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ストリートは激しいファウルが当たり前?ALLDAYのルール運用方針について
15周年を迎える日本最高峰の5on5ストリートボールトーナメント"ALLDAY"が今週末、豊洲TOKYO SPORT PLAYGROUNDにて開催されます。
ALLDAYでは確固たるフィロソフィーに従って、独自の基準にてジャッジしています。
FIBAルールをベースに、NBAのルール変更なども取り入れた独自ルールとなっています。
特に最初の5年間は、毎大会後に試合動画を検証し、選手からヒアリングし、レフリー陣と何度も話し合い、時には大会当日に選手に対してノートパソコンで試合動画を見せながら、どういうプレイがファウルになるかを説明したり、かなり細かくやってきました。
この15年間で、出場選手たちにかなり浸透し、近年はかなり理想に近いゲームが展開されてきたと思います。
今回、コロナの影響でALLDAYレフリーチームの大多数が参加不可能となってしまい、いつもとは違うメンバーでジャッジします。(ALLDAYレフリーチームは多くが米軍基地で働いているため、東京でのイベント参加に対して厳しい制限があります)
このタイミングでいま一度、選手やチーム関係者のみなさんにALLDAYのジャッジの運用方針を説明したいと思います。
まず、ALLDAY webにも掲載されている選手へのメッセージです。これが基本的なフィロソフィーとなっています。
選手のみなさんへ
ALLDAYでは、タフなプレイが要求されます。反面、ケガにつながるような危険なプレイは厳しく罰せられますし、チープなファウルも厳しく吹かれます。
ストリートバスケにおいて本来ファウルは自己申告制です。
タフなプレイとは、少々のコンタクトにも審判の笛を期待するのではなく、めげず強くゴールを決めようとすることです。本来のストリートでは、いくら演技しても誰もファウルを吹いてくれません。
チープなプレイとは、審判から見えないように押したり、腕やユニフォームをつかんだりファウルをすることです。本来のストリートでは、審判が居ないのでファウルを吹かれませんが、代わりにこういったチープなファウルは肘打ちなどの報復を受けます。ALLDAYでは、そういうふうに試合が荒れないよう審判が厳しく吹きます。
審判やファウルに頼るのではなく、自分の力、スピード、テクニック、そして頭を使い、正々堂々とプレイして楽しみましょう!
下記は、基本的にはALLDAYでのルール運用方針について3年前に書いたブログをもとに、多少修正・加筆したものです。
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僕は創設時から12年間この大会に携わっていて、競技面を統括しています。
僕の役割は、選手が最大限力を発揮でき、怪我をせずに、公平に試合をできる環境をつくることです。ALLDAYを通じてスキルアップしてさらに上のレベルで通用する選手になってほしいと思っています。
そのためには、どのようなルールをつくるか、そしてそれをどう運用するか、ということが大事です。
選手というのはレフリーの笛にアジャストしてプレイしていくものなので、どう笛を吹くかによってその選手のプレイに影響があります。
毎回ファイナルトーナメントでは試合前にコーチ・キャプテンを集めて笛の吹き方について説明していますが、特に何に注意して吹くかとその理由を説明したいと思います。
1. ガードに対するハッキングファウルとハンドチェック
ALLDAYでよく見られるのが、ガードに対してのハッキングです。ハッキングはもっと厳しく吹いていくべきと思っています。
オフェンスがきちんとボールをプロテクトしている状態でスティールを狙ってボールに手を伸ばしたりハンドチェックでオフェンスを動きづらくするのは、正しいディフェンスではありません。
手ではなく足を動かすのが正しいディフェンスです。笛を吹かないでハッキングを見過ごしているとその選手はそれで良いんだと思ってずっとその癖がついてしまいます。
なのでレフリーは笛を吹いて教えてあげないといけません。ALLDAYでは審判団には「選手の育成だと思って吹いてほしい」と伝えています。
ALLDAYでは予選(12分)ではファウル3回で退場、本戦では(20分前後半)ではファウル4回で退場ですから、ファウルはチームにとって損です。なので笛を吹けば自然とアジャストしていきます。
また、スティールはNBAでもどんな選手でもせいぜい平均2本ちょっとです。レベルの違いもありますが、手でリーチするのと正しくディフェンスするのとどちらが確率が良いかわかると思います。ただしオフェンスはボールをプロテクトしないといけません。無防備にボールを持っていればスティールされてしまうのは当然ですよね。
ただ、ファーストブレイク時などでハッキングされたにも関わらず、オフェンスがびくともせず、プレイを続行できた場合に限っては止めるべきではないと考えています。オフェンスは速攻のチャンスを潰され、ファウルした方が得をしてしまうからです。
これが逆のケースが最悪です。要はファウルされてターンオーバーになったときにノーコールで、ファウルされても問題なくアドバンテージを持っていたときにコールされるパターンです。
また、ALLDAYでは試合終盤をのぞいてランニングクロックです。なので、確かにあまり試合が止まりすぎると一方のチームに有利になる可能性もあります。何を吹いて何を吹かないか、の判断がとても重要です。
