2000年より最先端のアンチエイジング医学を学び、医療界にこれを積極的に導入。食事・運動・心を3本柱として研究を続けている。(転載終わり)
先ずはJINSの提供するメガネのデビデンスは坪田先生の研究に基づき
商品は開発され、そして発売されました。ブルーライトカットレンズで
一世を風靡したのは皆様ご存知の通りです。
一方NHKでは以下のように銘打って
近視進行に対して、その低年齢化、
更に言えば、近視進行抑制の最新の理論を紹介しました。
この時には梶田眼科の先生ともう一人女医の眼科医の先生が
解説していました。ここに坪田眼科の先生は一切からんでいません。
Nスペ5min.「わたしたちの“目”が危ない 超近視時代サバイバル」
さて、そこに坪田先生が眼科医会を脱会したという報せが届きました。
今までは眼科医会に所属していた為にある意味異論に近い事を
説いても守られていたと言えますが、その守りが崩れた事によって
一斉に坪田たたきを始めたと僕は解釈しています。
今までも眉唾な事を言っていたけど、
眼科医会の仲間だから大目にみようと
配慮されていたのでしょう。
さて、ではこの今回の眼科医会のプレスリリースは
的を射ているのでしょうか?
僕は一部当たり、一部ミスリードさせる恐れのある事を
言いきってしまっているのが怖いなと思っていました。
PCに限らず明るいモニターを長時間注視する事が
眼の疲労を促す、これは経験則に基づけば多くの方が
感じていて、それは瞬きの回数云々でかたずけられる話では
ないと僕は感じています。つまり過度な光刺激は有害であると言えると
僕は思っています。
そして僕はブルーライトに限らず
過度な光刺激がストレス要因だと昔から言ってきました。
ですから、今グラシアスではパーソナルにカラーをチョイスし、
カラーレンズを推奨しています。
実際に現場では輝度を落としたり、フィルターをつけたりして
対応している方が多いようです。
つまり眩しくて辛いという現場の声は確実にあるという事です。
ただし、現場では接客業やお役所や金融系等
カラーレンズを提案すると
「僕の仕事では使えない。上司や取引先に
(色眼鏡で仕事と何事だ)と怒られる。」
そこに無色のミラーコートレンズブルーライトカットレンズが
登場したので、多くの人が飛びつきましたし、グラシアスでも
カラーレンズで仕事が出来ない人には
ブルーライトカットレンズを提案していました。
ブルーライトカットレンズが
眩しさ軽減効果があり、
チラつきを軽減する効果があり、
ストレス軽減効果がある。
ここまでは言っても良いのかもしれませんが、
それが
眼病予防効果があるとか言いだすと
それは違うのではないのですか?
っと言っているのが、今回の眼科医会のリリース、
更に、
小児はむしろ光を浴びた方が良いよ。
だから光はカットせず透過した方が良いんですよ。
とも言っています。これに対して僕はイエスもNOも言えません。
ただし、
台湾ではこの屋外授業を増やしたら、
近視進行が抑制傾向になった。
更に光を浴びせ続けたマウスとそうではないマウスに
近視進行の度合いに明確な差があった。
これも先日NHKスペシャルではエビデンスを示していました。
これを見ると光を浴びる事に一定の効果はあるのかもしれません。
ここで大切な事があります。
それはNHKでは光と言っています。
ブルーライトやバイオレットや紫外線、赤外線云々の
光を類別せず、ざっくりと光と言っています。勿論太陽光には
これらの光が全て含まれています。
つまりブルーライトはカットしてもバイオレット光を通せば、
とか、紫外線こそ大事とか、まだ議論検証の余地がある可能性もあります。
ではPC作業が増えて、国民の多くが眼精疲労を訴えている現状に対して
グラシアスではどの様に提案し、そして喜ばれているのでしょう?
グラシアスではPC用メガネ三本の矢と言っています。
先ずは
①光刺激対策
②ピントの調節対策
③過度な寄り眼対策
この①~③を併せてシナジーがあると提案しています。
では実際にはどうやってこれらを複合させるのでしょう?
①カラーレンズ、更に色を入れると何かと不都合のある人には、
M-POSやBUI,更にブルーライトカットレンズ等で光刺激の質をコントロールします。これのどれが良いかは実際にサンプルレンズで選んで頂きます。
②焦点距離の調整は、球面度数と言いますが、その度数調整でコントロールします。具体的に言えば、近視であれば弱めの度数、遠視であれば強めの度数で焦点距離を調整します。
③寄り眼の運動量をコントロールする為にプリズムという度数を用います。
レンズである程度焦点を寄せてくれるように調整しますが、
決して寄り眼をしなくなるような状態にするわけではありませんのでご安心ください。
つまりブルーライトカットに限らず光刺激をコントロールする事に
意味が無いという訳ではなく、ただ、小児のメガネにブルーライトカットレンズを
入れると近視が進行してしまう可能性があり、少なくとも近視進行を抑制しようと
するのであれば、ブルーライトカットレンズは止めてくださいという話になります。
ただし、現場ではこんな声もあります。
在宅でZOOMを使って授業を受ける。
この際に、眩しくて辛いと子供が訴える。
若しくは眩しくて見え難いと訴える。
こんなケースではどうしたらよいのでしょう?
その場合にはカラーレンズで眼鏡を作り、PC作業の時には
①~③の対策をしたレンズを使い、普段は裸眼、若しくは無色の
通常のレンズで過ごせばよいのです。
でも一日家に閉じこもらず、子供は風の子ですから、
勉強する時は勉強する。でも外で遊ぶ時は遊ぶ。
アウトドアで自然から学べる事はいくらでもありますから、
メリハリをつけてご家族で屋外授業をすれば良いのです。
これが近視進行抑制の観点からも
お薦めだという話になります。
今日は長かったですね。
眼に限らず健康に関する定説は
コロコロ入れ替わります。
坪田先生が、この眼科医会の発表に対して、
明確な反論をエビデンスに基づき、提示出来るかどうか、
今は、その反論待ちで、結論めいた事は言わないのが
懸命だと思いますし、
皆様も議論の余地のある話だと
理解するべきでしょう。
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