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「出会いはいつも」〜誰かのためのバー山神

いらっしゃいませ。

上品な態度で迎えるマスター。
カウンターには先客が2名。
薄暗い照明と棚に並んだ多種のウィスキーやジンの瓶。心地よいシェイカーの音。

今日はどうしようかな…
いかがいたしましょうか。

最近のおすすめは?
ケンタッキー州のミントジュレップですかね。
でも、菊地様のお好きなもので結構ですよ。

うーん…じゃそのミントジュレップで。
かしこまりました。

一人の時、たまに訪れるバー
「山神」
最初は仕事で知り合った歳上の素敵な男性に連れてきてもらった…気がする。その人は忙しい人で、それきり会っていない。けれど、代わりにこの店には玉に通うようになった。

程よい距離感で接してくれるバーテンが、話しかける時だけ相手になってくれるので、一人できても居心地がいい。

この店にはそんな常連が多そうだ。

どうぞ、ミントジュレップです。
ありがとう。

あら、とてもいい匂い。
真鍮のマグカップに注がれたミントジュレップに口をつけた。
ひんやりとしたカップ縁から伝わるウィスキーとミントの絶妙な香り。
そして、爽快な喉越し。

うー、うまい。
そーなんですよ。お客様からの評判もいいんです。

なんか今日はうまく一日が収まった感じがしてきました!
それは良かったです。

菊地様なら、いつでも大歓迎ですよ。
ふふ、嬉しいこと言ってくれる。

こんな時、ふと自分もいっぱしの大人になったような気がする。

あれ、もしかして菊地さん?

突然名前を呼ばれて振り返ると、いつの間にかあの時の男性が立っていた。

終わり。


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