グッドディフェンスの例がたくさん出ているビデオがありました。
2. シリンダープレイ
これもよく見られるプレイで、ディフェンスがボールを運ぶガードに対してシリンダーを侵す行為です。シリンダーとは、相手に侵されないと保証されている垂直状のスペースです。
ALLDAYでは、ボールを運んでいるガードがサイドラインを割ってバイオレーションになるケースが見られます。
一見ハッキングもしていないし押してもいないように見えますが、シリンダーを侵しているケースがあります。
シリンダーを侵されたオフェンスはそのシリンダーに体を戻そうとしたときにどうしてもディフェンスとぶつかってしまいます。そこでオフェンスファウルがコールされてしまうとディフェンスのやり得になってしまいますので、ファウルをコールする必要があります。
この動画ではエルボーを食らったDUKEの選手のファウルとなりました。これはオフェンスのシリンダー内に侵入しているからです。
また、ドライブインしている相手に対して、飛び込んでヘルドボールを狙うプレイはシリンダーを侵す行為です。ボールに向かって突進するのはファウルになる確率が非常に高く非効率的です。
3. フロッピング
笛を吹いてもらうために演技をする行為(=フロッピング)はテクニカル・ファウルを吹かれます。たとえその時に通用しても、レフリーを利用する行為に慣れてしまうと選手としてレベルアップできません。
本当のストリートではレフリーはいないのでもちろん通用しません。
動画を見てもらうのが早いですね。
4.アウトオブコントールになっていないか
むやみにディフェンスに突っ込んでいってディフェンスと接触があった瞬間にファウルをもらう前提でレフリーにアピールしながらボールを放り投げるようなプレイには、ALLDAYでは積極的に笛を吹きません。接触があっても強くシュートを決めにいくことが基本です。
シュートの瞬間に限らず、レフリーを頼ってプレイを途中で止める選手がたまにいます。
ファーストブレイクでドリブルしていた選手にディフェンスの接触があったときに、オフェンスはあまり体勢を崩しておらず、そのままいけばディフェンスを抜き去って簡単な得点のチャンスがあったのにも関わらず、おおげさに審判にファウルをアピールして止まってしまいました。結果ノーコールで速攻のチャンスを潰してしまうことになってしまい、本当にもったいないですね。。
上に書いたように、ALLDAYではオフェンスにほとんど影響がない程度のコンタクトでファーストブレイクなどノーコールで継続した方がオフェンスに利がある場合は極力笛を吹かないようにしています。
逆に観ていて嬉しかったプレイでは、試合の途中でアピールしても笛が鳴らないということに気づいた選手が、ファウルされても強くシュートを決めて、その直後に今度は相手チームの選手が同じようにドライブからファウルされても決めたプレイです。どちらもノーコールでしたが決めたことがありました。
どちらもファウルがコールされてバスケットカウントになってもおかしくありませんでした。ただ、レフリーも全てのファウルを吹くわけではありません。コールはあくまでも結果と思ってよいボディバランスを保って強くプレイしていれば自然とフリースローラインに立つ回数が増えて得点アベレージがUPすると思います。
5.なぜレフリーが重要か
たまに、ストリートバスケだからと激しいファウルでも笛が鳴らないのが当たり前、と考えるひとがいますが、自分としてのストリートバスケとは違います。上に上げた3つの行為は本当のストリートでは選手からも観客からもリスペクトされない行為です。
オフェンスのシリンダーに入る、過度なリーチング、過度なハンドチェックは肘打ちを食らっても仕方がないのがストリートです。
ALLDAYの第一回大会で、僕はレフリーにストリートだからと変えなくていいので普通に吹いてくれ、と言いました。
相手の頭にボールをぶつけた選手にはテクニカル・ファウルを取りました。
大会後に「これはストリートじゃないのか?」とクレームもありましたが、
この第一回目からALLDAYはブレずにストリートをやっていると自信をもっています。
試合ではない本当のストリート(アメリカの公園などのピックアップゲーム)では、審判もいなければ、喧嘩をとめてくれるひともいません。過剰に激しいディフェンスを繰り返せば、肘打ちを食らうかもしれません。怪我をするような危険なファウルをすれば、殴られる可能性もあります。
ALLDAYではそういうことを防ぐために審判にはきちんと笛を吹いてもらっています。とはいえ、最初からよく吹けていたかというとそうではなく、何年もかけて少しづつ良くなってきました。この12年間の歴代の審判の方々やアドバイスをくれた選手たちには感謝しかありません。
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以上、3年前のブログ記事に加筆しました。
この記事を書いて直後のALLDAYでは、多くの選手が、読みました!と言ってきてくれて、実際チープなファウルではなくタフにプレイする選手が多くいて本当に嬉しかったです。
最後になりますが、もうひとつ大事なことは、最終的にゲームの結果を決めるのは選手であって、レフリーではない、ということ。
厳しく笛を吹きつつも、選手にゲームを思う存分楽しんでもらい、力を発揮してもらうことが大事です。
コロナ禍のなか何とか開催に漕ぎつけた今年のALLDAY。
たくさんのグッドゲームを期待しています!!
※ALLDAYルール全文はこちらから
2018年8月のルール変更についての解説