観光のプロから贈る「長野県上高地 穂高連峰と河童橋」エピソード編(上)
不思議なお告げ
今から何年くらい前だろう??? そんな昔でもない5年くらいか。私の自家用車のタイヤが半年の間に3度もパンクをしたことがあった。
新車で買って間もないのでタイヤが古い訳ではない、半年と言っても2か月に1度のパンクではなくタイヤを修理してすぐにまた釘がささってたり、タイヤの横が切れていたり、治安の悪い場所に住んでいる訳ではない。
朝起きてツアーに出かけようと車を見るとタイヤの空気が抜けている!!
「ギャー!!」
私は泣きながらJAFに電話をかけた。
後で知る・・・タイヤのパンクは不思議なお告げだったかも知れない事を・・・・
JAFスタッフは宇都宮から日光バイパスを走り30分で到着し泣いている私を落ち着かせ、あっという間にタイヤを交換、私は会員なので無料・ありがとう、JAF本当に感謝!!
そして私は落ち着く間もなく、日光バイパスを猛スピードでぶっ飛ばし、宇都宮駅に着いた。ツアーには間に合ったが命が危なかった。
上高地と立山黒部アルペンルート
3度のパンクなどすっかり過去の出来事となった私は、何事もなかったかのよう仕事についた。
今回のツアーは「立山黒部アルペンルート」。人気の宿泊コースである。
栃木県のお客様40名様と長野と富山の旅に行く。このコースは富山県から長野県の険しい山々を、乗り物を乗り換えながら景色を楽しむ定番のコース。
山越えをするためには、マイカーではレッカー代がかかる。そのため、バスツアーはとっても人気があるのだ。
しかし私たち添乗員にとっては、気力体力ともにすり減らし、仕事量も多いこのツアー。
よく言えばとてもやりがいがある。つまり、クタクタになる体に鞭を打ちながら、でもポジティブに感情を切り替えて頑張っているツアーである。
赤いお屋根の 上高地帝国ホテル
アルペンルート富山県 室堂の雪の大谷’(春)
くねくね~道は 上り坂の始まり
観光バスは長野県上高地に向かう。宿泊場所は長野県白馬温泉。
ツアー初日の上高地では、4時間の自由時間がある。
日頃のウォーキングで脚力を鍛えているお客様は、ハイキングの期待も高まり大正池ホテル前で降りる。河童橋付近でゆっくり過ごしたいようなお客様は、上高地バスターミナルまで乗車し、自由時間となる。
私たちを乗せたバスは松本インターと別れ長野県松本市と岐阜県高山市を結ぶ国道158号線(野麦街道)を走行していた。
さて! ここから少し私の出番!!
朝のうちに配っておいた上高地観光の説明を、山道がクネクネ~カーブが連続する前にはじめ、旅の期待を高めるのだ!!
「皆様! 朝のうちにお配りさせて頂いた地図のご用意をお願いします。 これからコースの説明に入ります」と、地図の説明を開始した。
こちらのお写真は 春の白馬村
白黒地図は蛍光ペンで自分流に印をつけて説明できるので大好き
「ボン・ババーン・ボン!!」
ベテラン運転手の君島さんは、国道158号線を順調に走行している。その運転に身を任せ、私はお客様と向かい合い、地図の説明を続けている。
そろそろ新島々(しんしまじま)の駅。そこを過ぎると段々と上り坂になり、クネクネ~ 道が始まる。
お客様からの質問に対応していたその時「ボン・ババーン!!ボン!」と観光バスの下から破裂音がした。
私はもちろん驚いたが、それだけでなく、自分の身におきた3回のパンクのイメージと重なり、君島さんに早く安全な場所で、バスの状態を確認をしてほしいと耳打ちした。
バス車内は少し騒がしくなったが君島さんが素早く判断しバスを停めてくれた。
君島さんはバスの状態を確認する。私はお客様にその状況を説明し、目の前で店を構える深澤酒店さんに行き情報を集めてくるのでバス車内で待機して頂きたいとお客様にお願いをした。
トイレについては、深澤酒屋さんがかして下さる1つと、300メートル先の廃駅に公衆トイレがあることが分かりお客様に伝える。
停車している場所が安全であることを承知したお客様はトイレに行ったり、お酒を買ったり旧道につながる安全な道を散策したりした。
バス車内はエンジンが止まっても、窓側に並んでいた大木が日陰を作りながら涼しく2時間が経過していた。
タクシーに分乗し上高地に向かう
君島さんはバス会社に、私は旅行会社に連絡を入れ、それぞれ分担して対応に追われた。
故障したバスの代車を探すも、観光シーズン中であることと、地元の行事で大型バスが出払っていることでて手配ができない。
私達は8台のタクシーに分乗して上高地に向かうこととなった。
上高地まで約70分。4時間の自由時間の間に、代車のバスを探さなければツアーに支障が出てしまう。結果的には翌日白馬村のホテルから富山県に送ってくれる予約をしていた地元のバスに空きがあり、上高地に迎えに来てくれることとなった。
タクシーに乗る前には大正池で降りる人、バスターミナルまで行く人を再確認し、集合場所と集合時間を何度も繰り返し説明した。
私が、どの車に乗ろうかうろうろしていると「添乗員さんの席はここです!!」とお客様に呼ばれた。緊急事態でありながら、お客様はとても協力的で、まったく困ることはなかった。
深澤酒店の皆さん、君島さんとはこちらでお別れでした。
大変お世話になりました!
故障したバスは長野県で修理にすることとなり翌日は富山県の立山から長野県の扇沢までのアルプス越えが終われば、私たちの故郷栃木県の観光バスが迎えに来てくれることとなった。
深澤酒店の皆様、あの節は大変お世話になりました。
立派なお店を閉められたとお聞きし寂しく残念です。お客様が信州のめずらしい地酒が買えたと喜ばれました。あの時の御恩は決して忘れません。
奥様の退職を機にお店は閉めてしまいましたが、皆さん元気に同じ場所で暮らしていらっしゃいます。バスのハプニングも覚えていらっしゃいました。
関東は空が広いでしょ
無事にホテルに到着した翌日は。
迎えに来てくれたバスの運転手さんは、白馬村から富山県立山駅まで観光案内をしながら楽しく送って下さった。
その時に運転手さんが言っていた「関東は空が広いでしょ~?」の言葉が今でも忘れられない。
白馬から立山に向かう道中は北アルプスを迂回しながら走る。
車の窓からはアルプスの山が大きくて、確かに空が見えるのは
わずかな事に気がつく。
日本一の広さがある関東平野育ちの私は、生まれてこれまで、空が広いとか狭いとの発想がなかった。
今でも家の周りを散歩していて空を見上げると、白馬の運転手さんが言っていた「関東は空が広いでしょ~」の言葉を口ずさみ
あの時苦楽を共にしたお客様と再びお会いしてみたいと懐かしんでいる。
ジロー犬と家の周りを散歩中 春白菜の収穫
関東は空が広い??茨城は特に広い??
レタス畑を守るヘビオさん 話しかけると風が吹き揺れてくれる
信州 山の集落
長野県 北アルプス集落のお写真をお借りしました
最後までお読みいただき誠に有難うございます。続きは上高地ハプニング編の(下)になります。
予告・・・・・今度はロープウエイがあ・・・・・・・・
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